2006年7月15日(土)「アルティメット」

BANLIEUE 13・2004・仏・1時間25分

日本語字幕:手書き書体下、松田葉子/シネスコ・サイズ(TECHNOVISION、Super 35、マスク)/ドルビーデジタル、dtsES

(仏-12指定)


http://www.xanadeux.co.jp/ultimate/
(音に注意)

2010年のフランス。バリ郊外にあるバンリュー13地区は犯罪者が支配する荒廃した地域となったため、政府は高い塀を立てて隔離することにした。麻薬を一掃しようと立ち上がったレイト(ダヴィット・ベル)は、町を牛耳るボス、タハ(ラルビ・ナセリ)と証拠の麻薬を警察署に突き出すが、トラブルを避けたい警察はタハを釈放、逆にレイトを拘留してしまう。そしてタハはレイトの妹を麻薬漬けにして、犬として飼う。一方、一匹狼で潜入捜査官として活躍するダミアン(シリル・ラファエリ)は、司法長官から直接、タハに強奪された高性能爆薬の回収を命じられる。ダミアンはバンリュー13地区に詳しいレイトの協力を得るため、犯罪者に扮し一緒に脱獄を図るが……。

74点

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 ここのところパッとしないリュック・ベッソン作品にあって、久々に楽しめてスカッとする作品。といっても、実際には2年も前の作品なのだが……。

 だいたい漫画のような感じの作品が多いリュック・ベッソン作品だが、本作も劇画にあるような感じの作品だ。あえて言えば、自身プロデュースし脚本も書いた「ヤマカシ」(Yamakasi・2001・仏)と、「マルセイユ・ヴァイス」(Gomez & Tavares・2003・仏)というか「TAXi」(TAXi・1997・仏)というか。もっと言うと「ニューヨーク1997」(Escape from New York・1981・米)に似てるかも。

 たぶん、似たようなプロットでも面白く見れるのは、ちゃんとキャラクターが立っていることと、アクロバティックな超人的技の数々のおかげだろう。ということは、リュック・ベッソンの脚本というよりは役者や演出が良いということかも。

 とにかくすごい肉体演技を見せてくれるのは、2人のフランス人俳優。1人はチョイ悪のレイト役、ダヴィット・ベルという人。ビルの谷間を飛び越える「パルクール」というのをやっていたらしい。それでリュック・ベッソンの目に留まり「ヤマカシ」への出演オファーを受けるが、最初は断ったらしい。その後「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」(Crimson Rivers 2: Angels of the Apocalypse・2004・仏)にスタントマンとして参加、さらに「トランスポーター2」(The Transporter 2・2005・仏/米)にもスタントマンとして参加しているらしい。でも本作で主演しているのに、スタントマンだけというのは、なぜ? スタントマンだけでは食べていくことができないのか、世界各地の格闘技にも参加しているとか。

 もう1人、相棒の刑事ダミアン役にはシリル・ラファエリ。14歳からサーカス学校に入学したらしい。「ドーベルマン」(Dobermann・1997・仏)あたりからスタントマンとして活躍しているとか。「トランスポーター2」や「アンジェラ」(Angel-A・2005・仏)には役者として参加している。「キス・オブ・ザ・ドラゴン」(Kiss of the Dragon・2001・仏/米)ではジェット・リーとも戦っているらしい。刑事ということか、銃はダブル・ショルダー・ホルスターにグロック。フルオートで撃つシーンもあったので、G18だったのかもしれない。

 レイトの気の強い妹ローラを演じたのは、エキゾチチックな雰囲気のダニー・ヴェリッシモ。これまでTVで活躍してきたようで、どうも本作が本格的な劇場長編映画初出演ということになるようだ。

 悪のボス、タハはラルビ・ナセリ(ビビ・ナセルとも)。「スズメバチ」(Nid de guepes・2002・仏)にも警察が立てこもる倉庫の従業員役で出ているらしい。 役者の他に脚本家でもあり、実は本作もリュック・ベッソンとともに脚本を書いている。そして「TAXi」(Taxi・1998・仏)の主演、サミー・ナセリの兄。どうも役者としては弟のほうが上のようだが、本作を見る限り悪役は抜群にうまいようだ。脚本も含め、今後にも期待したい。

 後頭部の髪をK2にしている、ちょっとオツムの弱い巨漢K2は、トニー・ダマリオ。日本公開された作品では、ミラ・ジョボヴィッチが主演したリュック・ベッソン監督作品「ジャンヌ・ダルク」(The Messenger: The Story of Joan of Arc・1999・仏)にも出ていたのだとか。使っている銃はH&KのMk.23。

 監督はピエール・モレル。もともとはカメラマンをしていた人で、「トランスポーター」(Transporter・2002・仏/米)の撮影、「ダニー・ザ・ドッグ」(Danny the Dog・2005・仏/米/英)の撮影などを担当している。リュック・ベッソンに認められ、本作で監督になったらしい。

 ほかにも銃は実に多彩で、ギャングたちがKG9やらウージー、AK、FN-MAG、P90、Vz61スコーピオン、ポンプ・ショットガン、リボルビング・グレネード・ランチャーなど、出過ぎていちいち書き留められなかった。ピストルではスターム・ルガーのレール付き(KP95PRか)、タウルス・レイジング・ブルらしき8インチ・リボルバーなどなど。

 公開初日の初回、新宿の劇場は上映劇場が変更になっていて、一番スクリーンが見にくい古い劇場に……ショック。40分前に着いたらオヤジが4人。30分前くらいから増えだして、階段室は狭くて通気も悪いので、どんどん暑くなってくる。結構急な階段なのでお歳で足の悪い人は並ばずに上で待っている。いつものように案内は何もなし。

 20分前に開場になり、指定席のない場内へ。この時点で20人くらい。ほとんどは中高年。女性が2人ほど。場内もあまりエアコンが効いておらず、暑い。最終的には272席に7割くらいの入り。

 10分前くらいから若い人も増えたが、老若比は7対3くらいで、中高年が多め。女性は7〜8人だった。下は中学生くらいからいた。CGじゃない超絶技が見られるということで人気が高かったのかも。でもCGじゃないことをことさら強調するのは良くないと思う。それがエスカレートすると、危険なことをやらないと人が来ないということになってしまうから。

 入り口付近に関係者らしい1団が7〜8人かたまっていて、入場のジャマだった。2人も来れば充分だろう。でも入場ブレゼントでエヴィアンのボトルをもらって嬉しかったけど。

 いよいよ、あややの「スケバン刑事」の予告が始まった。まだ内容は良くわからない。どうなんだろう。「ゲド戦記」は新しいちょっと不気味編に。森田健作の「I am 日本人」はコテコテだが、面白そう。ただわざわざ劇場で見るのは……。


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