日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル、dts
(米PG-13指定)
結婚5〜6年目のスミス夫妻は、何かしっくり行かず心理カウンセリングを受けていた。実はお互い秘密だったのだが、夫のジョン・スミス(ブラッド・ピット)はある組織の暗殺者であり、妻のジェーン・スミス(アンジェリーナ・ジョリー)もまた別の組織の暗殺者だった。お互いに秘密が多過ぎて夫婦仲がうまくいっていないのかもしれなかった。そんなある日、それぞれの組織から同じターゲットを殺すように指令が出て、ついに2人は鉢合わせすることになる。 |
展開は読めるが面白い。夫婦の物語とアクションを合体させ、大人の寓話としたところがいいと思う。年末にカップルで気軽に見るのに良いかも。クサイという人もいるかもしれないけど。なにしろこの映画がきっかけとなって、ブラピとアンジェリーナ・ジョリーはつき合い始めたそうだから。 表向きには……いや、基本的には、他愛もないアクション映画だ。日本では先ず信じられないような、犯罪組織系ではない特殊な組織に属する暗殺者という時点でファンタジーだろう。しかも、それぞれ別の組織に属する敏腕暗殺者同士がが恋に落ちて結婚する。その確率はどんなに少ないことか。さらに、5年(ジェーンの主張によれば6年)もの結婚生活で、お互いの職業を秘密にし続けたと、そんなことがあるだろうか。これは間違いなくファンタジーだ。 その信じがたい設定なんかどうでも良くなるのは、映像が面白く、話の展開が興味深いからだ。荒唐無稽の設定なのに、描かれているのは、夫婦間に訪れたある種の倦怠期。それを過激に解決するお話だ。おとぎ話といっても良いだろう。だから、設定とかおかしなところがあってもいいのだ。エッセンスを楽しめばいい。 冒頭、カウンセリングで妻が質問する。「二人の間に大きな溝があるの。これを何と呼べばいいのか」。ドクターが答えて「結婚です」。笑った。ほかにも笑えるところはいっぱいある。 そんな笑わせるネタと、3D-CGを使った超絶アクションの組み合わせ。これは見る価値がある。本当にスタント・ピーブルや役者を危ない目に遭わせなくても、観客を驚かせる映像は作れるのだと。いつまでも、本当に命を懸けて危険なことをやっていてはいけないだろう。3D-CGはお金がかかるとしても、見せ方の工夫はほかにもいくらでもあるはずだ。 銃はそれこそたくさん出てくるが、最初にプラピが使うのがP226らしい銃。相棒のヴィンス・ヴォーン(「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(The Lost World : Jurassic Park・1997・米)や「ザ・セル」(The Cell・2000・米)、「Be Cool」(Be Cool・2005・米)など)の家のキッチンにはM60マシンガンやRPG7などが無造作に置かれている。 家の中での撃ち合いには、アンジェリーナ・ジョリーがドット・サイト付きのUMPサブマシンガン、モデル名までわからないがレール付きのポンプ・アクション・ショットガン、ロング・バレルでサイレンサーが装着可能なガバメントなど。後半ではUSP(あるいはMk23)、MP5K、M4カービン、フルオート・ピストルのG18、ベレッタM93R、M3ショットガンなど、とにかく豪華絢爛、大盤振る舞い。砂漠でブラピが使っていのは対戦車ミサイルのM136AT4か。 監督はダグ・リーマン。正当派の面白さだった「ボーン・アイデンティティ」(The Born Identity・2002・米)を監督した人。アクションがうまいことはこれでハッキリと証明された。素晴らしい。次回作にも期待だ。 脚本はサイモン・キンバーグ。本作の前に、日本では劇場未公開だったが、なかなか面白いアクション大作だった「トリプルXネクスト・レベル」(xXx : State of the Union・2005・米)を書いている。次回作は「X-Men 3」で、今撮影中だというから楽しみだ。 アーマラー(武器係)はあの有名なマイケル・パパックの息子のニック・パパック。「ホステージ」(Hostage・2005・米)や「トリプルXネクスト・レベル」や「ドミノ」(Domino・2005・米)を手がけた人。結構マニアックな銃を扱っている。待機中の新作にコリン・ファレルとジェイミー・フォックスがソニーとタブスを演じるマイケル・マン監督の「マイアミ・バイス」(2006)が控えている。これまた楽しみ。ブレン・テンが出るのか。 公開初日の初回、銀座の劇場に60分くらい前に着いたらすでに17〜18人の行列が。ほとんど中高年で、男女比は半々くらい。20〜30代は3人くらいいただろうか。45分前に30人くらいになり、40分前に開場した時で50人くらいに。風があって、ちょっと肌寒い日だったので劇場に入ったらホッとした。 初回のみ全席自由で、17席×2列のカバーがかかった席も座ってOK。その後、若い人もちょっと増えて、最終的に654席の5.5割ほどの入り。意外に少ないような。 |