2005年12月6日(火)「ブレイキング・ニュース」

大事件/BREAKING NEWS・2004・香・1時間31分(IMDbでは90分)

日本語字幕:手書き書体下、鈴木真理子/シネスコ・サイズ(レンズ)/ドルビーデジタル

レイトショー(シンガポールPG指定)

74点


http://www.breakingnews.jp/
(全国劇場案内もあり)


不審なグループを追っていたチョン刑事(ニック・チョン)たちは、ひょんなことから彼らと銃撃戦になった。たまたまマスコミが付近で発生した交通事故の取材に来ていたことから、その模様が生中継されてしまう。そして犯人たちには逃げられ、警官の中には両手をあげて命乞いするものまでいたことから、すっかり市民の信頼を失ってしまう。そこで、警察は失った信頼を取り戻すため、マスコミを利用することにし、レベッカ警視(ケリー・チャン)に全権を与えて事件解決を図ろうとする。

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 おもしろい。低予算だろうことは出演者を見ても、2〜3人しか有名俳優が出ていないことからわかるが、脚本・演出・演技・編集・特殊効果などきっちりハマッていて、緊張感を持って最後まで見ることができた。一体この事件の先がどうなるのか、まったく読めなかったし、意外な結末を迎える。これは劇場で見る価値のある作品ではないだろうか。

 おそらく予算のほとんどは、美人警視役のケリー・チャンの出演料と、銃器特殊効果につぎ込んでいるのではないだろうか。日本でも知られるほど有名な役者さんは、かろうじてジャッキー映画「ゴージャス」(Gorgeous・1999・香)で最初にスー・チーに振られる若者を演じていたリッチー・レンが銀行強盗のボスを演じているくらい。ハリウッド作品にも出演する副長官役のサイモン・ヤム(近作で言うと香港の特殊部隊の一夜を描いた「PTU」(PTU・2003・香)やジャン=クロード・バンダムの「レクイエム」(Wake of Death・2004・米)や、「トゥームレイダー2」(Lara Croft Tomb Raider : The Cradle of Life・2003・米))は特別出演扱い。ほんのちょっとしか出ていない。

 当局は事件をショーに仕立て、TVをうまく使ってイメージ回復を図ろうとする。ここがおもしろい。それを知った犯人側も、携帯のカメラ機能を使ってパソコンからインターネットを使って画像を公開するなど、実に今風でいい。

 しかも銀行強盗4人(1人は途中で死亡する)が逃げ込んだビルにはも、プロの殺し屋の2人組がおり、警察が来たのは自分たちのせいだと思い、逃げ出そうとして警官隊と撃ち合いになるという具合に、物語は錯綜していく。そして、それがラストに効いてくるのだから脚本がうまい。汚くて狭くて、でも全体としては大きなアパートの中だけでほとんど物語が進行するのは、予算を考えての設定だろう。書いたのはチャン・ヒンカイとイップ・ティンシンの2人。チャンはジャキー・チェン映画に加山雄三が出た「デッド・ヒート」(Thunderbolt・1995・香)やドニー・イェンの殺陣が良かった「ツインズ・エフェクト」(The Twins Effect・2003・香)を手がけている。イップは金城武の「ターンレフトターンライト」(Turn Left, Turn Right・2002・香/シンガポール)やアンディ・ラウの傑作「マッスルモンク」(Running on Karma・2003・香)を手がけている。なるほど。

 監督はアクションに定評のある、「ザ・ミッション/非情の掟」(The Mission・1999・香)や「暗戦デッド・エンド」(暗戦・1999・香)、「フルタイム・キラー」、「ターンレフトターンライト」、「マッスルモンク」、「PTU」などで知られるジョニー・トー。本当にうまい。

 そんなわけで、これが限られた劇場でのレイト・ショー公開というのは理解に苦しむ。劇場が押さえられなかったのだろうが、なぜ? シネスコ・サイズでもあり。アクション・シーンはやっぱり大きい劇場で見た方がいい。もったいない。

 悪人たちはAK47やM92F、トカレフ。対する警察はチーフスペシャル系のリボルバー、特殊部隊がMP5。ケリー・チャンはチーフスペシャルを、ニック・チョンはMP5の固定ストック、たぶんA2を持っている。

 池袋の劇場は前売り券も当日券と交換するシステムで、当日券に書かれた番号順での入場。30分ほど前に着いたら5番だった。コーヒーを飲みに行き、15分くらい前に戻ったら、まだレギュラー上映の作品が終わっていなかった。10分前くらいになってやっと入場。この時点では7人ほど。20代くらいの男性が3人くらいの、女性が2人。中年2人。最終的には130席に12人くらい。宣伝もほとんどしていないので、こんなものなのだろう。意外と若い人が多いのに驚いた。

 フィルムが切れたのか上映トラブルで開演が5分ほど遅れた。やっと始まった予告編は、絵はまともだったが音がヘロヘロ。まるで水の中で話しているような感じ。聞くに耐えなかった。まさか本編まで、という恐怖が沸き起こったが、映写機が違うせいか本編はまともだった。助かった。予告は「タ゜プルマックス」や「美しき野獣」などだが、音が酷くてほとんど覚えていない。やれやれ。


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