2006年5月7日(日)「ブラッドレイン」

BROODRAYNE・2005・米/独・1時間34分(IMDbでは95分)

日本語字幕:手書き書体下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(マスク、ARRI)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15)

http://www.blood-alone.jp/
(全国の劇場案内もあり)

18世紀のルーマニアのある村で、半分人間で半分吸血鬼という女、レイン(クリスタナ・ローケン)が見せ物にされていた。吸血鬼ハンターの「業火の会」の戦士、ウラジミール(マイケル・マドセン)、セバスチャン(マシュー・デイヴィス)、キャタリン(ミッシェル・ロドリゲス)の3人はその女の情報を得て、吸血鬼たちの大ボスであるケイガン(サー・ベン・キングズレイ)と関係があるのではないかと、村に向かう。しかし、ちょうどレインはレイプされそうになり逃亡したところだった。

70点

1つ前へ一覧へ次へ
 うーん、これだけの豪華キャストが集まって、この出来か。演出はそれほど悪くはないと思うが、とにかく脚本がいけない。わずか94分でこれだけの出演者の見どころをまとめて1本の作品にするのは無理というところか。

 とにかくあちこちで話が破綻していて、とても納得の出来ない展開。ボクはオリジナルのゲームをやったことがないのでわからないが、ゲームのバック・ストーリーということなら気にならないものでも、ストーリーが重要でストーリーを語るためにら作られる映画では気になってしょうがない。

 しかもホラー映画というよりはタイトル通り血まみれ、スプラッター映画で、もともと吸血鬼映画だから血が出るのに、必要以上に刃物が肉を切り裂き血がほとばしる。アメリカのR指定は当然だろう。

 主演は「ターミネーター3」(Terminator 3: Rise of the Machines)で女ターミネーターを演じて注目を浴びた、モデル出身の美女クリスタナ・ローケン。今度は表情のある役だが、ほぼ全編のアクションと、体を張ったラブ・シーンでがんばっている。気になったのは、クリスタナ・ローケンって、金髪じゃなかったっけ? 今回はちょっと赤毛系の髪色に。それと「ターミネーター3」のときは胸がこんなに大きくなかったと思うのだが、まさか整形したとか……。

 吸血鬼たちの大ボス、ケイガンはついにサーの称号を得た、サー・ベン・キングズレイ。「ガンジー」(Gandhi・1982・英印)で大ブレイクした人で、作品ごとにまったく違ったキャラクターを演じて見せる性格俳優とでも言うべき人。最近は悪役が多いようだが、本作でもスキンヘッドに奇妙なかつらを被って異様な感じを出している。「シンドラーのリスト」(Shindler's List・1993・米)、「死と処女(おとめ)」(Death & the Maiden・1994・英米仏)、日本では劇場公開されたTVドラマ「スゥイーニー・トッド」(The Sweeney Todd・1998・アイルランド米)、「サスペクト・ゼロ」(Suspect Zero・2004・米)、「オリバー・ツイスト」(Oliver Twist・2005・英チェコほか)……などいずれも強烈な印象を残す。

 吸血鬼ハンターのリーダーが、いかにも悪そうなマイケル・マドセン。リト゜リー・スコット監督の「テルマ&ルイーズ」(Thelma & Louise・1991・米)で注目され、クェンティン・タランティーノ監督の出世作「レザボア・ドッグス」(Reservoir Dogs・1992・米)で強烈な悪者を、「フリー・ウィリー」(Free Willy・1993・仏米)では良い人の役も演じたことがある。最近では「シン・シティ」(Sin City・2005・米)で、この後も新作が目白押し。

 その同僚の女性に、「ガールファイト」(Girlfight・2000・米)のアクション派、ミッシェル・ロドリゲス。「バイオハザード」(Resident Evil・2002・英独ほか)のタフな特殊部隊隊員、ズバリ「S.W.A.T.」(S.W.A.T.・2003・米)の特殊部隊員、珍しく女らしい女を演じた「コントロール」(Control・2004・米)など、面白い作品への出演が多い。

 男の相棒にマシュー・デイヴィス。デビューは「ルール2」(Urban Legends: Final Cut・2000・加米)で、画質が酷かったベトナムものの「タイガーランド」(Tigerland・2000・米独)、「パール・ハーバー」(Pearl Harbor・2001・米)、ヒット・コメディ「キーティ・ブロンド」(Legally Bronde・2001・)、第二次大戦の潜水艦ホラー「ビロウ」(Below・2002・米)、日本ロケしたスティーヴン・セガール映画「イン・トゥ・ザ・サン」(Into the Sun・2005・米)などに出演。若手の注目株らしい。

 さらに、チョイ役で、「悪魔のはらわた」(Fresh for Frankenstein・1973・米伊仏)や「サスペリア」(Susperia・1977・伊)の怪優ウド・キアー。

 遺物を守っている吸血鬼にミート・ローフ。ブラピの「ファイト・クラブ」(Fight Club・1999・独米)やパトリック・スウェイジの「ブラック・ドッグ」(Black Dog・1998・米英ほか)、「ケミカル51」(The 51th State・2001・英加)などで悪役をやっている人。

 ボクは髭と長髪でそうとは気付かなかったが、いまやB級アクション・スターという感じのマイケル・パレも出ていたらしい。「ストリート・オブ・ファイヤー」(Streets of Fire・1984・米)や「フィラデルフィア・エクスペリメント」(The Philadelphia Experiment・1984・米)以降、B級が多くなり、ほとんどが日本劇場公開されていないという人。もう若い観客には忘れ去られているのではないかと心配になる。

 さらに、さらに驚くことに、「メンフィス・ベル」(Memphis Belle・1990・英日米)のパイロットや「山猫は眠らない」(Sniper・1993・米ペルー)の若きスナイパー、「タイタニック」(Titanic・1997・米)のふられる金持ちのビリー・ゼーンが業火の会のエルリック子爵役でちょっとだけ登場。公式サイトによれば、本作は、彼が立ち上げた映画制作会社ロマー・エンタタテインメントの第1回作品なんだとか。それで、有名俳優が一杯出ているのかも。

 監督はドイツ生まれのウーヴェ・ボルという人。IMDbでたった2.3点という低得点を叩きだしたあのゲームの映画化「ハウス・オブ・ザ・デッド」(House of the dead・2004・加米独)をとった張本人だ。本作もIMDbでわずか2.2点。これから公開されるゲームの映画化「アローン・イン・ザ・ダーク」(Alone in the Dark・2005・加米独)も2.2点だ。にもかかわらず、今後4本ものゲームの映画化が控えているとか。これは彼自身がエグゼクティブ・プロデューサーだからなしえた贅沢というか暴挙で、普通なら考えられない。とりあえずボクは「アローン……」は見る気でいるけど……。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は40分前についたらオヤジが1人。30分前になって5人ほどに。20分前に開場したときで5人のまま。最終的には330席に25人くらい。20代が2〜3人に、あとはほぼ40代以上。3組くらい夫婦らしきカップル。女性は3人ほど。

 音声の切替の時に、とても大きな音でボツン、ドカンとうるさいこと。ボリュームを絞るとか、なにか工夫をして欲しいなあ。うるさいし、耳障りだし、客を何だと思ってるんだろ。

 予告は「ゲド戦記」の新バージョン。ようやく具体的な内容が明らかになってきた。「タイヨウのうた」も新バージョンのようだが、もうお腹がいっぱいの感じ。「ブギーマン」はかなり怖そうでいい。「風雲児」の予告は明らかにビデオとわかる酷い画質で、これでは見る気が起こらない。逆効果では? それにあの三浦和義というのもなあ……。

 またまたリュック・ベッソンの脚本の「アルティメット」。NO CGとか言っていたけど、そんなこと関係ないと思うけどなあ。


1つ前へ一覧へ次へ