2006年2月19日(日)「ナイト・オブ・ザ・スカイ」

LES CHEVALIERS DU CIEL・2005・仏・1時間40分(IMDbでは102分)

日本語字幕:手書き書体下、寺尾次郎/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル、dts

(スイス12指定)

http://www.skymovie.jp/
(入ったら音に注意)

イギリスのファーンバラ国際航空ショーの会場からフランスのダッソー・ミラージュ2000が強奪された。命令を受けたフランス空軍のトップ・パイロット、アントワーヌ・マルシェリ大尉(ブノワ・マジメル)とセバスチャン・ヴァロワ大尉(クロヴィス・コルニアック)が捜索を開始、旅客機の陰に隠れて航行しているところを発見する。しかし相手も追跡機を発見しドッグファイトになる。ヴァロワ大尉がテイルに付かれロックされたことから、マルシェリ大尉は司令部の命令を無視し射撃を開始、これを撃墜する。これが軍で問題となり、軍事裁判で通常任務を解かれ、新人訓練をやらされることになる。

75点

1つ前へ一覧へ次へ
 『「TAXi」の監督が新たに仕掛けたフランス版「トップガン」』というキャッチ・コピーから見るのをやめようかとも思ったのだが、「TAXi」も「1」(TAXi・1997・仏)は面白かったし、いつも米軍の話だけでは飽きるから、フランス空軍の話もいいのではないかと見てみた。そしたら、面白い!!

 「トップガン」(Top Gun・1986・米)とはまったく違った内容で、フランスの戦闘機ミラージュの、海外への売り込みを邪魔しようとする謎の組織との戦いを描いたものだった。なかなか複雑なストーリーになっていて、しかもすべてを説明しきっていないので、わかりにくいくらい。しかし、ストーリーはハラハラするし、なんと言っても映像がすごい。おそらく戦闘機に取り付けたオンボード・カメラによる、見た事もない本物の迫力ある映像が、観客に一緒に空を音速で飛んでいるかのような錯覚を味わわせてくれる。スゴイ。これだけでも劇場で見る価値がある。

 こういう表現も誤解があると思うけれど、空版「TAXi」(もちろん「1」ね)という感じなのだ。

 主役は「スズメバチ」(Nid De Guepes・2002・仏)とか残念だった「クリムゾン・リバー2 黙示録の天子たち」(Les Riveres Pourpres 2 - Les Anges De L'apocalypse・2004・仏)のブノワ・マジメル……というより、フランスが世界に誇る現用戦闘機、ダッソー・ミラージュ2000(鳴り物入りで登場したラファールはどうなっちゃったんでしょう?)だと言っても良いのではないだろうか。

 とにかくコイツがカッコ良くとらえられている。30ミリ機関砲が火を吹くところはあまり迫力が無く、昔の機関銃みたいだが、主なキャストが本当に乗り込んでいるように見える(公式サイトによると、訓練を受けて実際に搭乗したらしい)。驚異的リアルさなのだ。空中給油の様子などはもちろん、コックピット内のディスプレー、HUDなどもハッキリと見せてくれる。軍用機マニアにはたまらないのではないだろうか。ドッグ・ファイト映像も、素晴らしいスピード感と緊張感。さすが「TAXi」の監督ジェラール・ピレス。63歳とは思えない。アメリカで撮った「スティール」(Steal・2002・米)も良かったもんなあ。30代の若手監督が撮ったかのような過激なスピード感だ。

 軍用機売り込みで、通過国の領空浸入許可を得ないで、アメリカのF-16とレースをやることになるのだが、さすがにアメリカ軍の協力を得られなかったらしく、せっかくのレースはミラージュ2000ばかりで、ほとんど見どころがないまま終わっている。残念。

 原作があって、それは30年ほど前のコミック“Tanguy La Verdure”というのだとか。

 パリ上空での空中戦という場面もあって、もちろんデジタル合成も使われている。しかし、あまり予算はかけられていないようで、合成はバレバレであまりレベルは高くない。やはり実機撮影に予算をかけたということだろう。

 「TAXi」同様、セクシーな女性のライバルが登場するようになっており、これまたなかなか楽しませてくれる。まっ、理屈抜きに1時間40分の間、フランス軍エリート・パイロットのアクロバティックな大冒険を楽しむ、というのがいいのではないだろうか。

 ちなみに、敵役の人物が殺されずに逃げおおせるので、続編も考えているのかもしれない。

 公開2日目の初回、初回のみ全席自由で、45分前に通りかかったらオヤジが4〜5人。コーヒーを買って10分後くらいにもどったら、何と15〜16人に増えていた。女性は2〜3人。20代らしき人も2〜3人。ほとんど中高年。こういう映画も若い人には受けないのか。60歳以上だと1,000円だから高年齢者が多いのか。

 30分前、列が25人くらいになったところで開場。それまで案内がなかったので、列が道路にまで延びていたけど、いいのかなあ。

 10分前にカーテンが左右に開いて案内上映。最終的には400席の4.5割程が埋まった。客席に傾斜はついているものの、ちょっと座高の高い人が前に座るとスクリーンは見にくい。これくらいの混み具合ならOK。

 予告の「M:i-3」ではトム・クルーズがG36を撃ちまくっていた。「イーオン・フラックス」はなかなかカッコ良かったが、シャーリーズ・セロンがどこまで本気でやったのか。「日本沈没」は絵付きで予告が始まった。でも内容は良くわからない。ディズニーがリメイクした「南極物語」は、ストーリーを知っているだけに予告だけで泣ける感じだが、タロ、ジロじゃないんだもんなあ。ハスキーだし。でもやっぱり見たいかも。「生きてこそ」(Alive・1993・米)のフランク・マーシャルだし……「コンゴ」(Congo・1995・米)も作ってるけど……。


1つ前へ一覧へ次へ