2006年3月19日(日)「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ」

WALLACE & GROMIT IN THE CURSE OF THE WERERABBIT・2005・英/米・1時間25分

日本語字幕:手書き書体下、稲田嵯裕里/ビスタ・サイズ(1.85)/ドルビーデジタル(IMDbではdts、SDDSも)

(英U指定、米G指定)(日本語吹替版もあり)

http://www.wandg.jp/teaser/index.html
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)

畑を荒らすウサギのから野菜を守るため、発明家のウォレスと忠犬グルミットはウサギ回収マシーン“BV6000”を駆使して大活躍。まもなく年に一度の「巨大野菜コンテスト」の日が迫っていた。しかし、そんなとき巨大ウサギ人間が現われ、周辺の畑が片っ端から荒らされ始めた。ウォレスとグルミットは住民の要請を受け、捕獲に乗り出すが……。

71点

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 うーん、どうも、大人も楽しめるアニメ作品というのとは違ったようだ。むしろ子供向けの、子供のための作品なのではないだろうか。たいして長くも無いのに、途中ちょっと気を失った。自分だけかと思っていたら、後ろに座っていた若いカップルの男性も同じだったらしい。男性がそういうと、女性は「最低」と。よかったボクだけじゃなかった。

 コマ撮りのクレイ・アニメーションは大変根気のいる作業の連続で、作るのはとても大変だと思う。実際キャラの動きはかなりコミカルに設定されているので、どんでもない現実離れした表現もしなければならない。それを実にうまくまとめている。この技は確かにアカデミー級だと思う。

 ただ、ストーリーがどうにも大人には納得できない。つじつまが合わないというか、無理矢理やりたい方向に持っていっているので、それが気になってノレない。もうキャラクターが大好きで、ノリを愉しみたいという人には良いのだろうが、ボクには合わなかった。

 もちろん笑えるところはたくさんある。同じイギリスということで、どこか「サンダーバード」のような雰囲気もグッド。害獣駆除会社の名前が“ANTI-PESTO”(対ペスト〈イタリア・ソース〉、害獣のペストはPEST)。“ANTIPASTO”(前菜)のしゃれ? しかも車のドアには“S.W.A.T.チーム”の文字が。いいなあ。頼りない警官の名前は、なぜかPCマッキントッシュ。

 声の出演は、アホな冒険家クォーターメイン(「キングソロモンの秘宝」のアラン・クォーターメインの親戚?)をクールな二枚目「シンドラーのリスト」(Schindler's List・1993・米)でドイツ軍将校を演じたイギリス人のレイフ・ファインズが。

 また、「巨大野菜コンテスト」主催者のレディ・トッティントン(あまり美人の設定ではないようだけれど)には、実際にイギリス上流階級出身のヘレナ・ボナム=カーター。現在のパートナーは「チャーリーとチョコレート工場」(Charlie and the Chocolate Factory・2005・米)のティム・バートン。

 監督はニック・パークとスティーヴ・ボックスの2人。どういう分担なのか知らないが、2人で脚本も担当している。ニック・パークは「ウォレスとグルミット」のシリーズのほか、メル・ギブソンが流れ者のヤンキーの声をやってなかなか楽しめた「チキンラン」(Chicken Run・2000・米)をピーター・ロードと共に手がけた。本作ではピーター・ロードはプロデュースに回っている。

 スティーヴ・ボックスはニック・パークに誘われてアードマン・スタジオに入ったそうで、「ウォレスとグルミット」から参加しているらしい。本作が監督デビュー作なんだとか。

 公開2日目の3回目、字幕版は初回、30分前くらいから混み出し、ロビーが一杯に。整理番号順での入場なので、50番以降は階段に並ぶように案内が。

 男女比は3対7くらいで、圧倒的に女性が多く、年齢層は20代くらいが目立つ。字幕版だが、ファミリーは1/4くらいいた。そのためか、入場してからスタッフはこまめにチャイルド・シート(上げ底イス)を配っていた。

 最終的には257席ほぼ全席が埋まった。これは驚き。なぜなんだろう。1/5くらいが中高年だった。ロビーに飾ってあったぬいぐるみを、多くの人が携帯のカメラで撮っていた。キャラクターの人気が高いようだ。外人さんもチラホラ。

 予告の「リトル・イタリーの恋」で、主人公が恋した相手に弟の写真を送り、その写真を見てその気になった女性が会いに来るというシチュエーション。女性は相手が写真の男性ではないこと知り気絶してしまう。悲しいシーンかと思ったのだが、外人の女性らしい客が高らかに笑っていた。やっぱり感覚がだいぶ違うらしい。「ウォレス……」の本編でも全編大ウケしていた。逆にちょっと引いちゃうなあ。


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