2006年4月29日(土)「the EYE 3」

GIN GWAI 10 見鬼10・2005・香・1時間25分

日本語字幕:丸ゴシック体下、風間綾平/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

(マレーシアU指定、シンガポールPG指定)

http://www.theeye-movie.com/
(全国の劇場案内もあり)

香港の若者タク(チェン・ポーリン)、メイ(ケイト・ヤン)、コーファイ(クリス・クー)、エイプリル(イザベラ・チョン)の4人が、タイの友人チョンカイ(レイ・マクドナルド)のところへ遊びにやって来た。刺激的なことを求める若者たちは、チョンカイが偶然に手に入れた「幽霊を見る10の方法」をすべて試してみることにする。面白半分で霊を呼びだした罰が当たり、コーファイが冥界に連れ去られてしまう。どうにか連れ戻そうと、本に書かれた最後の方法を試すが……。

70点

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 うーん、ホラーものの定番を取り入れたのか、無軌道でバカな若者たちがムチャをやって、回りの人にもたくさん迷惑をかけた揚げ句、悲劇を引き起こすというパターン。回りの人たちが静止するのを振り切ってムチャをするわけで、まったく同情できない。5人もいて、誰ひとり止めようとしないのでは、自業自得としか言いようがない。それも、容易に結果が想像できることなのに、面白半分で突っ走るとは。まあ、実際の事件などを見ていてもそういう若者はいる。しかし、それでも物語の主人公がそうだと、どうしても物語にのめり込めない。たぶん、1人でも良いから止めるまともなヤツがいれば違ったのだろうが。最近で言えば「蝋人形の館」(House of Wax・2005・米)と同じ。


 オキサイド・パンとダニー・パンの双子の兄弟作品としては、本作の前、「the EYE 2」(Gin Gwai 2・2004・香/タイ)のあとにもう1本ホラー「アブノーマル・ビューティ」(Sei Mong Se Jun・2004・香)を撮っていて、先頃公開されたのだが小劇場での公開で見に行っていない。残念なことにそちらのほうが本作より評判がいい。IMDbでも「アブノーマル……」が6.5点なのに対して本作4.4点。パン兄弟作品中、最低の評価なのだ。

 問題は脚本だろう。あまりに練られていない気がする。乱暴すぎる。そして、中途半端。ギャグを入れようとしたため、見ているときはホラーで怖がらせたいのか、コメディで笑わせたいのか、単にできがわるいための失笑なのか、わからなくなってしまっているのだ。ラストの小さなどんでん返しは素晴らしいが、見終われば、やっぱり失笑だったかとわかる。自分から霊を無理矢理呼んでおきながら、出てくると悲鳴を上げて逃げるのだから、わけがわからない。おかしくなった友達のエイプリルをタイにおいて他の2人は帰っちゃうし。オナラのネタもなあ……。

 シリーズ1と2の場面も入れながら、ウケをねらったのだろうが残念だ。あれだけの作品を書いて撮れる人たちなんだから、この程度の出来で満足してもらっては困るし、パン兄弟の名を冠して欲しくない。物語の発想は面白いが、この程度のものは映画化せず、もっと上を目指して欲しい。

 イケメンのタクは、台湾生まれのチェン・ポーリン。たくさんの作品に出演していて、中国や香港、日本との合作が多い。なんと田中麗奈と共演する作品や江口洋介と共演する作品が控えているのだとか。ただ、この作品に出たのはちょっとマイナスだったかもしれない。アホにしか見えないから。

 たぶん日本人受けすると思われる美女は、本作が劇場映画デビューとなる香港のアイドル歌手、イザベラ・リョン。スティーブン・セガールが製作した作品の公開が控えているほか、SFX大作のあるとか。なんと1988年生まれというから、まだ18歳。それにびっくり。

 タクと共に主役級の活躍をするメイには、モデル出身のケイト・ヤン。香港の女優さんらしいが、本作の頑張りがプラスになりそうもないのはかわいそう。どうやらキティちゃんファンという設定らしい。

 謎の存在として登場する女性はボンコット・コンマライ。トニー・ジャーの「トム・ヤム・クン!」(Tom Yum Goong・2005。タイ)にも出ているそうで、タイのトップ女優ということらしい。本作にはなかなかショッキングな役で出演。

 幽霊を見ようとして、多数の旧日本兵が出てくるが、やはり侵略した日本軍というイメージはアジア諸国で濃く残っているようだ。しかも、かなり不気味で怖い。ちょうど黒澤明監督の「夢」(Dreams・1990・日)の1つのエピソード、「トンネル」のような感じ。

 いちばん気になったのは、俳優たちの口と声が合っていないことで、あきらかに吹替とわかる。中国語のようだったから、オリジナルはタイ語なのか。それとも香港映画に多い単なる吹替で、オリジナルも中国語、カントニーズ(広東語)なのか。

 公開初日の初回、池袋の劇場は夜からの上映で、全席指定。早めに座席だけ確保して、買い物に行き20分前くらいにもどった。15分前に前回の「寝ずの番」か何かが終わって入場。座席が確保されているという安心からか、ギリギリや予告編が始まってから入ってくる人が多い。これはどうなんだろう。せめて場内が暗くなる前に入って欲しい。

 最終的には280席に30〜40人くらいの入り。ほとんど若い人で、男女比は半々かやや女性が多い感じ。この出来ではこんなもんでしょ。

 初回プレゼントでフィルムのしおりをもらった。これは嬉しいが、また関係者らしい一団が4〜5人。うーむ。

 予告はピンボケで、字幕は二重に見えるほど。関係者がいてこれか。オイオイ。3本くらい上映してやっと合った。「デスノート」はようやく内容がわかるものになったが、実際の本編映像はなし。印象に残ったのは「水霊」と「親指さがし」か。どっちもホラーだ。


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