2006年2月25日(土)「ダイヤモンド・イン・パラダイス」

AFTER THE SUNSET・2004・米・1時間38分(IMDbでは97分)

日本語字幕:手書き書体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://www.diamondparadise.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

鮮やかな手口で証拠を残さない泥棒のマックス(ピアース・ブロスナン)と相棒のローラ(サルマ・ハエック)は、引退してバハマで優雅で退屈な生活を送っていた。そこへずっと2人を追い続けているFBI捜査官のスタン(ウディ・ハレルソン)がやってきて、島に停泊している豪華客船“セブンシーズ ナビゲーター”に展示されているナポレオン・ダイヤモンドを盗む気だろうと、まとわりつく。さらに、地元のギャングも現われ、機材は提供するからダイヤを盗み出せと要求してくる。

73点

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 なぜ2004年の作品が今頃? それが最大の心配だったが、意外に良くできた話で楽しめた。ただ、ラストの盗みは手口が単純すぎてちょっと肩透かし気味。そして、「私(女)を取るのか、盗みのスリルを取るのか」という問題は、最後まで引き回した割にあっけなさすぎてスッキリしなかった。それ以外は、適度なアクションとスリル、しゃれたユーモアにお色、カッコ良さと意表を突くどんでん返しで、楽しめた。

 この種の話は、どんでん返しが重要で、さらに盗みの手口が見どころとなる。「オーシャンズ11」(Ocean's Eleven・2001・米)や「ミニミニ大作戦」(The Italian Job・2003・米)などはその典型だろう。同じピアース・ブロスナンが主演した「トーマス・クラウン・アフェア」(The Thomas Crown Affair・1999・米)もそのヘンがうまく、スッキリとさせてくれた。その意味ではちょっと物足りないかも。

 しかし出演者はなかなか良い。主演のピアース・ブロスナンは、例にわって007以外では無精髭を生やしていることが多いが、とにかくカッコいい。胸毛は見せ過ぎかもしれないけど。

 恋人役のサルマ・ハエックも惜しげもなく肢体を披露してエロカッコいい。それはハリウッド・デビュー作の「デスペラード」(Desperado・1995・米)から変わらないからまたスゴイ。

 ブロスナンを追うFBI捜査官のウッディ・ハレルソンは、オリバー・ストーン監督の「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(Natural Born Killers・1994・米)で残忍な殺人者を演じて強烈な印象を残した人。しかし本作では三枚目を自然に演じている。これが演技力というヤツなのだろう。なかなか同一人物として結びつきにくい。

 あまり多くは出てこないが、重要な役である黒人ギャングのボスはドン・チードル。「オーシャンズ11」にも出ていた人で、最近では感動作「クラッシュ」(Crash・2004・米)の出演と製作まで手がけている。

 FBI捜査官が一目ぼれする地元警察の美女はナオミ・ハリス。TVで活躍していた人で、映画は「28日後...」(28 Days Later...・2002・英/仏)に出ていた人。「いい銃を持っているな」と言われると、「P228で、カスタム・トリガー・アクションよ」なんて答えているが、それがなかなか様になっている。

 ちょっとだけショーン・ペンの弟クリス・ペンが出ている。サンドラ・ブロックの「完全犯罪クラブ」(Murder by Numbers・2002・米)以来見ていない気がして、どうしたのかなあと思っていたら、ちゃんと映画に出ていたんだ。ただあまり大きな役ではないが。

 ウッディ・ハレルソンとナオミ・ハリスがいい雰囲気になるロマンチックなシーンがあるのだが、それが「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(Raiders of The Lost Ark・1981・米)とまったく同じキスの演出というのは、いかがなものだろうか。

 その監督は、ブレット・ラトナー。1969年生まれの37歳も若手監督。ジャッキー・チェンがアメリカでブレイクした「ラッシュアワー」(Rush Hour・1998・米)で監督もブレイク。「天使のくれた時間」(The Family Man・2000・米)はいまひとつだったが、「ラッシュアワー2」(Ruth Hour 2・2001・米)をそこそこの出来に、まったく雰囲気の違うサイコ・スリラーのハンニバル・レクター・シリーズ第3作「レッド・ドラゴン」(Red Dragon・2002・米)を手堅くまとめ、着実に実績を重ねてきた。本作が2004年の作品なのにやっと日本で公開されたのは引っかかるものの、大ヒット・シリーズの第3作を任された「X-Men 3」はすでに撮影を終わりポスト・プロダクションに入っているというし、「ラッシュアワー3」もプリ・プロダクションに入ったという。そのほかに“Josiah's Cannon”もプリ・プロダクションに入り、さらにもう1本が控えているという人気ぶり。すごいなあ。

 公開初日の初回、銀座の劇場は初回から全席指定で、窓口で前売り券を引き換えなければならない。めんどうだが、長時間並ぶよりは良いか……。先売り券というのはあるんだろうか。これを買っておいた方がもっと便利だが、そのために銀座まで往復すると、安い前売り券を買った意味がなくなるが……。

 50分前に着いたら、どうにか2F席の前のほうを取ることができた。ちょっと端だったがしようがない。コーヒーを買いに行って、20分前くらいにもどるとすでに開場していた。まもなく場内案内が上映された。携帯電話の液晶画面の明かりがじゃまになることを注意しているので、最近はだいぶ少なくなってきたが、それでも呼び出し音を響かせているヤツがたまにいる。

 下はだいたい20代くらいからいたが、やはりメインは中高年。男女比は半々くらいだった。抽選でダイヤの指輪が当たるといっていたが、どういう抽選なのかよくわからなかった。

 最終的に802席のうちの、2F席は8割程が埋まった。なかなか上々の入りではないだろうか。ただ2F席右ブロックの座席下の、非常用フットライトが切れそうになっているのか、チカチカ点滅していて気になった。早めに直して欲しい。

 予告編は「ジャケット」の新しいバージョンらしいものと、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」。それとよくわからないが「デス・ノート」の前編が6月に公開され、後編が10月に公開されるらしい。映画の内容の予告はなしというか、あったのかもしれないが、短時間ではわからなかった。韓国映画の「デュエル」は時代劇ながら面白そう。「ナイロビの蜂」も、チラシから受けた地味な感じより、予告は面白そうだった。

 本編前に短編クレイ・アニメの「ラビッツ・ミニッツ」が上映されたが、ボクには良くわからなかった。意味を考えちゃいけないものなのだろうけど……。


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