日本語字幕:手書き書体下、樋口裕子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
(香IIB)
中国、清朝時代、皇帝は反乱を恐れて人民に武術を習うことを禁じ、破ったものは死刑にするとした。これを利用して風火連城(スン・ホンレイ)に率いられた一団がこれを悪用し、各地で略奪と惨殺を繰り返していた。これに反旗を翻した傳青主(ラウ・カーリョン)は、瀕死の重傷を負い、武荘という小さな集落の若い女性、武元英に助けてもらう。そして、武荘が狙われていること、彼らから集落を守るためには、天山ヘ行って助っ人を頼むしかないという。 |
はっきり言ってすごい。2時間半のほとんどがアクション・シーン。誰かしらが戦っている。これは撮影が大変だったに違いない。通常アクション・シーンはカット数が多く、カットごとにセッティングの時間がかかるからだ。しかも過激な戦闘シーンが多く、女優であっても、その過激さはまるで変わらない。日本の女優さんで出来る人はいないだろう。こんなに体が動いて、チャンバラやカンフーの基本ができ、ワイヤーにつり下げられることに慣れており、ちゃんと演技ができる人は、そうそういない。ただ全編がアクションだとメリハリが今ひとつで、過激には違いないが単調な印象も否めない。ここが最大の問題点かも。サービス精神あり過ぎ。 まず漢字のタイトルがいい。いかにも毛筆といったイメージはアジアっぽくて、最近少ないから新鮮な感じもした。そして、悪い奴らが顔を白塗りにしてKISSのようなメイクをしているのも良かった。白黒という極端な名句をすることで表情が分かりにくくなり、殺人の平気で行うようで、かなり怖い。 7本の剣にはそれぞれ個性があり、それを使える者も限られている。そしてそれを使いこなした時に最大の力を発揮するという。その設定が面白い。デザインも7種類ともキッチリ変えられており、それも見どころのひとつ。ただ、あまりそれを使い回しておらず、もっとそれぞれの独特の特徴を活かした剣戟シーンを見たかった気はした。チャーリー・ヤンが使う「均衡」を表す剣「天瀑剣」がちょっと説明されていたが。 出演者も豪華で、父を殺された「青幹剣」の使い手ヤン・ユンフォナを演じるのが、「インファナル・アフェア3終極無間」(Infernal Affaers III・2003・香)や「ヒロイック・デュオ 英雄捜査線」(Heroic Duo・2003・香)のレオン・ライ。たぶん最も強い剣客を演じるのはドニー・イェン。「修羅雪姫」(2001・日)「HERO」(Hero・2002・香/中)「ブレイド2」(Brade II・2002・米)で知られる国際派。個人的にとてもファンなので嬉しい。 紅一点、「天瀑剣」を使うのがチャーリー・ヤン。役者としても歌手としても成功し、1997年に引退。実業家になった。それをジャッキー・チェンの傑作「香港国際警察」(New Police Story・2004・香/中)で熱烈なオファーを受けて芸能界に復活したという。本作が復帰2作目。まだまだ充分やれる。しかも本作ではかなり過激なシーンにも自ら挑んでおり、とても復帰2作目とは思えない。まるで新人のようにやる気満々じゃないか。やっぱり向いているのでは。 あまり日本では知られていないが、女先生を演じたチャン・チンチューは日本人的な顔立ちで、いい。今後は注目かも。高麗の姫を演じたキム・ソヨンも悲しい役で好印象。 監督はツイ・ハーク。いろんなジャンルを作ってきた人だけれど、とにかくアクションをたっぷり盛り込んだエンターテインメント作品が多い人。パリ国際ファンタスティック映画祭が特撮賞を受賞し、カンフーやキョンシー以外でも香港映画が大きく注目されるようになるきっかけとなった「蜀山奇傳・天空の剣」(蜀山:新蜀山剣侠・1984・香)を監督した。プロデュース作品も多く、香港アクションの起爆剤となった「男たちの挽歌」(英雄本色・1986・香)シリーズや香港映画の奥深さを見せつけた「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(倩女幽魂・1987・香)シリーズ、香港フィルム・ノアールの傑作「上海グランド」(新上海灘・1996・香)など、重要な作品全てを手がけている。ほんとスゴイ人だ。 公開2日目の初回、40分前についたら新宿の劇場は1Fの入口にオヤジが1人のみ。あれれ、前日の映画の日でたいていの人は見たい映画を見まくったということか。その反動は結構でかいのかも。トータルで損はしていないだろうけど。 25分前になって1Fの入口が開き、地下の劇場へ下りて再び並ぶ。15分前でやっと7〜8人。20代くらいが2人、オバサン1人、あとはオヤジ。10分前になってようやく開場。遅いよ。トイレ行ってきたら、もう時間がない。飲み物なんかゆっくり選んでいるヒマもない。ここはあまり売店が充実していないが。 初回のみ全席自由席で、中央のそれほど見やすいとは思えないフラットな座席(音響的にはベストだろうが、前席の人の頭が邪魔になる)11席×4列とぴあ席11席×1列も座ってOK。最終的には映画の日の反動だろう、763席に50人くらいの入り。これは、ちょっと寂しい。 |