2006年5月21日(日)「ダ・ヴィンチ・コード」

THE DA VINCI CODE・2006・米・2時間29分

日本語字幕:フチ付き丸ゴシック体下、戸田奈津子/日本語字幕監修:越前敏弥/シネスコ・サイズ/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

http://www.sonypictures.jp/movies/thedavincicode/index.html
(入ると画面極大化。音に注意。全国の劇場案内もあり)

パリを訪問中のハーヴァード大学のラングドン教授(トム・ハンクス)は、突然アメリカのFBIに相当するフランスのDVPJから呼び出しを受ける。ルーヴル美術館の館長ソニエール(ジャン=ピエール・マリエール)が何者かに殺され、暗号でダイイング・メッセージが書かれており、それを解読して欲しいという。そして現場で館長の孫娘で、暗号解読官をやっているソフィー(オドレイ・トトゥ)に紹介される。捜査に当たるベズ警部(ジャン・レノ)がラングドンを完全に犯人だと疑っていることに気付いていたソフィーはラングドンとともに現場を抜け出すと、独自にメッセージを解読し、犯人を突き止めようとする。

73点

1つ前へ一覧へ次へ
 長い。長いが本作を149分で語るのにはどうも無理があったようだ(文庫で上中下全3巻の大部)。推理部分が駆け足になり、ほとんど判明した“事実”を告げるだけになってしまっている。肝心の根拠とか、傍証などが省かれているので、事件の謎を解くパートはあっても、ダ・ヴィンチの作品に込められた謎を解くバートがそっけなさすぎ。やはりその部分を楽しみたいなら本を読むしかないということか。

 館長がポール・ベタニー演じる狂信的暗殺者のP226らしきピストルによって撃たれてから死ぬまでに残すメッセージが半端な量ではない。しかもわざわざ自ら全裸となって絵の一部となるなど、まったく非現実的な状況。というかバカげている。のっけからこれなので、乗り切れないままに、最後まで突っ走られてしまう。

 ただし、つまらないわけではない。ダ・ヴィンチ・コードというタイトルでありながら、それを解く楽しみが無くなっているだけ。だったら「ルーヴル館長コード」ではないか。たぶん殺人事件の推理物としては優れているのではないだろうか。でも、観客が期待しているのは、それではなく前者だろう。その意味ではフジテレビの企画番組の方がおもしろかった。

 トム・ハンクス演じるラングドン教授に違和感はなかったし、良かったと思う。ただ相手役のソフィーを演じたオドレイ・トトゥも悪くはないが、彼女の持ち味が出ていなかったような感じ。普通の女優のようで、ほとんど印象に残らない。ジャン=ピエール・ジュネ監督の「アメリ」(Le Fabuleux Destin D'amelie Poulain・2001・仏)や「ロング・エンゲージメント」(Un Long Diamanche de Francailes・2004・仏)では、どこかに独特のかわいらしさ、愛嬌のあるキャラクターだったのに……。

 2人を追うフランスの刑事にジャン・レノ。ハリウッド映画からフランス映画まで、あちこちに出ている。最近は「ビンクバンサー」(The Pink Panther・2006・米)で見たばかり。

 謎解きに手を貸すイギリスの宗教学者リー・ティービングにイアン・マッケラン。ゲイであることをカミングアウトしてからも、積極的に仕事を続け、サーの称号も受けた。やはり「X-メン」(X-men・2000・米)シリーズや「ロード・オブ・ザ・リング」(The Lord of the Rings: The Followship of the of the Ring・2001・ニュージーランド、米)シリーズが有名。

 狂信的暗殺者シラスを演じたポール・ベタニーは、髪や眉まで白っぽくして、不気味さを出している。しかも無表情。時折、悲しげな表情を見せるという役作りはさすが。「ロック・ユー!」(A Knight's Tale・2001・米)ではコミカルな役を、ハリソン・フォードの「ファイヤーウォール」(Firewall・2006・)では、一転して冷酷な犯罪者を演じ、まさに役者って感じ。何と奥さんは「ビューティフル・マインド」(A Beaurtiful Mind・2001・米)で共演したジェニファー・コネリー。

 「U・ボート」(Das Boot・1981・独)の艦長ことユルゲン・プロフノウもちょっとした役で出てくるが、1999年以降はすっかりBムービーの人になってしまって、なんだかさみしい感じだったが、本作でメジャー復帰か。

 シラスを使う司祭アリンガローサを演じたのは、イギリス生まれのアルフレッド・モリナという人で、「レイダース/失われたアーク」(Raiders of the Lost Ark・1981・米)で、冒頭インディー・ジョーンズのガイドをしていた。最近では「スパイダーマン2」(Spider-Man 2・2004・米)での敵役ドクター・オクタビアス。この人も硬軟両方いける口だ。

 悪い奴らが使っていたのはH&KのUSPやMP5。有名な銃ということもあるが、ヨーロッパの雰囲気を出したかったのではないだろうか。ただ、後半ラングドンが手にするリボルバーはS&Wのように見えたが……最初はM60チーフスかと思ったが、シルバーで、フロント・サイトに赤いチップが入れられ、グリップはスクェア・バット、シリンダーがノンフルートで、ハンマーはターゲット・タイプだったような。何だろう。

 公開2日目の初回、新宿の劇場は65分前に着いたら、すでに17〜18人の行列。さすが話題作。男女は半々で、中高年は5〜6人。あとは20代くらいの若い人たち。

 60分前、当日券と前売り券の列を分ける案内があって、当日10人くらい、前売り20人くらいに分かれた。40分前に開場となり、場内へ。初回のみ全席自由で、12席×4列のカバーの席もOK。この時点で60人くらいの入り。

 時間があったので、コーヒーを注文したら、なんとオーダーを受けてからミルしてドリップするコーヒー・メーカーが導入されていた。うまかった。350円なり。

 最終的には男女半々、老若半々になり、1,044席の7割くらいが埋まった。朝早くてこれだから、すごい。

 予告は、初回のみなしで、かろうじてアニメの「オーブン・シーズン」があっただけ。やっぱり予告がないとさみしい。


1つ前へ一覧へ次へ