日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル
(米PG-13指定)
1920年代のアメリカ、ニュージャージー州、ライト・ヘビー級で連戦連勝のボクサー、ジェームズ・J・ブラドック(ラッセル・クロウ)が現れた。しかしケガが多く、やがて勝利から遠ざかるようになっていった。1929年、大恐慌でそれまで稼いだ財産もすべて株の大暴落で失ってしまった。そして1933年、長引く不景気のため妻メイ(レニー・ゼルウィガー)と3人の幼い子供を食べさせていくこともできなくなっていたジェームズは、かつてのマネージャー、ジョー・グールド(ポール・ジアマッティ)からボクシングの試合を組んでもらうが、こぶしの骨折が完治していなかったため、試合ではクリンチに逃げてばかりでレフリーから無効試合とされ、ボクシングのライセンスをはく奪されてしまう。 |
アメリカ大恐慌時代に実在した伝説のプロ・ボクサー、ジェームズ・J・ブラドックのボクシング人生のセカンド・チャンスを描いた感動作。両目から涙が……。 ただし、主演のラッセル・クロウは映画の主人公とはかなり正反対で、ホテルの電話がつながらないことに苛立ち、電話機を従業員に投げつけてケガを負わせたという、とんでもない乱暴者。良い話なのに、その事件のためにセリフのひとつひとつに説得力が無い。なにも聖人君子であることはないが、やはりスターは多くの人達から注目される存在なのだから、もう少し普段の行動には気をつけて欲しい。 実話とは言え、こんなにしっかりした人がいるんだろうか。大恐慌で全財産を失い、家族を食べさせていくためには泥棒してもおかしくないような状況で、不正をせず(手の怪我を隠すくらいのことはするが)子供にも人から物を盗んではいけないと諭す理想の父。やけになって他人に当たったりもせず、家族を見捨てることもなく、まっすぐ黙々と生きていく。だからこそ人を感動させられるのだろう。ボクシングでも輝かしい記録を残しているが、それよりこちらのほうが心に残る。 ボクシングの試合ができるようになるまで、物乞いまでしてしまうが、ここがまた悲しい。プライドを棄てて、家族のためにお金を無心する。これもなかなかできることではない。うーむ、港で一緒に働くことになるマイク(バディ・コンシダイン)のように、潰されてしまうのが普通だろう。 妻のレニー・ゼルウィガーも彼を見捨てず、ちょっとしたケンカはするがなんとか少ない収入から家庭を切り盛りしようとする。実生活ではあっという間に離婚してしまったけれど。こちらも説得力ないなあ。 そしてセカンド・チャンスをしっかりとモノにすること。これもなかなかできることではない。特にブレッシャーに弱い人間には難しい。慌てたり緊張したりして、せっかくのチャンスを逃してしまう。モノにしたからこそ伝説になったわけだが。誰にでもセカンド・チャンスはやって来るのかもしれないが、それをモノにできる人はものすごく少ない。 マネージャーで友人のジョー・グールドがまたいい。表向きは紳士然とした格好をしているが、それは仕事上必要だからで、実情は家具もまともに無いような状態。こういう良い友人を持つこともまた大切なことだと思わせてくれる。これを魅力的に演じたのは、「交渉人」(The Negotiator・1998・米)で事件に巻き込まれる不運な人質を演じたポール・ジアマッティ。ちょっといい加減そうに見える役が絶妙にうまい。 リングで2人を殺しているという下品で嫌な奴、マックス・ベアも強烈な印象を残す。演じたのは193cmのクレイグ・ビアーコ。とても端正な顔立ちのハンサムなのに、本作では本当にアホっぽく見える。SFスリラーの「13F」(The Thirteenth Floor・1999・米)主役を演じた人。主役を演じられるほど良い男なのだ。ちょっとわざとらしさもあったかもしれないが、つまりは演技力があるということだろう。 監督は言わずと知れたヒット・メーカー、ロン・ハワード。「アポロ13」(Apollo 13・1995・米)や「ビューティフル・マインド」(A Beautiful Mind・2001・米)には本当に感動させられた。次回作が話題の「ダ・ビンチ・コード」だというから期待が募る。実は人気ドラマ・シリーズ「24」の製作総指揮もこの人。 公開8日目の2回目、新宿の劇場は前回終了35分前に着いたら、ロビーには中年夫婦が1組。25分前に15人くらいになり、20分前には30人くらいと、ドンドン増えていった。男女比は4対6という感じで女性が多く、年齢比は中高年が2/3、20代くらいが1/3くらい。 前回終了10分前になって案内があり、列を作る。ちょっと遅い。15分前には来ないと。前回終了から5分ほどして場内へ。指定席は9席×2列。それも含め400席の9.5割ほどが埋まった。すごい。さすが人気作。ただ。ちょっとピンが甘かったかな。 予告でいよいよ「サユリ」が絵付きで始まった。内容はありふれているのに、絵で圧倒された。チャン・ツィイーがいい。そしてジョディー・フォスターが挑む密室誘拐劇「フライトプラン」。めちゃくちゃ面白そう。正月映画だと。見たい。 |