日本語字幕:丸ゴシック体下、太田泰子/ビスタ・サイズ/ドルビー、dts(IMDbではドルビー・デジタル、SDDSも)
日本語吹替版もあり
小さな田舎町の皿洗いロボットの息子として生まれたロドニー(声:ユアン・マクレガー)は、発明好きな青年に成長し、ずっと憧れていたビッグウェルド社長(声:メル・ブルックス)の会社に就職するため、大都会のロボット・シティへと向かった。しかし社長はおらず、会社はラチェット(声:グレッグ・キニア)に乗っ取られ大幅な経営方針変更がなされていた。 |
完全な子供向きの映画かと思ったら、ちゃんと大人でも楽しめるように作られた一級品のエンターテインメント作品だった。おもしろい。そして感動する。ちょっと涙が……。 一言でいえば、これはミュージカルだと思う。ボリュームとしては少ないが、歌とダンスが重要なウエイトを占めている。しかも、歌とダンスという楽しいオブラートに包んで、労使関係やものを大切にしない風潮など、結構、辛辣なことを言っているのだ。 とにかく主人公の両親が素晴らしい。本当に愛情たっぷりで育て、息子は素直で明るくまっすぐな青年に成長する。反抗期もない。こんな家族関係は実生活ではなかなかないんだろうが、ロボットの世界のお話だし、せめて映画の中でくらいこんな理想的な家族があっても良いじゃないの。そう思わせてくれる。だから見終わって、とってもさわやか。おとぎ話はこうでないと。 それにしても、このリアルさはなんだろう。キャラクターはどうみても漫画チックで、赤、青、黄といった子供の好きな原色系の色使い、しかもありえない動きなのに、適度な汚しとホーローのような質感でいかにもありそうに見えてしまう。これがムービー・マジックというやつ。なにも全て写実的にする必要などないのだ。むしろ写実的にしようとすると「不気味の谷」に入り込んで親しみを感じられなくなるもの。 善悪もハッキリしていて、わかりやすい。悪いキャラクターは憎たらしく、良いキャラクターは魅力的に描かれている。実写のドラマではこういうことが少ないので、久々にスッキリした感じ。勧善懲悪もたまにはいいのではないだろうか。 驚くのはやっぱり声の出演。英語版の場合、主人公のロドニーは「アイランド」(The Island・2005・米)のユアン・マクレガー。声がとても若々しく感じたので、もっと若い役者さんかと思った。 ロドニーがあこがれるビッグウェルド社のキャリア・ガールのキャピィーに美人黒人俳優のハル・ベリー。こちらもとても若い声に聞こえた。 おのぼりさんをだまして生計を立てているが根はいいヤツのフェンダー(以前はバンパーって言ったんだが、用語が変わったんだとか)は、ディズニーの「アラジン」(Aladdin・1992・米)でランプの魔神ジーニーの声を演じたロビン・ウィリアムス。まさにキャラクターにぴったたりという感じ。「雨に唄えば」のパロディで「油に唄えば」の歌と踊りはかなり笑わせてくれる。 まるまると太ったビッグウェルド博士は、いまはブロードウェイ・ミュージカルの「プロデューサーズ」で知られているかもしれないが、「ヤング・フランケンシュタイン」(Young Frankenstein・1974・米)や「サイレント・ムービー」(Silent Movie・1976・米)などで知られるコメディの名手。80歳近い年齢とは思えないほどはつらつとした声。 ロドニーの父が皿洗いをしているお店の憎たらしいオーナー、ミスター・ガンクには、「エイリアン4」(Alien: Resurrection・1997・米)など、せこい悪役で定評のあるダン・ヘダヤ。ホント憎たらしさがよく出ていた。 金物屋のボイス・ボックスは、「スター・ウォーズ」シリーズ旧3部作でダースベイダーの声を出していたジェームズ・アール・ジョーンズ。もちろんセリフはそのパロディ。聞き逃さないように。……といった具合。 監督はクリス・ウェッジ。あのヒット作「アイス・エイジ」(Ice Age・2002・米)を監督した人。どうりでウマイわけだ。共同監督が「アイス……」でも共同監督しているカルロス・サルダーニャ。今度は「アイス・エイジ2」を単独で手がけるらしい。 公開初日の初回、50分前に付いたら新宿の劇場にはだれもいなかった。どうやら子供の観客が多く、親子連れはみな日本語吹替版の方に行ってしまったらしい。ボクが並んで待っている間だけでも何家族かが日本語吹替版はどこてやっているのか聞いていた。 40分前になってオヤジが3人。20分前に開場になったときで、20代くらいのカップルとオバサンが増えて6人になっただけ。あらら。 最終的には、指定席なしの406席に25人くらいの入り。これは少な過ぎだろう。大人でも充分に面白い。ミュージカルのノリで充分楽しめる。見に行かないと。 下は小学1〜2年生くらいからいたが、字幕は読めたのだろうか。 初日プレゼントがあり、日本語吹替版でロドニーの声を演じている草なぎ剛とキャピィーの声を演じている矢田亜紀子のポスト・カードをもらった。 予告編では早くも「アイス・エイジ2」が上映され、またあのネズミのようなスクラットが出てきて笑わせてくれた。これも見たい。「ファンタスティック・フォー」と「ビー・クール」も期待大。でも「Mr.&Mrs.スミス」はペア・チケットでないとオマケがもらえないとか。なんで? |