2006年6月7日(水)「ブギーマン」

BOOGEYMAN・2005・米/ニュージーランド/独・1時間30分(IMDbでは89分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、村田恵/ビスタ・サイズ(Panavision)/ドルビー、dts、SDDS

(米PG-13指定)(レイト・ショー公開)

http://www.boogeyman.jp/
(音に注意。全国の劇場案内もあり)

幼い頃、父親が突然消えてしまったことから、心に傷を負ったティム(バリー・ワトソン)は、成人して雑誌社に勤めていたが、母親が亡くなったという連絡を受けて実家に帰る。しかし、実家の自分の部屋には忌まわしい思い出があり、彼は父親を連れ去ったのはクローゼットの中にいたブギーマンだといまだに信じていた。彼は再びそのクローゼットと対面することになる。

69点

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 うーん、これは何なんだろう。そこそこ怖いのに、夢落ちでもないのに、このガッカリした気持ち。結局、主人公は最初から最後まで怯えているばかりだし、まわりは「気のせい」というばかりだし、ドアを開けようとする場面の繰り返しはいいかげん嫌になる。思わせぶりばかり。

 怖いくせに、わざわざ夜の公園をひとりで歩いたり、わざとらしい設定も多い。もっとも怖いのは、なぜか老けメイクした年老いた母という設定のわかい女優さんが、霊のように出てくるシーン。一瞬だからよけいに創造力をかき立て怖いのかもしれないが、この一瞬は良かった。しかし、葬儀のシーンで老けメイクの母親が映ると、もうダメ。どうして本当に老けた女優さんを使わなかったのだろう。若い頃のシーンと多少似ていなくても、まったく問題は無いのに……。

 映画の中では、主人公はどこにいても怖がっており、それはクローゼットと関係がない。クローゼットがいろんなところにつながっているというような設定らしいが、どうにもただの怖がりにしか見えないわけで、これもあまり感心できない。ただの精神異常か、神経過敏症にしか思えない。ブギーマンが存在しない方が話はすっきり納得できてしまうのだ。これでは映画自体が成立しない。

 細かくおかしなところもたくさんあり……たとえば田舎の家の近くで、主人公に好意を持ってくれる幼なじみの女性が落馬すると、廃屋のようになった無人の家にちゃんと氷があったりする。いつの間に氷を作ったんだろう。

 主演のバリー・ワトソンは、本作の中ではまったく頼りないが、なかなかのハンサム。あまり話題作には出演していないが、今後出演作が増えそうな予感。ただ1974年生まれなので、すでに32歳というのが惜しい。

 謎めいた登場の仕方をする少女を演じたのは、マイケル・ダグラスとブリタニー・マーフィーが共演したミステリー「サウンド・オブ・サイレンス」(Don't Say A Word・2001・米)にも出演していたスカイ・マコール=バチュシアック(バートシアク)。演技力なのか、彼女には存在感があった。

 監督はシルベスター・スタローンが取り立て屋を演じたつまらない映画「追撃者」(Get Carter・2000・米)を撮ったスティーヴン・ケイ。やはりこんな作品を撮ってしまったか。役者でもあり「リーサル・ウェポン3」(Lethal Weapon 3・1992・米)にも出ていたらしいが、まっ、どうでもいいか。予告などでは監督名を出さず、プロデューサーのサム・ライミ(「スパイダーマン」(Spider-man・2002・米))を前面に出し、サム・ライミの「ブギーマン」と言っていた。考えてみれば、面白い作品だったらそんなことはしないだろう。やられた。

 問題ありそうな脚本はエリック・クリプキという人。TVで脚本を手がけている人で、映画には向いていなかったのかもしれない。

 公開5日目のレイト・ショー、25分前くらいについたら、新宿の劇場は20代後半くらいの男性が5〜6人。20分前くらいに開場となって場内へ。レディース・デイなので女性が多いかと思ったら、2人くらいしかいなかった。最終的には272席に40人くらいの入り。ほとんど若い男性で、中高年は3〜4人。

 予告編なしのいきなり上映はさみしい。



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