日本語字幕:手書き書体タテ、太田直子/ビスタ・サイズ(1.85を1.66で上映。上にマスクばれ)/ドルビーデジタル
(香IIB)
暗黒街のボスであるホン(アンディ・ラウ)に暗殺の噂が持ち上がっていた。右腕であるレフティ(ジャッキー・チュン)は、そんな暗殺に関わる者を一人残らず殺し、一味を根絶やしにする主義。しかしホンは1人を見せしめにすれば充分と考えていた。一方、暗黒街のボスを暗殺するため密かに鉄砲玉の募集が行われ、それに2人の若者、イック(ショーン・ユー)とターボ(エディソン・チャン)が応じ、見事その役を手に入れる。そして運命の雨の夜、4人の運命が交錯する。 |
ありふれた暗殺劇かと思っていたら、さすがは香港映画、ひとひねり加えられていた。途中は凡庸に思えて眠くなったりもしたが、ラストはちょっと衝撃的だった。そういう話だったのか。ただ、これだとラストの落ち一本勝負という感じで、長編にはどうなんだろうという疑問も湧いた。30分くらいならこれで過不足ないと思うけど。それで、1時間25分と短いのか(1時間50分くらいに感じた)。 製作総指揮をボス役のアンディ・ラウが、プロデューサーをあの小太りのオジサンといった憎めないキャラを演じるエリック・ツァンが、それぞれ務めているせいか、新人監督作品とは思えないほど豪華なキャストとなっている。アンディ・ラウは積極的に若い監督の作品で出ているので、本作もその一環ということになるのだろう。特に本作は気に入ったので製作総指揮まで手がけたと。 つい最近「頭文字D THE MOVIE」(Initial D・2005・香)に出ていた3人、ガソリン・スタンドのボンボン立花樹を演じたチャップマン・トウ、中里毅を演じたショーン・ユー、高橋涼介を演じたエディソン・チャン。全員がアンディ・ラウとエリック・ツァンとともに「インファナル・アフェア」シリーズにも出演している。うむむ。それだけ「インファナル……」が大きな作品だったということか。 ホウの奥さんエミリーは、感動作「フル・ブラッド」(花旗少林・1994・香)で中国の宝を演じた台湾出身のン・シンリン。本作ではウー・チェンリェンと表記しているようだ。アンディ・ラウの妻や恋人役が多いらしい。本作でも奥さんだ。もう1人の女性、イックがほれる娼婦、ヨーヨー役がリン・ユアン。主題歌も歌っているらしいが、見たことないなあ。 ボスの本の片腕を演じているのがジャッキー・チュン。チェンではない。漢字で書くと張學友。あまり印象に無いのだが、かつては歌手としてアンディ・ラウとともに香港四天王と言われたのだとか。「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2」(倩女幽霊II:人間道・1990・香)や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明」(武状元黄飛鴻・1991・香)なんかに出ていたらしい。 監督はウォン・ジンポーという人で、本作で長編劇場用作品のデビューを飾ったという。もともとTVの人で、その後CMやミュージック・ビデオなどを撮り、インディペンデント作品で評価を高めたらしい。期待の新人ということか。確かに早送りとスローモーションを組み合わせた映像などにその片鱗が感じられる。レンズの使い方やアングルもポップな感じのものが多いような。 ヤクザたちが使う銃はトカレフ。そしてイックがヨーヨーのために強盗しまくって金を集めるのに使う銃がS&WのM686、4インチ。しかし、どの銃よりも本作では刃物が怖い。蛮刀みたいな刃物は、もう痛そうで痛そうで。これが、ラストに効いてくるんだけど。 公開8日目の初回、新宿の劇場は45分前に着いたら誰も並んでいなかった。あれれ。話題作じゃないのかなあ。劇場は大きくないけど。30分前近くになって、近辺にたむろする人が2〜3人。並ぶのは嫌ということか。オバサンが3人でやってきて「四月の雪」見にきたと思われると嫌よね、だって。ミーハーじゃないって言いたいのか? たいして変わらないんじゃないかなあ。 20分前に開場し、場内へ。全席自由で(スクリーンが低いので真ん中でも見にくいが、千鳥配列になっているのが救い)、最初は10人くらい。オバサン3人組ともう1人、若い女の子2人連れ、40代以降という感じの男性5人。 最終的には350席に40人くらいの入り。男女比は4対6という感じで女性のほうがやや多かった。それもオバサンが。9割は中高年。 それにしても、久々に縦書きの字幕は新鮮だった。ブザーが鳴って、カーテンがが左右に開いて始まる。映画を見ているって感じ。 予告では、東京ファンタで上映するというロシアの「ナイトウォッチ」とかいうホラーっぽいものが面白そうだった。見たい。一般公開するのだろうか。 |