2006年7月23日(日)「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」

PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MAN'S CHEST・2006・米・2時間31分(IMDbでは150分)

日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、Suoer 35、with Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(日R-15指定、英18指定)(日本語吹替版もあり)

http://www.disney.co.jp/pirates/
(入ったら音に注意)


ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)とエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)の結構式当日、海賊ジャック・スパロー船長(ジョニー・デップ)を逃がしたとして二人はイギリス軍の新しい司令官、カトラー・ベケット(トム・ホランダー)により逮捕監禁されてしまう。そしてウィルは、カトラーからジャックの持っているコンパスを持ってくればエリザベスを助けてやると言われ釈放される。ウィルを信用できないエリザベスの父のスワン総督(ジョナサン・プライス)はエリザベスを脱獄させるが、彼女はすぐにウィルの後を追う。その頃、ジャックは海の怪物クラーケンを倒すため、“深海の悪霊”ディヴィ・ジョーンズ(ビル・ナイ)の宝を入れた“デッドマンズ・チェスト”を追っていた。

73点

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 ビックリ。冒険につぐ冒険。子供たちが読むような海賊の物語が、大人たちの真剣な演技によってリアルなおとぎ話として展開する。夏休みに入った子供はもちろん、大人も本気で楽しむことができる。これこそ、まさに痛快冒険活劇。2時間31分の長丁場を、さすがに中盤ちょっとダルむが、一気に見せる力技はさすが。しかも、前作でウケたネタはすべて盛り込み、前作を見た観客を裏切らない。できればDVDで「1」を見てから劇場へ行けば、より楽しめる。

 観客を楽しませようという工夫もたくさん盛り込まれ、サービス精神満点。しかもディズニーランドのアトラクション「カリブの海賊」のコンセブトというか、世界観をちゃんと守っている。今回は女まじない師ティア・ダルマが出てくるが、彼女の家の雰囲気などは「カリブの海賊」そのまま。たぶん映画を見た後ディズニーランドへ行って「カリブの海賊」に入るとニヤリとしてしまうのではないだろうか。映画のあちこちにアトラクションの要素が活かされているから。昔の西部劇みたいな大人数での殴り合いもある。

 今回の敵は「フライング・ダッチマン」の船長ディヴィ・ジョーンズとその乗組員たち。前回の死ぬことができない骸骨たちと違って、完全な異形の者たち、モンスター。このデザインがまたいい。海の生物と合体している。ベースは巻き貝だったり、フジツボだったり、サメだったり、とにかく見る価値あり。素晴らしい特殊メイク。

 ちなみに「フライング・ダッチマン」というのは、世界で最も古い幽霊船で、ドイツの詩人ハインリッヒ・ハイネが伝説を「さまよえるオランダ人」にまとめ、それをワーグナーが楽劇にしたのだとか。嵐で遭難し目的地にたどり着けず幽霊船となったとも、神罰によってさまよっているとも、船長が悪魔に呪われていて7年に一度だけ上陸を許されるが、その時に永遠の愛を誓ってくれる女性が現われない限りさまよう運命なのだともいわれる。続編ではいったいどうなるのだろうか。

 配役はほとんど前作からの続投。スワン総督のジョナサン・プライスも出てくるし、ジャック・スパローを逃がしたノリントン提督のジャック・ダヴェンポートも出てくる。新しいところでは、何やら怪しげな新しい提督カトラー・ベケットのトム・ホランダー。あの面白かった暗号解読作戦映画「エニグマ」(Enigma・2001・英/米ほか)にも出ていた人。

 そして、タコ頭のディヴィ・ジョーンズのビル・ナイ。最近では「ナイロビの蜂」(The Constant Gardener・2005・独/英)や「アンダーワールド・エボリューション」(Underworld: Evolution・2006・米)に出ていた人。本作も含め、いずれも最近は悪役だ。顔に生えているタコの足がそれぞれ勝手に動いていて、とてもリアル。どうやって撮ったんだろう。特殊メイクでほとんど顔は判らないが、かなり恐ろしくて憎たらしいキャラクター。

 もう1人印象に残るのは、まじない師ティア・ダルマのナオミ・ハリス。奇妙な刺青メイクがいい雰囲気を醸しだしている。コミカルな感じだが、最新作「マイアミ・バイス」(Miami Vice・2006・米)ではタブスの恋人役で全裸になってがんばっている。印象が全く違う。さすが女優。

 監督は前作から引き続きゴア・バービンスキーが担当。3D-CGのネズミが大暴れする「マウスハント」(Mousehunt・1997・米)で劇場長編映画監督デビューし、ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツが1挺の銃を巡って恋の駆け引きをする「ザ・メキシカン」(The Mexican・2001・米/メキシコ)、鈴木光司原作の日本のホラー「リング」(1998・日)をリメイクした「ザ・リング」(The Ring・2002・米)などを手がけた人。ジャンルも様々で、職人監督肌なのだろう。

 脚本も前作と同様。テッド・エリオットとテリー・ロッシオの2人(前作は他に2人いたが)。ほとんど2人で共同で書いているようで、ディズニーの大ヒット・アニメ「アラジン」(Aladdin・1992・米)、日本のモンスターをリメイクした「DODZILLAゴジラ」(Godzilla・1998・米)、フィギュアと人間が共演した「スモール・ソルジャーズ」(Small Soldiers・1998・米)、「マスク・オブ・ゾロ」(The Mask of Zorro・1998・米)、「シュレック」(Shrek・2001・米)、「トレジャー・プラネット」(Treasure Planet・2002・米)とほとんど話題作ばかり手がけている。「レジェンド・オブ・ゾロ」(The Legend of Zorro・2005・米)は酷かったけど……。

 プロデューサーは、もちろんヒット・メーカーのジェリー・ブラッカイマー。「ナショナル・トレジャー」(National Treasure・2004・米)や「ブラックホーク・ダウン」(Black Hawk Down・2001・米)、古くは「トップ・ガン」(Top Gun・1986・米)。「ビバリー・ヒルズ・コップ」(Beverly Hills Cop・1984・米)、「フラッシュダンス」(Flashdance・1983・米)、「アメリカン・ジゴロ」(American Gigoko・1980・米)を手がけてきた。2000年以降は話題のTVドラマもたくさん手がけている。

 公開2日目の初回、金座の劇場は前日に座席を確保しておいて20分前に着いたら、2Fはすでに6.5割くらいの席が埋まっていた。中央と前列が開いていたことから想像すると、今入っているのは当日並んだ人かも。開いているのは前日以上前に座席確保した人ではないか。

 驚いたことに、ボクの確保した座席には男性が座っていた。「この席ですか?」と聞くと「アッ」とか言っていなくなったが、全席指定のはずなのになぜなんだろう。

 すでに場内案内も上映開始していた。下は中学生くらいから、上は老人まで幅広い。やや若い人が多いか。男女比はほぼ半々くらい。

 座席を確保した安心からなのか、空いていた席は予告編の上映が始まって5分くらい過ぎてからやっと埋まった。最終的に2F席は8.5〜9割ほどの入り。ほぼ満席に近い。すごいなあ。

 予告編はほとんど新しいものがなかったが、だんだん原題がThe Lake House(湖畔の家)の映画がなぜ「イルマーレ」(イタリア語で海)なのか気になってきた。韓国映画の「イルマーレ」のリメイクだとしても、設定が海辺から湖畔に変わっているんだから……。気になるといえば、日本モンゴル合作の角川春樹映画「蒼き狼」はどうなんだろう。なんだか登場人物が堂々と日本語を使っているようなんだけど。ハリウッド方式か。

 スクリーンがシネスコになってから、トニー・スコット監督の「デジャヴ」。デンゼル・ワシントン主演で、これもジェリー・ブラッカイマー、プロデュース作品。デジャヴが過去からの警告というかもという話らしいが、SWATが登場する。面白そう。そして久々のケビン・コスナー作品「守護神」は、なんだかアメリカ版「海猿」といった感じ。アメリカの海難レスキュー隊の話らしい。アシュトン・カッチャーも出ていた。3D-CGアニメの「ライアンを探せ!」はタイトルは「プライベート・ライアン」のようだけど内容は「ファインディング・ニモ」みたい。うむむ。


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