2006年6月4日(日)「ポセイドン」

POSEIDON・2006・米・1時間38分(IMDbでは99分)

日本語字幕:手書き書体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク、Super35、by Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(IMAX版もあり)

http://wwws.warnerbros.co.jp/poseidon/
(音に注意。重くて表示遅い。全国の劇場案内もあり)

間もなく新年というその日、豪華客船「ポセイドン号」は突然の大波に飲み込まれ転覆してしまう。混乱の中、ほとんどの生き残った人々は大ホールに集まっていたが、数人がここにいたら死ぬといって脱出を試みる。

72点

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 うーん、絵と音響はスゴイ。ただドラマが希薄というか、ほとんど削除されている感じなので、感情移入がしにくい。そして、あまりにも突っ走り過ぎてメリハリがなく、すごいのに飽きてしまうようなところがある。その上CG満載でなんだか現実感も希薄。お金はかかっている感じはするが、ハラハラドキドキの点で言えば「海猿2」の方が面白い。

 やはり、ちゃんとドラマがあったオリジナルの「ポセイドン・アドベンチャー」(The Poseidon Adventure・1972・米)の方がおもしろい。本作も大ホールで歌が歌われるが今ひとつ。アカデミー賞を受賞した「モーニング・アフター」のように耳に残り、心にしみ込む曲ではなかった。残念。

 印象としては、「タイタニック」(Titanic・1997・米)の真似のような感じが……。もはやCGの大型客船には慣れてしまって、タイトル・シーケンスは良くできているのにCGにしか見えない。スレるって悲しい。だけど、真似ではオリジナルを超えられないというのも当然なのでは。

 監督自身がブロデューサーでもあるので、最初から意図していたのだろうが、あまりにドラマがなく、あたかもそぎ落としたかのような印象。たしかに、このままのドラマではありふれていて、陳腐なだけという感じはある。つまり中途半端。それでそぎ落としたのかもしれない。オリジナルと違う現代的かつ普遍的なドラマをいくつか盛り込んで欲しかったなあ。

 脱出劇がそれだけでサスペンスフルで、そこから登場人物たちの生き様みたいなものが見えてくれば、あえて変なドラマはない方が良いと思うけれど、そこまでの脱出劇でもない。うむむ……。残酷さはかなりあるが……。

 主演は「ステルス」(Stealth・2005・米)のジュッシュ・ルーカス。カート・ラッセルはつい最近「夢駆ける馬ドリーマー」(Dreamer・2005・米)に出ていたが、やっぱり「ニューヨーク1997」(Escape from New York・1981・米)とか「遊星からの物体X」(The Thing・1982・米)がいいなあ。

 懐かしかったのは、リチャード・ドレイファス。「ジョーズ」(Jaws・1975・米)と「未知との遭遇」(Close Encounters of the Third Kind・1977・米)はもう不滅の作品。もともとTVの人だが、1990年代後半に入ってからはTVが多くなったらしく見かけなかったが、こんなになっていたのか。60歳だもんなあ。

 残念だったのはエミー・ロッサム。「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera・2004・米英)の人だ。カート・ラッセルの娘役だが、登場シーンの笑顔があまりに不自然で、シーンと関係なく「どうきれいでしょう。見て見て」と言っているようで最悪。監督の演出かも知れないが……。

 母親に連れられた少年は、ジミー・ベネット。「ホステージ」(Hostage・2005・米独)、「悪魔の棲む家」(The Amityville Horror・2005・米)、「ファイヤーウォール」(Firewall・2006・米)などで似たような役を演じている。1996年生まれの10歳。

 チンピラっぽいいけ好かないギャンブラーを演じていたのは、マット・ディロンの弟、ケビン・ディロン。映画ではレイ・リオッタの脱獄SF「ノー・エスケイプ」(No Escape・1994・米)が最後か。よく見かける気がするのは、話題のTVに出演しているからかもしれない。

 監督は「Uボート」(Das Boot・1981・独)のウォルフガング・ペーターゼン。「ネバーエンディング・ストーリー」(The Neverending Story・1984・独米)や、「第5惑星」(Enemy Mine・1985・米)、「エアフォース・ワン」(Air Force One・1997・米独)、「トロイ」(Troy・2004・米他)……良い作品もたくさんあるのだが、なぜという感じ。バラストに水を入れてハッチを開け、そこを伝って脱出するなどは、さすが「Uボート」の監督というところか。

 問題の脚本は、マーク・プロトセビッチという人。「ザ・セル」(The Cell・2000・米独)の脚本家だ。だとすればドラマを書けないはずがないと思うが。問題はプロデューサーか?

 公開2日目の初回、銀座の劇場は前日に座席予約しておいたので、30分前くらいに到着したら、開場するちょっと前。1Fには30〜40人、劇場入口には7〜8人が並んでいた。

 25分前くらいに開場。2F席はほとんど中高年の男性のみ。34年前のオリジナル版を見た人たちだろうか。

 15分前から場内案内が上映され、最終的には2F席は3.5〜4割くらいの入り。ちょっと少ないが、この出来ではしょうがないかも。ほぼ中高年で、女性は3割くらい。たぶん20代くらいの女性が少し。

 予告で気になったのは、「スーパーマン」の新予告。なかなか面白そう。凄いビジュアル。ヒロインもきれい。「デス・ノート」はついに内容がわかるものに。なかなかおもしろそう。


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