2006年4月1日(土)「ナイトウォッチ」

NOCHIOI DOZOR・2004・露・1時間55分(IMDbでは114分)

英語字幕:ゴシック体下、日本語字幕:手書き書体右、石田泰子/ビスタ・サイズ(1.66上映)/ドルビーデジタル

(米R指定、日PG-12)

http://www.foxjapan.com/movies/nightwatch/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

世界はかつて光の種族と闇の種族の間で激しい戦いが繰り返されてきたが、このままではお互いに滅亡してしまうと気付いた光の王ゲッサー(ウラジミール・メニショフ)と闇の王サヴロン(ヴィクトル・ヴェルズビツキー)は休戦協定を結び、互いに監視人“ナイト・ウォッチ”(闇の監視人)と“テイ・ウォッチ”(光の監視人)を置くことによって何世紀も平和が保たれてきた。そんな中で、人間には見えないはずの異界が見えるものが現われ、彼らは異種と呼ばれ、本人の意思によって光の種族と闇の種族のどちらかを選ぶことが出来ることになった。ところが1992年、ある事件が起きる……。

80点

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 ハッキリ言ってわかりにくい。でも、この世界観、ビジュアルはスゴイ。できれば劇場で見た方がいい。技術的にも合成や3D-CGのデジタル技術などハリウッドとなんら遜色ない。人形にクモのような足が生えて歩き出すとか、アイディアもいい。まあ、「遊星からの物体X」(The Thing・1982・米)と「マイノリティ・リポート」(Minority Report・2002・米)を合わせたようなイメージだけど。これが英語だったら、ロシアで作られたとは誰も思わないだろう。編集のタイミングとかも、ほとんどMTV感覚。早送りになったり、スローモーションになったり、リズムが良い。

 ただ、わかりにくさは、この前の「大統領のカウントダウン」(LICHNYY NOMER・2004・露)と同じ。先日発売になったDVDのロシアのTVムービー「ロシア特殊部隊スペツナズ」(Spetsnaz・2002・露)もそうだった。ということは、一種の分かりにくさというのは最近のロシア映画の傾向なのかもしれない。

 確かに雰囲気としては「マトリックス」風。「コンスタンティン」(Constantine・2005・米)の世界観とも通じるところがある。っていうか、ほとんど同じ。視点が違うだけ。光の勢力の監視部隊は闇の勢力を見張るから「ナイト・ウォッチ」で、逆に闇の勢力の監視部隊は「デイ・ウォッチ」。本シリーズは全3部作だそうで、中間なのか「ダスク・ウォッチ」もあるのだとか。

 原作はセルゲイ・ルキヤネンコという人の小説で、売り上げは3部作の合計で50万部だったそうだが、映画が公開されると一気に250万部に達したらしい。(ナイト・ウォッチ/法木綾子・訳/バジリコ)冒頭のクレジットでチャンネル・ワンと出るので、TVムービーかと思ったのだが、チャンネル・ワンのブロデューサーが気に入って映画化を進めたという。

 全体に3D-CGを使い非常にリアルで凝った作りになっているが、それは字幕にまで及ぶ。世界配給はフォックス・サーチライトというアート系を手がけるところが扱っているようだが、明らかに英語圏を意識しているようだ。英語字幕がだいたい下に出て(そのため日本語字幕は右側に縦に出る)、血煙のように赤い煙になって漂いながら消えるのだ。これは字幕としては初の試みではないだろうか。

 音響も良い。クォリティも高いし、なによりサラウンド感がいい。これは本当にハリウッドとなんら遜色ない。すごいなあ。これで今までほとんど一般市場で競争してこなかったなんて。

 さらに驚いたことに、彼ら主人公たちが飲んでいるのが、ネスカフェのインスタント・コーヒー。レギュラーじゃなくてインスタントというところがロシアらしいが、それにしてもネスカフェとは。出資してもらっているのかもしれないが、もうそこまで進んでいることが驚きだ。

 その上、TVでは闇の種族をやっつける話「バッフィー/恋する十字架」をやっていた。ロシアでもやっているんだ。サラ・ミシェル・ゲラー。びっくり。

 それから、出ている女優さんはみなキレイ。いわゆる美女ばかり。歳をとったらみんな太って、いかにもおばちゃんみたいになってしまうんだろうか。今話題のフィギュア・スケートでも。ロシアの選手は昔から美形が多いもんなあ。テニスのアンナ・クルニコワとか、マリア・シャラポアとか、みんなロシアだし。

 公開初日の初回、前売りもないし劇場もいまいちだったので見に行くのを止めようと思っていたら、なんと初日が映画の日で、誰でも1,000円だというので見に行くことに決定。新宿の劇場は初回が16:30からで、用心して50分前に付いたら、3人ほど。前の回を上映中なので、建物の外に並ぶ。雨でなくて良かった。

 ところが、45分前になったら7人。40分前には22〜23人に。35分前には50人以上となった。さすが映画の日。「エミリー・ローズ」が終了して15分前に入場。系列4館中最も良い70mm劇場での上映。しかも指定は無し。スタジアム形式なので、だいたいどこからでも見やすい。

 最終的には420席に9割ほどの入り。8割が20〜30歳くらいで、中高年は2割ほど。全体の2割が女性というところか。オジサンはいたが、オバサンはほとんどいなかった(ようだ)。ハーゲンダッツが売りに来ていたが、今日は売れたのではないだろうか。

 特別興行らしく、予告編はなしとの案内があった。が、「オーメン」の予告だけあった。劇場最終作のサム・ニールが出たシリーズ第3作は、気絶しそうなくらい退屈なものだったが……。第1作から30年、いったい何をどう描こうというのか。予告では怪しげな少年が「2」のようにたたずんでいた。

 携帯を使うなという案内はあったが、あちこちでメールの確認か、煌々と液晶のきつい光が灯っていた。若い人が多いとこれだ。中高年でも使う人はいるが数が違う。


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