2005年10月22日(土)「ARAHAN アラハン」

阿羅漢・2004・韓・1時間54分

日本語字幕:丸ゴシック体下、根本理恵/ビスタ・サイズ(1.85)/ドルビーデジタル

(韓12指定)日本語吹替版もあり

72点


http://www.arahan-movie.jp/top.html
(入ると画面極大化)

美容室でアシスタントをしているイジン(ユン・ソイ)は、超能力の家系に生まれ、それを活かして待ちのゴロツキを懲らしめていた。ある日、引ったくり犯を追っていた時、新米警官のサンファン(リュ・スンボム)に間違って掌風を当ててしまい、昏倒させる。しかたなく家に連れ帰ったイジンは、父とその知り合いたちにサンファンの治療を頼む。すると、こんなに気の強い男は見たことがないという。そして、気の訓練を受けさせようとするが……。

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 結構、笑える本格派カンフー・アクション。ハード・アクションと軽いタッチのコメディを融合させてしまったことに驚きを禁じ得えない。たいていはどっちつかずとなったり、アクションの物足りなさをギャグでごまかそうとするものだが、ちゃんと溶け込んでいる。そして実際に笑える。「なんで5人しかいないのに七仙なんだよ。「五福星」とかにすりゃいいだろう」なんてのがいい。ビルを飛び越えるところなんか「マトリックス」(The Matrix・1999・米)真っ青って感じ。

 なによりいいのは、ヒロインがちゃんと体が動いてカンフーができることと、ヒーローが外見はさえなくドジなヤツだということ。反感を買わないと思う。むしろ声援したくなるかも。これが二枚目だとあまり盛り上がらなかったかもしれない。

 主人公が熱血警官で、ちょっとSFチックというのは同じ韓国映画の「僕の彼女を紹介します」(Windstruck・2004・韓)に雰囲気が似ていなくもない。あちらはラブ・ストーリーでこちらはアクションだが。なんか、どこか似ている気がする。

 主役を演じているのはリュ・スンボムという人で、兄が映画監督だという。日本でも知られている作品では「ガン&トークス」(Gun & Talks・2001・韓)、「復讐者に憐れみを」(Sympathy for Mr. Vengeance・2002・韓)に出ているらしく、いくつかの賞も受賞しているという。とにかくいい味を持っていると思う。

 動けるヒロインは、ファッション・モデル出身のユン・ソイ。どうりでスラリと長身でスタイルが良いわけだ。何と、本作が初めての映画出演だとか。それにしては堂々としている。演技だけじゃなく、アクションをしながら演技するというのは本当に難しい。それがこれだけ堂々とできるのだから、大物なんではないだろうか。しかも現役の女子大生だというのだから驚く。

 カンフー・マスターで父親のジャウンを演じたのは、韓国を代表する俳優のアン・ソンギ。最近では「MUSA -武士-」(Musa・2001・韓/中)、「黒水仙」(Last Witness・2001・韓)、「シルミド」(Silmido・2003・韓)、「ピアノを弾く大統領」(The Romantic President・2002・韓)などに出ていた。もちろん古くからの役者さんなので、韓国映画が日本でも公開されるようになり始めた頃の傑作「ホワイト・バッジ」(White Badge・1992・韓)にも出演、というか主演している。

 アラハンとなってその力を自分のものにしようと企む男、フグンを演じたのが、アクション監督のチョン・ドゥホンという人。1966年生まれだというが、ソウル・アクション・スクールの設立者でもあるらしい。ほとんどの韓国アクション映画に関わっているそうで、「シュリ」(Swiri・1999・韓)「ブラザーフッド」(Brotherhood・2004・韓)「チューブ」(Tube・2003・韓)など話題作はすべて彼が手がけている。

 監督は脚本も手がけたリュ・スンワン。1973年生まれという若い監督。ずっとアクション作品を手がけてきた人で、2005年のカンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞しているという。今後注目だろう。

 公開初日の3回目(字幕版は初回)、新宿の劇場は35分前でロビーにオバサン2人、20代後半の男性1人。来場者プレゼントがあって、劇中で主人公が飲むヤクルト風乳酸菌飲料の青汁版をもらう。意外においしかった。

 5分前くらいに列を作らされて、20分前に入れ替えとなり、整列入場。全席自由で、この時点では20人くらい。その内、女性は7人ほど。最終的には300席に50人ほどの入り。オヤジと20代後半くらいが半々。ただ、この劇場はどの席でも前の人の頭が邪魔になってスクリーンがよく見えない。前席にだれも座らないように祈るしかない。

 予告編はスクリーンの左がピンボケで、なんだかなー。危険が売りの「七人のマッハ」は売り方がどうかと思うが面白そうで、「キャーブ・ゼロ」も期待できるかも。「2」はガッカリだったが。


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