日本語字幕:手書き書体下、(翻訳者表記なし)/シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル
(香IIA指定)
群馬県の秋名山の峠道は深夜になると通る車が無くなることから、そこを利用して危険なカー・レースが行われていた。そこで話題に高校生の藤原拓海(ジェイ・チョウ)。車はかつて秋名の神とまでいわれた最速の走り屋、父、藤原文太(アンソニー・ウォン)がチューンした車だった。そして走り自慢の男たちが、次々と拓海にバトルを挑んでくる。そんなとき、幼なじみのクラスメート、茂木なつき(鈴木杏)からデートに誘われる。 |
日本を舞台に、日本人の名前で、日本人俳優も出ていながら、堂々と広東語で日本の漫画を原作にした物語が演じられていくという映画ならではのファンタジー。違和感があるかと思ったら、意外に面白く、ちゃんと笑えるしハラハラドキドキする。ただ、カー・レースにしても(ちゃんと右ハンドル)恋愛ものの部分にしても、家族の物語としても、学園青春ものとしても、それぞれの要素を盛り込みながら、手を広げすぎてどれも物足りない感じがした。 確かに峠のレースシーンは素晴らしい。車の後ろから迫るカメラがリアー・ウインドーをすり抜けて運転席まで一気に進んだり、サイドミラーの鏡像がそのまま実際の映像になったりと、デシタル技術を駆使して「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米)のような斬新な映像を見せてくれる。 スピード感もたっぷりだ。完璧なドリフト・テクニックや迫力のサウンド。一体どうやってこれを日本で撮ったのかと(合成だろうが)思うほどだが、日本のテレビで深夜に3D-CGなども使いながらやっていたアニメのようなテクニック解説とか、チューニングなどに関するこだわりが薄いように感じてしまうのだ。絵としてのカッコ良さへのこだわりはあると思うが、肝心の車とかドライビング・テクニックへのこだわりがない。つまりマニアックではない。超絶テクを語ってくれないとなあ……。映像は本当に超絶テクがとらえられていてすごいんだけど。 特にいけないのが、恋愛パート。彼女が援交しているという最悪な結果なのに、一晩ほど悩んで電話し許してしまう。それ以上の展開はなく、未解決のまま終わってしまうというのも、どうなんだろう。 監督は、「インファナル・アフェア」シリーズを2人で手がけたアンドリュー・ラウと、アラン・マックの2人。それまでにアンドリュー・ラウは、あの瀬戸朝香が出た傑作「パレット・オブ・ラブ」(Bullets of Love・2001・香)を監督していて、もともとはカメラマン出身。ジャッキー・チェンの「新ポリス・ストーリー」(New Police Story・1993・香)やウォン・カーウァイ監督の傑作「恋する惑星」(Chungking Express・1994・香、ケン・ラーワイの名でクレジット)などの撮影を手がけていて、もちろん本作でもカメラを回している。 アラン・マックは「ジェネックス・コップ」(Gen-X Cops・1999・香港)の助監督などやっていたらしいが、日本未公開の「追兇20年」(1998・香)で監督デビューし、それが高く評価されて、最も期待させる新進監督10人に選ばれ、その後も香港フィルム・アワードで監督賞と脚本賞を受賞して「インファナル・アフェア」シリーズをアンドリュー・ラウと一緒に手がけることになったらしい。 それにしても、2人監督というのはどうやって監督するのだろう。撮影系がアンドリュー・ラウで、脚本系がアラン・マックか。 脚本もフェリックス・チョンという「インファナル・アフェア」シリーズの脚本を手がけた人。さまり、本作は「インファナル・アフェア」チームによる製作体制をしていたということか。配役もショーン・ユーとエディソン・チャンはそれぞれ「インファナル……」でトニー・レオンとアンディ・ラウの若い頃を演じていたわけだし、親父の藤原文太を演じたアンソニー・ウォンは「インファナル……」でトニー・レオンに潜入を命じた上司を演じてい。ガソリン・スタンドのバカ息子立花樹を演じたチャップマン・トウも「インファナル……」で、ちょっと悲しいチンピラを演じていた。 主演の藤原拓海を演じたジェイ・チョウは「インファナル……」組ではないが。台湾出身のミュージシャンで、なんと本作が劇場映画本格デビューとなるのだとか。ちょっと日本人っぽい印象もあって、なかなかグッド。今後期待できそうだ。 タイトルのクレジットは文字が現れて消えるとき、テール・ライトが流れるようなストリークという効果を使ったしゃれたみせ方。デザイン・センスもいいし、うまい。やられたって感じ。 公開3日目の初回、45分前に着いたら新宿の劇場は大きな劇場に変更されていた。20代くらいの男性が1人だけ。30分前にボックス・オフィスが開いて人が増え始めた。女性は全体の1/3くらい。20代が中心で、下は中学生くらいから。中高年は1/4〜1/3くらい。 25分前に1Fの入口が開いて下へ。20分前に開場。およそ30人くらい。全席自由で、最終的には763席に3.5割ほどの入り。 |