2005年12月4日(日)「七人のマッハ!!!!!!!」

BORN TO FIGHT・2004・タイ・1時間35分(IMDbでは96分)

日本語字幕:手書き書体下、風間綾平/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタルEX

(シンガポールNC-16、日PG-12指定)

72点


http://c.gyao.jp/movie/7mach/
(全国劇場案内もあり。入ったら音に注意。画面極大化。Explorerでないと動かないかも)


タイ国家特殊部隊のデュー(ダン・チューポン)は、麻薬捜査で上司を殉職させてしまい、失意の日々を送っていた。そんなときテコンドー金メダリストの妹ニュイ(ゲーサリン・エータワッタクン)が、スポーツ協会の主催で各競技のチャンビオンを集めてタイ北部の小さな村、パトン村へ慰問に行くというので、付いていくことにする。ところが、突然その村が武装ゲリラに襲撃される。そして対政府に対して、逮捕された自分たちのボス、ヤン将軍(ノッポン・ゴーマラチューン)を24時間以内に釈放しろと要求する。

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 タイ映画でも「マッハ!」(Ong-Bak・2003・タイ)や「ダブルマックス」(The Bodyguard・2004・タイ)系の笑わせるものではなく、「レイン」(Bangkok Dangerous・2000・タイ)や「デッドライン」(102 Banghoh Robbery・2004・タイ)系のストレートなアクション映画。ところどころおかしなところもあるが、とにかく一生懸命。それが伝わってくるので、そのことで感動する。

 驚くべきは、やはり宣伝のようにアクション・シーンだが、これは日本では許されないような危険度だろう。ましてハリウッドでは考えられないし、デジタル技術が発達した今(しかもタイのCG技術のレベルも相当高い)、こんなに危険なスタントを生身でやる必要性がないと思う。まあ予算の問題もあるのだろうが……。まさかCGより人間の命の方が安いとか……。その危険度をウリにするのはいかがなものか。

 タイ映画としては破格の予算がかけられているだろう。たぶん、普通のアクション映画に対して、日本映画ではここまでお金がかけられないのではないだろうか。村ひとつが吹っ飛ぶのだから。だいたい日本映画ではここまで大規模な爆破シーンは撮れないし。これって環境破壊とかにならないのだろうか。大気汚染とか。

 とにかく一生懸命。登場人物たちも一生懸命だし、それを演じる役者たちも、スタントマンも、当然スタッフだって、一生懸命なのだ。それは素晴らしい。映画へのストレートな思い。直球勝負。そして実際に多くの各界の本物のチャンピオヤン・金メダリストが出演している。当然、彼ら全員に見せ場が作ってある。

 ただ、それが「七人」どころではなくもっとたくさん出ている。では、なぜ「七人のマッハ」なのか。襲撃される村を助けるから「七人の侍」(1954・日)に引っかけたということか。「マッハ」で売るしかないというのも悲しいような。

 監督・原作・アクション監督と3役をこなしたのは、バンナー・リットグライという人。トニー・ジャー(「マッハ!」主演)の師匠。ジャッキー・チェンに憧れてアクション俳優になろうとしたというが、25歳の時に撮った本作と同名の作品が地方を中心にヒットし、その後100本以上の作品に関わったという。「マッハ!」でアクション監督を務め、「ダブルマックス」でもアクション監督を務めているという。本作で再び監督に復帰することになり、最初の作品をリメイクしたらしい。

 銃器は冒頭のシーンで刑事たちがM92F。敵のリーダーがワルサーP99。長いアバン・タイトルの後、やっとキャストが出る。村を襲ってくる赤いスカーフの集団は、狙いなのか、寄せ集め軍らしく銃器もバラバラ。AK47もあれればM16A1もあり、CAR15、珍しいAR18、HK33などが使われている。村を包囲する政府の特殊部隊はMP5。ただ、敵のAR18を長老のような人が奪って撃つ時、途中でM16A1に化けたりしていたが。M72LAWで人を木っ端みじんにするのは驚く。ここまで表現するか。うまいけど。

 公開2日めの初回、新宿の劇場は45分前に付いたら劇場前のエレベーター・ホールの灯さえ点いていなかった。たぶんこの劇場には期待していないのだろう。暗くて本も読めないので、コーヒーを買ってくることにした。25分前に戻ると、さすがに灯は点いていたが、まだ開場していない。せまいエレベーター・ホールに若いカップ1組にオヤジが2人。まもなく開場となり、指定席のない場内へ。

 ここはスクリーン位置は高いが、やはり前席の頭が邪魔でスクリーンが見にくい劇場。座席も千鳥配列ではなく、前席に座高の高いヤツが座らないことを祈るしかない。15分前くらいから人が増え出して、中高生くらいの若い人から、老人まで意外と幅が広い。最終的には老若比は半々くらいに。209席の5割程が埋まった。正直助かったという感じ。ここで混んだらスクリーンがよく見えなくなる。

 予告にやっと「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」が登場。そこそこ面白そう。ジェット・リーと中村獅童が共演するという驚きの「FEARLESS」の予告編も。柔道着(空手着?)を着た中村と、ジェット・リーが競技場のようなところで戦う場面が出た。びっくり。見たい。


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