日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(Sony HDC-F950、一部ARRI、HDTV、米はDLP上映もあり)/ドルビーデジタル(IMDbではドルビーEX6.1、dts-ES、SDDS)
(米PG-13指定、日本語吹替版もあり)
アナキン(ヘイデン・クリスチャンセン)とオビ=ワン(ユアン・マクレガー)は、分離主義者によって誘拐された共和国最高議長パルパディーン(イアン・マクダーミド)を救出するため敵の艦隊の中に突っ込んで行った。 そしてドゥークー卿(クリストファー・リー)を倒すとパルパディーンの救出に成功。しかしなかなかアナキンの功績はマスター・ジェダイたちに認められず、ストレスが高まっていくのだった。そんな時、アナキンは妊娠したバドメ(ナタリー・ポートマン)が出産の際に死んでしまうイメージを見てしまう。そこへ現れたパルパディーンは、私だけがその死を避ける方法を知っていると耳打ちする。 |
うーん、ありえない絵はすごい。すごいが、どれもいかにも作り物という感じがし、画面には溶け込んでいるものの実在感は全く感じられなかった。それは生身の人間が出ているシーンでも。どのみちファンタジーなのだから、それでいいといえばいいのだけれど、最初に作られた3作が割りとリアルなビジュアルだった(それしかできなかった?)のに対して、デジタル新3作はどれもヨーロッパ絵画のような絵に感じてしまう。そこにリアルな人間が放り込まれたような。好みの問題だろうか。 ストーリーとしては、もはや何の展開もなく、ただいつアナキンがダーク・サイドに落ちるのかだけ。そのためか2時間21分がかなり退屈で、正直に告白すると何回か寝てしまった。ファンの人達にはひんしゅくを買うだろうが、戦闘シーンならまだ我慢できるものの、演技力とかではなく学芸会のように見えてしまうドラマ部分には、まぶたが勝てなかった。 気になったのは、旧3部作のラストでルークをダーク・サイドに引き込もうと皇帝があれだけ策を弄し、観客もあれでは落ちてしまうかもしれないと思うほどワナが良くできていたのに、今回のアナキンをダーク・サイドに落とす過程は何? アナキンが大バカということ? たぶん多くの観客が納得できなかったのではないだろうか。 旧3部作の「1」(1977)は黒澤明の「隠し砦の三悪人」(1958)のプロットそのままという感じで、「2」(1980)ルーカスの他に「三つ数えろ」(The Big Sleep・1946・米)や「リオ・ブラボー」(Rio Bravo・1959・米)の脚本家リー・ブラケットと、のちに「白いドレスの女」(Body Heat・1981・米)や「ボディガード」(The Bodyguard・1992・米)を手がけることになる脚本家ローレンス・カスダンが脚本に参加している。「3」は再びローレンス・カスダンが参加している。 それに対して、新3部作は「1」がルーカスのみ、「2」がTVシリーズ「アドベンチャー・オブ・ヤング・インディージョーンズ」などを手がけていたジョナサン・ヘイルズとの共作、「3」でまたルーカス1人となっていて、 異星人などのクリーチャーも、旧3部作と新3部作では傾向が違ってしまっている気がする。おそらくデザイナーの違いということになるのだろうが、ボクには新3部作はロボット工学でいうところの「不気味の谷」にはまりこんでしまっている気がしてならない。旧3部作のクリーチャーもグロテスクなものが多かったが、どこかに愛嬌が残っていたような気がする。新3部作は、リアルはリアルだがジャー・ジャー・ビンクスを筆頭にどうにもなじめない。ファンの人達ごめんなさい。 ある人は新3部作はある意味、壮大な自主制作映画のようなものだから、ルーカスが自由に作りたいように作って、どんな評価を得ようと関係ないのだという。そんなことはありえないが、仮に損をしてもすべて彼が被るとすれば、誰も文句は言えない。 でも、もしそうだとしたら、観客不在の映画を一般劇場でお金を取って見せていいのだろうか。もちろん、大金が投じられていて、お金を払ってでも見る価値はあると思うけど。アトラクション映画というか、見せ物映画だってあっていいわけだし。 感動したのは、ラスト。旧3部作につながるパートは、内容どうこうより、ああ、ここでルークを渡すんだ(ルークの父となる農夫が、やがてルークが見せるポーズと同じ格好で2つの夕陽を見ている)とか、レイアはここに預けられたんだとか、納得できるというか、物語はこれで終わらず素晴らしい製作第1作につながっていくんだという感動。主人公がダーク・サイドに落ちながらも、希望に満ちているエンディングに心が動かされる。 このために新3部作はあったわけで、ボクに言わせれば、ここだけを見ればあとはいらないかもしれないなあと。実際、途中寝てもわけが分からなくなることはなかったし。 音は良い。実に迫力があり、サラウンド感も充分。ドルビー・デジタル(5.1)でも充分だが、もしEX6.1かdts-ESで上映されていれば、もっとスゴイことになっていただろう。だってハリウッド作品は予告編でも音がよく、それだけで見たいという気にさせてしまうもんなあ。 公開3日目の平日、しかも2回目の上映なら空いているだろうと35分前くらいに新宿の劇場に着いたら、なんとすでにロビーに60人くらいの列。なんで平日に! みんな仕事をサボってきた外回りの営業マンかと思ったら、3割くらいが中高年で残りはみな高校生くらい。今日は学校の創立記念日か! 女性は若い子と中高年あわせて全体の2割弱というところ。休日ならこう予想したのだが……不覚。 20分前に開場したときには列は2倍以上に。12席×5列の指定席があり、ぴあ席はなかった。 10分前には1,044席の7割が埋まった。ホントに今日は平日なのか。回りから聞こえてきた話(結構いいオヤジ、つまりSW第1世代だろう)では、グッズにはすでに売り切れのものがあるという。まだ3日なのに、なんということだ。映画の評価はどうなろうと、ルーカスは絶対に損をしないたろう。というか、まちがいなく大もうけする。作品が独り歩きしているんじゃないだろうか。いいなあ。 最終的には指定席25人くらいを含む、8.5割くらいの入り。何なんだ、これは。平日だぞ。まさにモンスター映画といっていいだろう。 予告はついに気になっていた「ステルス」が始まった。これは見ても良いかも。公開が迫ってきて内容が詳しくなった「ロボッツ」の予告もいい。見たい。 |