2006年5月7日(日)「LIMIT OF LOVE 海猿」

2006・フジテレビ/ロボット/ポニーキャニオン/東宝/小学館/FNS・1時間58分

シネスコ・サイズ(レンズ、in Panavision)/ドルビーデジタル



http://www.umizaru.jp/
(表示遅い。全国の劇場案内もあり)

仙崎大輔(伊藤英明)は鹿児島の第10管区に配属され、海難救助の任務に当たっていた。そんなある日、恋人の伊沢環菜(加藤愛)が手作りのウェディング・ドレスを見せに20時間車を運転してやって来る。仙崎はまだ結婚へ踏み切ることが出来ないでいたが、そんなとき鹿児島湾沖1.6マイルで大型フェリーの座礁事故が発生する。急行した仙崎は、600名以上の脱出に奔走する。ところが車両デッキで思い掛けない火災が発生し、バディの吉岡哲也(佐藤隆太)と、逃げ遅れた乗客の海老原真一(吹越満)、売店の店員、本間恵(大塚寧々)とともに船内に取り残されてしまう。

74点

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 面白い。感動した。定石どおりの展開だが、ちょっと涙が……。海上保安庁ってカッコいいなあ。ひょっとしたら、これで海上保安庁に就職したいという人が増えたのでないだろうか。本当の意味でのエリートだよなあ。人命救助に命を懸ける人たちが本当にいるという事実。ボクにはとても真似できないが、その事実だけでもリアリティがあると、単純に感動できる。海の安全はこういう人たちによって守られているのだ。

 定石とは書いたが、実は分かり切った手法で人を感動させるのは難しい。すでに手の内がばれているのだから。不意打ちを食わせるわけにはいかないのだ。パターンを守りつつ、アレンジを変えて感動へと持っていく。さまざまな困難な状況の設定も、キャラクター(役者)も重要な要素だろう。それらがピタリとはまっているのだ。

 脚本は、前作「海猿」(2004・日)に引き続き福田靖。ほかに映画では「催眠」(1999・日)や「陰陽師」(2001・日)を手がけている。テレビでの仕事が多く、本作のテレビ版も福田靖の仕事。

 監督は羽住英一郎。「踊る大捜査線 THE MOVIE」(1998・米)で助監督を務め、「サトラレ」(2000・日)「スペーストラベラーズ」(2000・日)を経て、前作「海猿」で劇場映画監督デビュー。テレビではテレビ版「海猿」や「恋人はスナイパー」を手がけているらしい。最近劇場作は同じく漫画原作の「逆境ナイン」(2005・日)。

 爽やかなキャラクターを演じているのが、仙崎大輔役の伊藤英明。カッコよくて、さわやかで、たぶん女性の人気がすごいんじゃないだろうか。「ブリスター!」(2000・日)が良かったなあ。テレビでもCMでも大活躍中。

 バディが佐藤隆太。元気で明るいキャラクターは彼自身の地かもしれない。「ローレライ」(2005・日)でも似たようなキャラクターだった。ボクはテレビ・シリーズを見ていないが、どうやらテレビ・シリーズからのキャラクターらしい。

 現場の指揮官となる下川役の時任三郎は、もとともと元祖爽やか俳優。名作「ふぞろいの林檎たち」(1983)もそうだったし。

 同様に、機動救難隊の隊長を演じる石黒賢も、ちょっと暑さがあるかもしれないが、爽やか系。恋人役の加藤あいも、結婚話がもつれても、どろどろにはならずに、あやういところで爽やかな感じでこらえている。やはり彼女ならではの爽やかさだろう。

 本作中、唯一の反爽やか系の貧乏くじを引いたのが、吹越満。「ホワイトアウト」(2000・日)や「容疑者室井慎次」(2005)、「レディ・ジョーカー」(2004・日)同様、ねちねちとうっ屈したキャラクターだった。大塚寧々も一般人で、ヒステリックなキャラクターとなってしまいそうなところ、

 本作の魅力は、きっとこういった爽やかキャラと、それを際立たせるキャラの存在と構成にあるのではないだろうか。そしてハリウッド的な手法も多々感じられる。だからちょっと「タイタニック」(Titanic・1997・米)の雰囲気もある。近々「ポセイドン・アドベンチャー」(The Poseidon Adventure・1972・米)がリメイク公開されるというし、流れに乗っているかも。ラストの方ではあちこちからグジュグジュ鼻の音がしていた。

 公開2日目の2回目、40分前に付いたら新宿の劇場はすでにロビーに列ができていて、50人くらいの人。さすがTVで繰り返し流している話題作。男女は半々くらいで、下は小学生くらいから、上は中高年まで幅広い。中心はTVものらしく高校生が多い。あと大学生くらいも目立つ。

 15分前に入れ替えとなり、この時点ですでに指定席なしの586席の7割が埋まった。すごいなあ。最終的にはほぼ満席。さすがフジテレビ。座席は千鳥配列だが、スクリーンがやや低いのか、前席の頭がじゃまになるので、この劇場で満席はちょっとつらい。幸い字幕のない映画なので、それほどストレスはたまらないが。ときどき髪を逆立てているヤツや、室内で帽子をかぶっているヤツ、異常に座高が高いヤツがいるので困る。

 なぜか予告編の音は小さかった。モノラルだったのか。印象に残ったところでは、内容はわからないが「SHINOBI」の美少女、沢尻エリカの「シュガー&スパイス」、速水もこみちのこちらも内容は良くわからないが「ラフ」、シネスコ予告の「UDON」(これも内容は良くわからなかった)というところか。


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