2006年4月2日(日)「ファイヤーウォール」

FIREWALL・2006・米・1時間46分(IMDbでは105分)

日本語字幕:手書き書体下、持田朋子/シネスコ・サイズ(マスク、Clairmont)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://wwws.warnerbros.co.jp/firewall/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

シアトルのランドロック・パシフィック銀行のセキュリティ・システム担当重役のジャック・スタンフィールド(ハリソン・フォード)は、突然浸入してきた男たちに妻と8歳と14歳の二人の子供を人質に取られる。犯人たちの要求は、システムにアクセスして1万件の口座から1万ドルずつ、合計1億ドルを指定口座に振り込むこと。しかしランドロック・パシフィック銀行の管理システムは安全のためすべてをカンザスに移しており、PCからのアクセスも全く不可能だった。しかし犯人たちはどうにかしなければ人質を殺すと言い放つ。

73点

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 ハリソン・フォードのワン・マン映画のような感じは鼻につくが、なかなか面白い。それは、主人公がスーパー・ヒーローではなく、ミスしながらも諦めず食い下がっていくタイプで、しかも敵役が徹底して憎たらしく恐ろしいこと。バカではないし、むしろかなり巧妙なヤツだというのが良い。

 まあ、一言でいってしまえば「エアフォース・ワン」(Air Force One・1997・米)と同じ印象。1人だけががんばって事件を解決する。面白いんだけど、いつまでもこのキャラでは無理があるだろう。だんだん体も動かなくなってくるし、お腹も出てくるし、シワが増えて来るのだから。1942年生まれだそうだから、今年御年取って64歳。還暦越えて、どこまで体が動くかだ。スティーブン・セガールなんか、まだ55歳なのにもう数年前から体が動かなくなり、吹替ばかり。それから比べればマシかもしれないが、そろそろダメなのでは。

 ヒッチコックのようなサスペンスを狙ったのか、使われている曲はヒッチコックっぽかった。「北北西に進路を取れ」(North by Northwest・1959・米)とか「サイコ」(Psycho・1960・米)の感じ。そして、知恵比べ的なところも見どころで、パソコンでアクセスできないコンピュータから一体どうやってデータを盗み出すのか。そして悪党の口座に振り込んでしまった金をどうやって取り戻すのか。家族はどうやって救出するのか。興味津々だった。完璧に意表をつくものというほどではないものの、なかなか鮮やかにやってみせてくれる。ここがおもしろい。

 子供が喘息というのはジョディ・フォスターの「パニック・ルーム」(Panic Room・2002・米)やシャーリーズ・セロンとダコタ・ファニングの「コール」(Trapped・2002・米)と同じでまったく新しみなし。ただ緊張を盛り上げるには実にうまい設定で、わかっていながらついついハラハラドキドキしてしまう。

 配役は豪華。主役のハリソン・フォードはもちろん、憎たらしい敵のボスが「Rock You!」(A Knights Tale・2001・米)やラッセル・クローの想像上のルーム・メイトを演じた「ビューティフル・マインド」(A Beaitiful Mind・2001・米)ポール・ベタニー。ハリソン・フォードの妻を演じたのは、ヴァージニア・マドセン。これまで、ほとんどテレビで活躍してきた人で、悪役の多い強面のマイケル・マドセンの妹。重要な役どころであるハリソン・フォードの秘書を演じているのは、大ヒットテレビ・ドラマ「24」の第3シーズンから、コンピューターの専門家クロエを演じているメアリー・リン・ライスカブという人。

 ハリソン・フォードとそりのあわない上司を演じているのは、「ターミネーター2」(Terminator 2: Judgement Day・1991・米)のT-1000ことロバート・パトリック。いかにもいやらしい感じがでていてグッド。もうちょっと活躍して欲しかった。ハリソン・フォードと気の合う同僚を演じているのは、眉毛の濃いロバート・フォレスター。いかにもオヤジといった感じの人で、古くはディズニーのSFアクション「ブラックホール」(The Black Hole・1979)や、巨大ワニ映画「アリゲーター」(Alligator・1980・米)、最近では「チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル」(Charlie's Angels: Full Throttle・2003・米)に出ている。会社のボスを演じているのは、すっかりおじいちゃんっぽくなってしまったアラン・アーキン。大ベテランで、古くはアメリカ沖でソ連の潜水艦が座礁し上陸してくるという「アメリカ上陸作戦」(The Russians are Commimg, The Russians are Commimg,・1966・米)、WWIIのブラック・ユーモア作品「キャッチ22」(Chach-22・1970・米)、事件に巻き込まれる歯科医を演じた「あきれたあきれた大作戦」(The In-Laws・1979・米)などに出ている。

 監督はリチャード・ロンクレイン。その監督作品はほとんど日本公開されることが無かったようだが、イアン・マッケランのシェークスピア劇「リチャード三世」(Richard III・1995・英、米)から公開されるようになった。そのあとTVムービーの「バンド・オブ・ブラザーズ」(Band of Brothers・2001・米、英)の第2話や、スターチャンネルで放送された「チャーチル/大英帝国の嵐」(The Gathering Storm・2002・英、米)を手がけ、珍しいテニス映画「ウィンブルドン」(Wimbledon・2004・英、仏)を経て、本作に至っている。派手さはないが、なかなか手堅い感じはする。

 家に侵入してくる賊たちは、MP5KやベレッタM92、などで武装している。ポール・ベタニーはP226のようだった。ベレッタ・クーガーも出ていたようだが、確認していない。

 ここ最近、例のコピー防止のドットを画面で見ることが何回かあったが、本作でもちょっと 気になった。

 日本にもあるのかどうか知らないが、GPSを組み込んだ犬の首輪というのは、さすがのアイディア。これがうまく使われている。そして、会社で使っているPCはDELLだったが、ハリソン・フォードの娘という少女が使っているのはiBOOK、これにiPodを挿している。このiPodとFAXのスキャナ部分を利用して問題をクリアするわけだ。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は45分前に着いたら30代後半くらいの男性が1人。35分前にボックス・オフィスが開き、30分前でやっと7〜8人。ほとんど中高年の男性。それも高寄り。25分前になってやっと増えて30人くらい。女性は1/4くらいか。

 20分前に開場。場内はスーパー・ペア・シート以外、全席自由。劇場に隣接するモス・バーガーはまだ開いていない。モスらしいというか、劇場にくっついているのに、唯我独尊のマイ・ペース。開店時間を劇場に合わせようとしない。開ければそこそこ売れるはずなのに。ボクもコーヒーとかうまいので飲みたかったが、結局、たいして早くない初回ても開かなかった。

 最終的には1,064席で埋まったのは、わずかに2.5割程度。これは寂しい。もうハリソン・フォードでは客を呼ぶのは難しいのかも。

 予告は、上下をマスクして内容のわかるバージョンで見たい気になるアニメ「ブレイブ・ストーリー」(アニメ好きの人で混むんだろうなあ)、同じく上下マスクで「スーパーマン」と「ニューワールド」、「ゴール」など。「ゴール」の前売りにはホイッスルが付くらしい。


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