2006年4月23日(日)「アンダーワールド:エボリューション」

UNDERWORLD: REVOLUTION・2006・米・1時間46分

日本語字幕:丸ゴシック体下、風間綾平/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

http://www.sonypictures.jp/movies/underworldevolution/index.html
(画面極大化。音に注意。しかも遅い。全国の劇場案内もあり)

1202年、最初のライカン(狼男族)とヴァンパイア(吸血鬼族)の戦いが、不死となった父アレクサンデル(デレク・ジャコビ)から生まれた双子の兄弟の間で始まった。そして、コウモリにかまれヴァンパイアの始祖となったマーカス(トニー・カラン)が、ヴァンパイアの長老ビクター(ビル・ナイ)に協力して、ライカンの始祖ウィリアムを捕らえ、監禁することに成功した。現代、ライカンの血を受けて混血種(ハイブリッド)として復活したマーカスは、ウィリアムを復活させるため、秘密を握るセリーン(ケイト・ベッキンセール)を追う。

76点

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 まるでNHKの大河ドラマのように壮大な物語。これをよく1時間46分の物語にまとめたものと思う。そのため、多少強引なところや、説明不足な所もあるが、良くできている。クリーチャーも息を飲むばかりの迫力とおどろおどろしさだし、アクションも珍しく日本でR-15が付く残酷さと、スピード感。それなのに主人公が可憐なほど美しい女性というミスマッチが、いかにも映画っぽくて楽しい。

 前作の話から巧妙につながっていて、前作と同時に作り始めていたのではないかと思えるほど、よくできている。しかも、見ていなくても楽しめるし、見ていればより深く楽しむことができるという構成がいい。できれば、見に行く直前に前作をDVDで見ておさらいしておくといい。120%くらい楽しめるのではないだろうか。

 今回の話はあまり広がっていかずに、ほとんど異形の者たちの世界、すなわちアンダー・ワールドでだけ話が進み、人間世界と関わってくることはない。山の中とか、廃工場、廃炭坑のような場所だけで戦われるので、ちょっと物足りない感じはする。人間には関係ないから、おまえたちで勝手にやっていれば、というところがないでもない。ただ、世界観が良くできているのと、良くできたアクション・シーン、セリーンの運命が気になって(応援したくて)ついつい見入ってしまう。

 監督は前作に引き続いてレン・ワイズマンが担当。だから世界観が貫かれているのだろうし、最初からここまで考えて前作は撮ったのだろう。前作がわかりにくかったとすれば、ここまでの壮大な話を切り取りすぎたためかもしれない。つまり本作と合わせて初めて全体像が見える話だったのだ。第1作と間が3年も空いているのだから、最初から続編を作るつもりは無かったのだろうが、そうだったとしても納得できる作りになっている。彼は、前作がきっかけで主演のケイト・ベッキンセールと結婚している。次作が楽しみだ。はたして、どんな作品を撮るのか。

 主演のケイト・ベッキンセールは、かなりの部分を自分で演じているようだ。アクションしながらの演技はむずかしいものだが、よくこなしているというか、サマになっていてカッコいい。感情も良く表現されていると思う。前作はUSPのマッチ・モデルのカスタムでフルオートできるものだったが、なぜか本作では最初はベレッタM92らしきフルオート(M93Rには見えなかった)の2挺拳銃で、ヴァンパイア一族の史学者のタニスのところにあるワルサーP99の2挺と替えてしまう。P99はフルオートにならないし、どう考えてもレベル・ダウンだから、ワルサーからお金が出ているのかもしれない。映画がヒットすればスポンサーも増えるだろうし。

 そのタニスを演じているのは、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(Lock, Stoch & Two Smoking Barrels・1998・英)にも出ていたスティーヴン・マッキントッシュ。チャッカリした感じが良く出ていたが、ベッド・シーンがあって、なぜかボカシが。そんなに際どい感じでもなかったのにヘアーが写っているということなのか。逆に気になってしまった。ベッキンセールとハイブリッドのマイケル(スコット・スピードマン)のシーンでもあったが、やっぱりヘアーが写っていたんだろうか。監督夫人なのに……。

 不死の父、アレクサンデルには、「ヘンリー五世」(Henry V・1989・英)「愛と死の間で」(Sead Again・1991・米)「ハムレット」(Hamlet・1996・英)などケネス・ブラナー作品への出演が多いデレク・ジャコビ。不思議な怖さのある存在感。さすがシェークスピア役者というところか。

 凶暴なマーカスを演じたのは、トニー・カラン。イギリスの傑作TVドラマ「S.A.S.英国特殊部隊」に、ヘンノ隊長の片腕で、奥さんに浮気されてしまう隊員役で出ていた人。他に「リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い」(The League of Extraordinary Gentlemen・2003・米ほか)や、印象に残っていないが「フライト・オブ・フェニックス」(Flight of Phoenix)にも出ていたらしい。ちょっと憑かれたような感じが、なんとも良い。

 他に登場する銃器は、定番のMP5にG36。そしてアレクサンデルの部下の特殊部隊員たちが、UMPサブマシンガン、M60E3マシンガンを使う。H&KのMP7もあったような。セリーンが使うショットガンはM870っぽく、ストックなしのピストル・グリップ付き。

 とにかくDVDが出たらすぐに買って、1と2を続けて見てみたい。そんな映画。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は40分前に着いたら誰もいなかった。シャッターが半分おりて、20分前に開場と札が出ていた。30分前で3人くらい、25分前でいきなり増えてきて、30人くらいに。うち女性は3人ほど、20代くらいは4〜5人。あとはほぼ中高年。

 やや女性と若い人も増え、最終的には406席に4.5割ほどの入り。

 予告は「ゲド戦記」、「花田少年史」、「タイヨウのうた」、上下マスクされて「M:i:III」、「オーメン」、怖そうなサムライミの「ブギーマン」、上下マスクでいかにもB級といった感じで見たい気にさせる「ブラッドレイン」と「アローン・イン・ザ・ダーク」、そして上下マスクでもう見飽きた感じの「ダヴィンチ・コード」など。


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