2005年10月29日(土)「ソウ2」

SAW II・2005・米・1時間40分(IMDbでは93分)

日本語字幕:丸ゴ書体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル、dts、SDDS

74点

(日R-15指定、米R指定)

http://saw2.jp/
(全国劇場案内もあり)

再びジグソウ(トビン・ベル)の殺人ゲームが始まる。強引な捜査で知られるエリック刑事(ドニー・ウォルバーグ)のもとにあるメッセージが届けられ、エリックはSWATとともにジグソウのアジトを急襲する。そこにはいくつものモニターがならび、どこかわからない場所に自分の息子ダニエル(エリック・ナドセン)を含めた8人の男女が監禁されていた。脱出するには謎を解き、何かしらの犠牲を払わなければならい。それがルールだと。そして息子を助けたければ自分の話を聞けと言う。そのときタイマーは作動を始め、残り時間2時間と表示される。

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 怖い。残酷シーン満載で、しかもリアルなため、気持ち悪くなる。残り時間に追われる感じが観客にも伝わり、まるで自分がそのトラップを逃れようともがいている感じがしてくる。この焦燥感と、ひりひりするような切られた感覚。あまりに凄くて、引いてしまう人もいるかも。

 前作ほどの驚きはないが、死のトラップがよく考えられていて、サイコ野郎ならこんなことをやりかねないというものばかり。しかも8人もいて、誰も協力しようとせず、勝手に逃げ出そうとする。

 今回はドラマはこれだけではなく、平行してもう1つ、離れた場所にいるジグソウと刑事の対決が描かれる。モニターで閉じこめられた8人を映し、さあ助けられるかというわけだ。これがさらに焦燥感をあおる。別な場所が映ることで閉塞感というか閉じこめられた感覚は薄れるものの、ドラマチック感は倍増している。

 前作で犯人や動機はすべて明かされているので、今回は最初からそれがわかった状態で始まる。8人がどうやって巧妙なトラップを逃れて脱出するのかと、刑事がどうやって彼らを助け出すのかという2点にほぼ焦点は絞られている。謎が多かった分、前作のほうがそれを明かしていく楽しみがあって、出演者は少なくても面白かったとは思うが、オリジナルのティストを失っていないし、面白く仕上がっているのはスゴイ。「2」はつまらないという定説はこの作品には当てはまらない。

 印象に残ったのは、やっぱり前作から引き続いてジグソウを演じたトビン・ベルという人。メイクのおかげもあって顔が白っぽくまさに末期ガンで余命短しといった感じが恐ろしい。生きる屍というか、とにかく存在感だけで怖い。他の作品ではもっと強そうな悪人を演じているので、演技力とメイクの賜物なのだろう。有名なところではシャロン・ストーンの西部劇「クイック・アンド・デッド」(The Quick and the Dead・1995・米)に出ていた。

 そして、怒鳴り散らすだけでちっとも頼りにならない主人公の刑事を演じたドニー・ウォルバーグも、情けない感じが良く出ていて素晴らしかった。「ドリームキャッチャー」(Dreamcatcher・2003・米)に出ていたらしいが、見覚えはあるものの印象が薄い。

 閉じこめられた8人の1人、メキシコ系っぽいザヴィエルを演じたフランキー・Gは、かなりのマッチョで、考えるよりも先ず行動といった脳みそまで筋肉みたいな感じが良かった。何をヤルかわからず、いかにもストリート・ギャングみたいな感じが良く出ていた。この人は「ミニミニ大作戦」(The Italian Job・2003・米)で、後から参加する車のメカニック、レンチを演じていた人。まだ出演作は少ないが、今後注目の俳優さんかもしれない。

 脚本も兼ねる監督のダーレン・リン・バウズマンという人は、1979年生まれというからまだ26歳という若さ。これまではミュージック・ビデオやコマーシャルで活躍していたらしい。そして自らが書いた脚本が製作会社のブロデューサーの目に留まり、前作の脚本家であるリー・ワネルと一緒にその脚本を「ソウII」に“変貌”させたのだという。それで、本作で商業映画監督デビューをかざったのだとか。

 ではリー・ワネルの相棒、前作の監督ジェームズ・ワンはどうしたのかというと、リー・ワネルと組んで書き上げた「Silence」という作品を撮り終え、いまポスト・プロダクションに入っているらしい。やっぱりホラーというかスリラーで、これも大変に楽しみだ。

 公開初日の初回、60分前に着いたら、新宿の劇場は20代後半と30代とおぼしき男性が2人。50分前に15人くらいになり、オバサン1人とその娘らしい若い女性も1人。40分前に30人くらいになり、やっと整列に来た。8〜9割は高校生くらい〜大学生くらいの若い男性。女性は5〜6人。35分前に開場となって入場。この時点で50人くらいに。

 指定席はなく、なぜかBGMもなし。25分前くらいになったらBGMが流れ出した。次第に女性も増え出して、5分前には全体の1/4くらいに。最終的には見やすいスタジアム形式の420席の7割くらいが埋まった。これはお見事。前作の評判が行き渡っていたのか。

 予告でニコラス・ケイジが武器商人を演じる「ロード・オブ・ウォー」が始まった。なかなか面白そう。


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