日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/ビスタ・サイズ(with Panavision、Canon 814、1.85)/ドルビーデジタル(IMDbではdtsとSDDSも)
(米R指定、独16指定)
1969年、マリファナを常用する大学生のアラン(ジョナサン・ジャクソン)は、ある日の夕方、実家の隣人の知らせによって脳卒中で倒れて入院したという母、ジーン(バーバラ・ハーシー)に会いに行くため、190km離れたルイストン病院にヒッチハイクで向かう。しかし、その途中で奇妙なことが次々と起こるのだった。 |
「スティーブン・キング作品は映画にするとつまらない」という法則通りの作品。「スタンド・バイ・ミー」(Stand by me・1986・米)とか「グリーンマイル」(The Green Mile・1999・米)「ショーシャンクの空へ」(The Shawshank Redemption・1994・米)など、恐怖と違った方向のごくわずかの作品を除いて、ほとんどは映像にするとつまらなくなる。文字で怖いことがそのまま映像化したから怖いものになるとは限らない。むしろこっけいなものになってしまうことさえある。本作も、どこかコメディというか笑ってしまうようなウソ臭さがある。 最近で言えば、始まってすぐオチのわかる「シークレット・ウィンドウ」(Secret Window・2004・米)とか、下品で汚さ満載の「ドリームキャッチャー」(Dreamcatcher・2003・米)とか散々の結果。本作はIMDbで5.0という評価。 気になったのは2つ。まず「どちらを選ぼうとも、結果は同じ」という結論はどうなんだろう。これはそれまでの全てをひっくり返してしまうものではないだろうか。だったら、やる意味ないじゃん。そしてもう1つ、マリファナを常用しており頭の中で起こっていることと現実がごっちゃになっていて、主人公の恐怖を共感できないこと。ラリって実際に起こってもいないことを怖がっているのは、それを考えている本人だけ。他人からはわからない。 不思議現象も、頭の中で起こっているなら不思議でも何でもないし、怖くもない。それを途中で現実にあったことだとしようとしても、説得力が無いし、怖くならない。原作は読んでいないのでわからないが、これは脚本も手がけた監督のミック・ギャリスの責任のような気がする。 だから、ホラーで一番やってはいけないこと、音でおどかすことを多用してしまっている。これはつまり編集段階で入れてていくわけで、怖さが足りないから後から足したと言われてもしょうがないだろう。しかも、実際にそこで起こる音(電話の呼び出し音とか、何かが落ちる音とか、羽ばたき音とか)を強調しているならまだしも、現実ではありえない楽器などによるジャンとかドカンという音を付けているのは、ビックリさせるため以外の何ものでもない。 さらにいけないのは、自分か母かどちらかを連れていかなければならないと選択を迫られた主人公は、助かりたい一心で愛情を注いで育ててくれた母を選んでしまうのだ。実際にはそういうことが多いとしても、映画くらいは理想を貫いて欲しかった。利己的な心を描きたかったというのなら「どちらを選ぼうとも、結果は同じ」というのでは意味がないではないか。 夜にヒッチハイカーを乗せてくれるドライバーというのが、絵に描いたようなくせ者ばかりで、脱腸帯を着けた男などまたまた下ネタ。あの汚い「ドリーム・キャッチャー」と一緒ではないか。原作は本作が2000年で「ドリーム……」が2001年で順番が逆だが。 公開初日の初回、50分前に着いたら新宿の劇場は防火シャッターが降りていて誰もいない。40分前にオバサンが1人来て、35分前に中学生と30代後半らしき父、オヤジに、30代くらいの男性4人。 20分前ようやく扉が開いて開場。サラウンド・スピーカーがJBLになったものの相変わらずのアナログ・サウンド゛客席がフラットでどこからも前席が邪魔になる悲しい劇場は当然指定席なし。最終的に272席に25人くらい入ったが、半分以上は中高年の男性。オバサン3〜4人。若い女性が2〜3人。 始まる直前までロビーでキャピキャピ騒いでいた若い女の子達が10人くらい始まると同時くらいに入ってきたが、正体なのか仕込みなのか、とても不自然だった。さらに、関係者らしい座らない一団も。本編上映とともに出ていったが、光が入るので出て行くなら早く出ていってくれ。この入りにはがっかりしたかもしれない。しかしこの出来ではしょうがないだろう。 「キング祭り」というのぼりがあったものの、ロビーにキング原作の映画のポスターとパネルが数点あっただけ。キング風のろう人形のようなものもあったが、せめて年代別小説全リストとか、映画全リストとか、物語の舞台になった場所を記したアメリカの地図とか、キングの生い立ちとか、もうちょっと掘り下げをしていないと「キング祭り」とは言えないのではないだろうか。この程度ならちょっと調べればわかることなんだから。 しかもセコイのが、初日ブレゼント。特製ウチワというのが、丸い厚紙に指を通す穴を開けただけのヤツ、よくビジネス・ショーとかでタダで配っているあれだ。プレゼントというからには、せめてプラスチックの骨に紙を貼ったものくらいにして欲しい。それだって家電量販店ではタダで配ってるけど。まっ、ヒットしないとあらかじめわかっていたということなのか。 あれだけ注意があっても、平気で上映中にメールチェックしているヤツがいた。モラルの問題でだが、指摘したら簡単に逆ギレしそうなヤツ。結局途中で劇場を出ていった、何しにきたんだろう。 |