2005年12月24日(土)「秘密のかけら」

WHERE THE TRUTH LIES・2005・加/英/米・1時間48分

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル

(米NC-17指定、日R-18指定)

72点


http://www.himitsu-kakera.jp/
(入ったら音に注意)


1972年、才能ある若手ジャーナリストのカレン・オコナー(アリソン・ローマン)は、かつて一世を風靡した2人組の芸能人の15年前のスキャンダルを出版するため、出版社から資金を得ると、今は別れてしまったモリス(ケヴィン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)のもとへ取材に出向く。そのスキャンダルとは、当時2人が泊まっていたギャングが経営するホテルの部屋で、全裸の若い女性の死体が発見されたというものだった。一体何が起こったのか。2人は徐々に重い口を開くが……。

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 強烈なエロティック作品。かつて一体どんな事件があったのかというミステリーよりも、有名芸能人のハレンチな私生活に重点があり、過去のそれを掘り起こして本にしようとする若い女記者自身もまたそのワナに落ちて行くという、なんともはや……という映画。たぶん監督の趣味ということになるのだろうが、不必要なくらいベッド・シーンが多い。まっ、それはそれで嬉しいけど……。

 カナダやヨーロッパでの受賞が多いアトム・エゴヤンという監督名から奥の深い芸術作品的解釈をする人もいるかもしれないが、ボクにはどうもミステリーの雰囲気を漂わせたエロ映画という印象しかなかった。なにしろ、これまでに1本もアトム・エゴヤンの作品を見ていないので、先入観がないというか、高く評価する素地がない。見たい気になる作品がなく、また小さな劇場でしか公開されず行かなかった。すみません。でも、今回初めて見てみて、特にこの監督だから見に行くことは今後もないだろうと思った。ちなみにIMDbでは6.6点という高めの評価。ただ600票に満たない投票数しかないが。

 それでも、あえて言わせてもらえば、もう少しエロを押さえてミステリーを立たせていれば面白い作品になったのではないかと思う。いろんな証言を集めて、徐々に真相が明らかになってくるという手法は、やはり黒澤明の「羅生門」を彷彿とさせる。立場の違いによる解釈の違いとか、そこまで踏み込んでいるわけではないので、ミステリーの常道を使ったのだろうけど。秘密のかけらを集めて真実を明らかにすると、そういうことか。

 原作があって、ルパート・ホルムズの同名小説は2004年のネロ・ウルフ賞最優秀アメリカン・ミステリー小説賞というのを受賞しているという。作者のルパート・ホルムズは、小説家でもあり、作曲家としても、作詞家としても高い評価を受けている天才であるらしい。原作を読まなければわからないが、ミステリーとしてしっかりとしたものだろうことは伺い知れる。残念だ。

 公開2日目の2回目、初回以外、全席指定なので朝のうちに席を確保して、20分前くらいに着いたら、すでに開場していた。劇場はスタジアム形式で、座席は階段上になっているので非常にスクリーンが見やすい。かつ、カップホルダーも付いていていいのだが、いかんせんイス自体が小さい。特に冬はみんなコートを持っているので、結構困っている。

 10分前から案内が上映され、すでに2/3ほどの入り。R-18(無修正上映)ということもあって中高年が目立つ。男女比は1対3で女性が圧倒的に多い。そして女性の場合若い人が多く、中心は20代後半くらいか。若い男性は数人のみ。

 最終的に224席の9割程が埋まってしまった。びっくり。この劇場で良かった。これより狭いところや、見にくい劇場だったら大変なことになっていた。ただ。上映時間は日によって変わるので、インターネットで確認するか、前日に劇場に電話して確認しておきたい。

 予告では、見ないと思うが「僕が9才だったころ」と、「クラッシュ」、「白バラの祈り」が気になった。まあ、いずれにしてもアート系はすべて暗い。これを何本も見た日には……。


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