日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビー、dts、SDDS
(米PG-13指定)
ダリア(ジェニファー・コネリー)は夫のカイル(ダグレイ・スコット)と離婚調停中で、幼い娘のセシリア(アリエル・ゲイド)の親権をめぐって争っていた。そして娘と一緒に暮らすため、ダリアは夫とは離れた場所のルーズベルト島にアパートを借り、引っ越しをした。ところがその部屋の天井には雨漏りのような黒いしみが出来、どんどん大きくなっていた。 |
怖いというより、暗い。そして辛い。こんな終わり方で良いの? 踏んだり蹴ったり。苦労のし損。こんな報われない話も最近珍しい。たぶん日本のオリジナル版と違う結末にしたかったのだろう。ハッキリ言ってそれは失敗だったと思う。ただ、原作の日本版「仄暗い水の底から」(2002・日)の結末がない感じに比べれば、ハリウッド作品らしくちゃんと結末は用意されているのだが……。 とは言え、日本版は怖かったが、ハリウッド版は離婚や子育てや親子の関係に焦点を絞り込み過ぎたため、あまり怖くない。どうにもならない閉塞感がどんどん募っていくだけ。しかも毎日が雨で、ますますうっとうしい。これはたまらない。せてめてラストでそれが一気に晴れると良いのだが、そうはならない。さらにどん底に突き落とされる。 オリジナルの日本版では中途半端な登場人物ばかりだったが、本作でも改善されてはいるものの中途半端は目立つ。離婚調停中の夫が、アパートの若者に何かダリアに嫌がらせをするように頼んだのか、頼んでいなかったのか。弁護士は何のために携帯のカメラで写真を撮っていたのか。自分の部屋を持っていた管理人の部屋から聞こえて来た音は何だったのか……それぞれ意味がないんだったら、ことさら思わせぶりに強調しなければいいのに。 脚本はラファエル・イグレシアスという人。これまでにジョニー・デップの陰気なジャック・ザ・リッパーもの「フロム・ヘル」(From Hell・2001・米)や、これまた暗いリーアム・ニーソンの「レ・ミゼラブル」(Les Miserables・1998・米ほか)、さらにシガーニー・ウィーバーの悲惨な「死と処女(おとめ)」(Death and the Maiden・1995・米)、「フィアレス」(Fearless・1993・米)などの脚本を書いている。この暗さはもともと小説家だったらしいラファエル・イグレシアスのものなのかもしれない。 監督はブラジル出身のウォルター・サレスという人。「セントラル・ステーション」(Central Do Basil・1998・米)や「モーター・サイクル・ダイヤリーズ」(The Motorcycle Diaries・2003・英/米)などで賞をいくつも受賞している人。ボクはどれね見たことがないが、本作を見る限り、まあ他も見なくて良いか。あまり興味が湧かなかった。ただ、この人が監督するというのでなのだろう、有名な俳優さんたちが多数出演している。だから逆に大したことがない役でもも何か意味があるのではないかと思ってしまうのだ。これがハリウッドのシステムというヤツか。残念! 公開4日目の初回、さすがに平日は人が少ない。紀宮様の結婚式だからということではないだろうが、銀座の劇場は30分前に付いたら、窓口は開いていたが劇場は開いていなかった。ロビーで待つと、25分前になって開場。老人に近いオヤジが3人だけ。寂しい。 奥の劇場でやっている「四月の雪」のオバサン客が間違って10人くらい入ってきたが、結局は654席に15人くらいの入り。女性というかオバサンが1人。 ニコラス・ケイジが武器商人を演じる「ロード・オブ・ウォー」の予告が始まった。なかなかフラックで面白そう。日本のホラーらしい「サイレン」は映像がなく、何が何だかさっぱりわからない。TVスポットでは阿部チャンが「サイレンが鳴ったら外に出てはいけない」とか何とか言っていたと思うが、それもなし。何だ一体。 |