日本語字幕:手書き書体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS
(米PG-13)日本語吹替版もあり
近未来、アメリカ海軍は最新鋭のステルス戦闘機“タロン”を導入し、エリート中のエリート・パイロット、ベン・ギャノン大尉(ジョシュ・ルーカス)、カーラ・ウェイド大尉(ジェシカ・ビール)、ヘンリー・パーセル大尉(ジェイミー・フォックス)の3人を“タロン”のパイロットとした。そして彼らのボス、ジョージ・カミング大佐(サム・シェパード)は、さらに実験中の極秘無人ステルス戦闘機EDIを僚機として加えることを発表する。それは、人工知能を備え、学習する戦闘機だったが、落雷を浮けて暴走を始める。 |
ありえないような話だが、戦闘機のデザインが優れていていかにもありそうで、カッコよくてついつい話に引き込まれる。スピード感も充分。のれるか、のれないか。ボクはのれた。 ステルス機のデザインは、レーダー波を反射させないため複雑な計算が必要らしいが、だいたい流線形のような形になるらしく、次期ステルス機として掲げられる想像図はどれも似ている。本作のステルス機もそれから逸脱していない。人工知能搭載機はさらに進んだデザインという設定らしく、角の取れたイカみたいな印象で、本当にこれで飛べるのかという感じだが、悪くはない。垂直離着陸機というのは演出上、必要だったのかも。ただ、バック・ミラーもなく、ヘッド・アップ・ディスプレー(HUD)もないのはどうなんだろう。技術が進めば要らなくなるのか。 どうも実物大のステルス機も作ったらしく、それを載せて動かす土台(ジンバル)も5軸のものを新たに設計したのだとか。かなりお金がかかっているし、それだけに見る価値はある。もちろんデジタルによるSFX技術も素晴らしい。本当に本物の空母にステルス機が離着陸しているように見える。違和感全くなし。特に良いのは、燃料の空中給油機が被弾して、燃料を漏らしながら1カ所を旋回してしまい、これにトレーサーが引火、環状に爆発が起こるシーンなど白眉のでき。半分宇宙空間のようなところで、地球を見下ろす位置から真っ赤に燃える感じがとても美しく、つい見とれてしまう。これも必見だろう。スクリーンが大きいほど迫力がある。 主要登場人物が男女3人ということで、当然、三角関係を想像してしまうのだが、白人の男性に白人の女性、黒人の男性という構成で、そういう複雑なことにはならない。アクションの爽快さを前面に出したかったのか、男女の愛と、3人の友情というまとめ方になっている。ただ、そのため黒人士官を演じたジェイミー・フォックスは、せっかくの名優なのにただの添え物のようになっており、まったく存在感なし。というか、たぶんいなくても同じ。これだったらジェイミー・フォックスでなくても良かったのではないだろうか。むしろコミカルな存在にして、ムード・メーカーにしてしまったほうが、後で効いてきたような気がした。 主人公を演じるのはジョシュ・ルーカスというひと。「アメリカン・サイコ」(American Psycho・2000・米)とか「ウォルター少年と、夏のは休日」(Secondhand Lions・2003・米)とかいけすかないヤツという役が多く、開巻そうそうはどうにもなじめなかった。とくに甘いスマイルが、オレってカッコいいだろっていう笑いで、鼻につくのだ。ところが、物語が進行していくに従って、表情もきりりと締まり、真剣さが感じられるようになってカッコよく見えてくるから不思議なもの。ラストは応援してしまっている。 相手役はジェシカ・ビール。「テキサス・チェーンソー」(The Texas Chainsaw Massacre・2003・米)で薄いタンクトップ1枚で逃げまくっていた美女。「ブレイド3」(Blade: Trinty・2004・米)ではコンバウンド・ボウという武器を使ってカッコよく、アクションができることも証明して見せた。本作でもアクションが効いている。ただの美形で主人公の恋人役かと思ったら大間違い。敵地に不時着してからの脱出劇はなかなか見せる。しかも使う銃が最新モデルのH&K・MP7A1。折りたたむとコンパクトに収納できる銃で、たしかにパイロットのサバイバル・ガンとし使えるかもしれない。セレクターを切り替えればフルオート射撃もできる。ただ、聞いた話では、4.6mm×30という特殊な弾薬がほとんどないのだという。まして映画撮影用の空砲(ブランク)ということになると、さらに数が少なくないのだという。さすがにハリウッド大作映画ともなれば、きっとメーカーのH&Kが充分な量をそろえたのだろう。この広告効果は計り知れないのだから。 3人の上官を演じたのは、「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米)ですっかりダメ上官のイメージが固まったかのようなサム・シェパード。説得力がある。本当にこんな大佐がいそうな感じ。 北朝鮮軍が使っていたのはAK47の折りたたみストック・タイプだからAKSかAKMSか。ジェシカ・ビールを狙うスナイパー・ライフルは、定番のドラグノフ。ヘリはMi-8ヒップとおぼしき機体に、ダブル・テイルのユーロコプター/カワサキBK-117なども登場。そしてアメリカ側の銃はG36。拳銃はP99のようだった。やはりH&Kがかなり協力しているのだろう。普通ならM4A1カービンあたりになるだろうに。ちなみにロシアの戦闘機はSu37スーパー・フランカー。たぶんフル3D-CG。 きっちり気持ちよいアクション映画に仕上げたのは、ロブ・コーエン監督。シルベスター・スタローンのトンネル脱出劇「デイライト」(Daylight・1996・米)や、フル3D-CGのドラゴンが素晴らしかった「ドラゴン・ハート」(Dragonheart・1996・米)、大学の秘密結社を描いたサスペンス「ザ・スカルズ/髑髏の誓い」(The Skulls・2000・米)、ヴィン・ディーゼルをスターにした「ワイルド・スピード」(The Fast and the Furious・2001・米)と「トリプルX」(XXX・2002・米)を監督しているだけあって、実にアクション映画のツボどころをとらえている。アメリカでの評価はあまり高くないらしいが、これは楽しめる。 公開3日目の2回目、55分前に着いたら新宿の大劇場のロビーには中年カップルが1組。40分前に15人くらいになり、2Fで列を作る案内があった。20分前で50人くらいに列が伸び、前回が終了して入れ替えとなった。 男女比は6対4で男性が多く、老若比は8対2で圧倒的に中高年が多い。意外に中高年カップが多いのが目立った。こういう映画でねえ。字幕判ながら下は小学生くらいからいた。指定席は12席×5列でぴあ席はなし。最終的には指定席に中高年の2カップルが座った。全体としては1,044席の6.5割という感じで、まあまあというところか。 ここはドミノピザの切り売りがあるので、なかなかリッチに映画を楽しめる。 予告編は優香の「輪廻」がかなり怖そうで、実在の女賞金稼ぎ「ドミノ」も面白そう。新しいバージョンの「キング・コング」はさらに期待が持てそうだ。まだ映像が無いものの「ダ・ビンチ・コード」も期待が高まる。オーランド・ブルームのビデオ・メッセージ付き「エリザベス・タウン」は女性に受けそうだが、男はちょっと……。 ソニー映画らしく、劇中で使用するノートパソコンは、もちろんVAIOだった。 |