2006年5月20日(土)「心霊写真」

SHUTTER・2004・タイ・1時間37分

日本語字幕:手書き風書体下、濱野恵津子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

(シンガポールNC-16指定、米R指定、日PG-12指定)

http://www.tsutaya.co.jp/cinema_sp/shinreisyashin/index.html


カメラマンのタン(アナンダ・エヴァリンハム)と恋人のジェーン(ナッターウィーラヌット・トーンミー)は、大学時代の友人の結婚式に出席した帰り、ジェーンの運転する車で若い女性をはねてしまう。ビビったタンは走り去るように指示し、現場から逃げだす。しかし、事故の報告は何もなく、誰も怪我さえしていないようだった。そして、その日からタンの写真に光りの筋が入るなど、不思議な現象が起き始める。

73点

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 怖い。多少音も使っているが、基本的に正攻法で怖がらせる正当派ホラー。ただ、主人公のキャラクターがまったくダメ男で、あまり同情的になれない。もっとしっかりした好青年だったら、彼を応援したくなってもっと怖かったに違いない。どうしても、自業自得だろう、という感じがするので、冷静に見てしまって、最後にはもっと罰を受けてても良いんじゃないのと思うようになる。衝撃のラストも、まっ、しようがないな、と。

 たぶん、だから脚本の問題で、もっと練って観客が感情移入できる主人公のキャラにすれば、素晴らしい作品になっていたのではないだろうか。あえて言うと、アホな男より、巻き込まれて恐怖体験をすることになる彼女のほうを主人公にすれば、良かったかも。

 演出は良かったと思う。たぶん、初代の「ゴジラ」(1954・日)とか「JAWS/ジョーズ」(Jaws・1975・米)と同じで、最初はなかなか敵の正体をはっきり見せず、クライマックスでドカーンと見せるやり方。カメラの前を横切ったり、瞬間、パッと顔が写るというとか、かすかに写真に何か写っているとか、後方でドアの開く音がするとか……。うまい。

 驚いたというか、意外だったのは、タイの人たちも日本と同じような都市伝説(高速を走っている車の横に女性が現われるとか、)を恐れ、心霊写真を信じている(専門の新聞まで作られ、おおかたが作り物だというところまで似ている)こと。やはり仏教の強い影響なのだろうか。

 主演のイケメン、アナンダ・エヴァリンハムはオーストラリアとラオスのハーフだそうで、もとはモデルだったらしい。なるほど納得。TVの出演作は多く、映画は本作で3本目だそうだ。

 共演の女優さんはナッターウィーラヌット・トーンミーで、タイでは人気の音楽番組のVJなんだとか。歌手デビューも予定しているらしい。

 幽霊を演じた、ほぼスッピンにようなイメージの、けれどきれいな女優さんは、アチタ・シカマーナーという人。どうやら本作が映画デビューらしい。キレイなだけに幽霊になると恐ろしい。美人を幽霊にするというこの感覚も日本と同じか。タイではこれが精一杯なのかもしれないが、強姦シーンはちょっとリアリティなかったんじゃないの。

 監督と脚本はパークプム・ウォンプムとパンジョン・ピサヤタナクーンの2人。公式サイトによれば、ともに大学の映画学科で学び、在学中から短編で注目されたらしい。卒業後CM制作会社のフェノミナ社に入社し、同僚となったとか。そしてフェノミナ社が長編劇場映画に進出するに当たって、2人を指名したらしい。本作のヒットで、2人とも新作が進行中とか。再び2人で監督する次作「Alone」は監督が舞台で、韓国人役者を使う予定だと。とりあえず期待したい。

 オープニングで、揺れて出てくる文字は霊現象のようでグッド。センスが良いという感じ。とてもレベルが高いと思う。

 公開初日の初回、新宿の劇場は20分前くらいに着いたらまだ開いていなかった。それでも超話題作「ダ・ヴィンチ・コード」公開の日だからか人が少なく、若い男性ばかりが6人。

 暑い日で、並んだ階段室は換気が悪く蒸し風呂状態。早く開けて欲しいが……15分前に開場した時は12〜13人に。小学生と中学生くらいの子を連れた女性3人のファミリーもいた。が、関係者とおぼしき一団が7〜8人。客と同じくらいは多過ぎだろう。

 初日プレゼントがあり、光る幽霊のついたボールペンをもらった。最終的には209席に50人くらいの入り。まあ、こんなもんでしょ。

 気になった予告編は瀬戸朝香の香港・日本・タイ合作映画「ブラックナイト」。でも劇場がなあ……「ウルトラヴァイオレット」の予告は新パターン。おもしろそう。


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