2005年10月23日(日)「ドミノ」

DOMINO・2005・米/仏・2時間07分

日本語字幕:丸ゴシック書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

72点


http://www.domino-movie.jp/index02.html
(最新情報に全国劇場案内もあり)

名優ローレンス・ハーヴェイの娘として生まれ、何不自由なく育ちながら、何か物足りなさを感じ、自ら賞金稼ぎ〈バウンティ・ハンター〉となったドミノ・ハーヴェイ(キーラ・ナイトレイ)は、すぐさま才能を発揮し2003年の賞金王となった。しかし、マフィアの資金1,000万ドル強奪事件に巻き込まれることになる。

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 なんと実話の映画化。一番公開が早かったのはカナダで、2005年9月25日に公開され、アメリカでは10月14日に公開されている。しかし、驚いたことに今年、2005年6月27日にモデルとなった本人のドミノ・ハーヴェイはロサンゼルスの自宅で死亡しているのを発見されたという。享年35歳。おそらく映画の最後、エンドクレジットに出ている女性が、生前の最後のドミノ・ハーヴェイの姿ではないだろうか。この映画は彼女に捧げられている。

 ナレーションで「ほとんど事実」と言っているが、はたしてどこまで事実なのか。良くはわからない。しかし、なんとドラマチックな半生だったのか。バウンティ・ハンターという職業を選んでからの人生は、充実した人生だったか、破滅への道だったのか。セレブの娘、お嬢様として生まれながら、いやそう生まれたからこそ、普通の人生は送れなかった。血なまぐさい暴力に溢れた生き方。それがショッキングだ。

 現代のバウンティ・ハンター=賞金稼ぎというのは、懸賞首を追う西部劇の時代とは違う。アメリカには保釈金を払う商売というのがあるそうで、被告となった者はそれを払ってもらえれば刑が確定するまでの間、自宅に戻ることができる。そして裁判の時に本人がもどってくればその保釈金は全額返金される。保釈金を立て替えた業者は手数料を収入とする。ところが、容疑者が逃亡してしまうと保釈金は没収となるわけで、業者としてはどうやってでも容疑者を連れ戻さなければならない。そこでそういうことに慣れた専門の業者、すなわちバウンティ・ハンターに保証金の10%などでそれを依頼するというわけ。これを本当に若い元モデルの女性がやっていたというのだ。何も裁判の被告になるのは、優男ばかりではない。相当に凶暴なヤツだっているだろう。よほど訓練されたものでないと、命を落とすことだってあり得る。

 撮影に当たって、本物のバウンティ・ハンターのエイジェント、ジーク・アンガーという人をコーディネーターに雇い、バウンティ・ハンターを演じる3人、キーラ・ナイトレイ、ミッキー・ローク、エドガー・ラミレスは射撃訓練などを含むバウンティ・ハンター養成プログラムを受けさせたという。どうりで動きに説得力があるわけだ。

 バウンティ・ハンターということであれば、やはりスティーブ・マックィーンの遺作となった「ハンター」(The Hunter・1980・米)を挙げないわけにはいかないだろう。あの作品でバウンティ・ハンターがどういうものか知った人も多い。そして本作は、当然のことながら同じ監督の作品である犯罪者映画「トゥルー・ロマンス」(True Romance・1993・米)に雰囲気が似ている。そしてちょっと兄のリドリー・スコットが監督した「テルマ&ルイーズ」(Thelma & Louise・1991・米)にもどこか似た雰囲気がある。そして多分にMTV風ではある。

 もちろん「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pairates of the Caribbean : The Curse of the Black Pearl・2003・米)のキーラ・ナイトレイは、胸と半ケツまでさらして(それより銃器の扱いのほうがよっぽど大変だったはずだが)がんばっているし素晴らしい演技だが、存在感があって役に似あっていたのは、最近すっかりB級俳優になってしまった感のあったミッキー・ローク。本作と「シン・シティ」(Sin City・2005・米)でメジャー作品への完全復帰を果たしたような気がする。

 怖さを感じさせるほど、相変わらずキレ演技が素晴らしいクリストファー・ウォーケンだが、それが活かされていない。出番が少ないので、なんか中途半端なのだ。強烈に印象に残るのに……。

 ドミノが使う拳銃はSIGのP226。ほかにS&WのM686、4インチのようなものも出ていた。ショットガンは最近ハリウッドで人気のモスバーグ。ストックを取っ払い、ピストル・グリップを取り付けたショート・バレル。特殊部隊は当然MP5とM4カービンを装備している。

 公開2日目の初回、銀座の劇場は60分前に着いたらすでに開場済み。どうやら併設しているミニ・シアターが先に開いたのでそれに合わせたらしい。ロビーには白髪の老人が1人。40分前に中高年の男性が6人ほどになり、35分前にオバサンと30代くらいのカップルが1組。

 35分前に入場となり場内へ。初回のみ全席自由なので、16席×2列のカバーがかかった席に座った。徐々に若い人も来て、35歳くらいで分けると、老若比は6対4で若い人が多く、男女比はほぼ半々。10分前で50〜60人から、最終的に一気に564席に100人くらいの入りへ。しかし少ない。

 予告では優香の「輪廻」が怖そうで、「フォー・ブラザーズ」も面白そう。「オリバー・ツイスト」はずいぶんととお金がかかっていそうな感じ。スクリーンがシネスコになってから「キング・コング」の予告があったが、ますます見たくなった。素晴らしい。


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