2006年8月19日(土)「スーパーマン・リターンズ」

SUPERMAN RETURNS・2006・豪/米・2時間34分

日本語字幕:手書き書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(with Panavision[Panavision Genesis HD Camera]、一部IMAX Digital 3-D)/ドルビーデジタル、dts、SDDS(IMDbではドルビーデジタルとSonics-DDP[IMAX])

(米PG-13指定)

http://wwws.warnerbros.co.jp/supermanreturns/
(音に注意。表示遅い。全国劇場案内もあり)(日本語吹替版とIMAX 3D版もあり)


5年間音信不通となっていたクラーク・ケント(ブランドン・ラウス)がもどり、デイリー・プラネット社に復帰した。同時にスーパーマンももどり再び活躍を始める。同じ頃、刑務所に入っていたはずのレックス・ルーサー(ケビン・スペイシー)が出所し、老女の莫大な遺産を相続すると、それを資金に北極のスーパーマンの秘密基地を発見し、そこからクリスタルを盗み出す。また、クラーク・ケントが密かに恋していた記者のロイス・レーン(ケイト・ボスワース)は、腕利きの記者リチャード・ホワイト(ジェイムス・マースデン)と、5歳の息子と暮らしていた。

74点

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 いかにも映画らしい映画。久々にワクワク、ドキドキした。何か起きそうな予感と、気持ちが高揚する音楽、それに応える驚異のビジュアルとカッコ良さ。憎たらしい悪役と美女。しかもスーパー・ヒーローはハンサムで、背が高く、強くて、正義感が強くて優しい。

 日本でスーパーマンというと、漫画やアニメを別にして、オジサンにはジョージ・リーブス主演のTVドラマ「スーパーマン」(Adventures of Superman・1952〜1958)か、劇場版「スーパーマン」(Superman・1978・英)から始まる4本作られたクリストファー・リーヴ主演の映画だろう。本作は劇場版「スーパーマン」の強い影響に基づいて作られている。そのため冒頭でスーパーマンの父として、クリストファー・リーヴ版で父を演じたマーロン・ブランドが登場する。すでに亡くなっているが、ロンドンにフッテージが残っていたらしい。

 冒頭、スーパーマンが成長する過程は、なんだか雰囲気がアン・リー監督の「ハルク」(The Hulk・2003・米)に似ている気がした。畑を飛び跳ねるシーンなんかハルクが岩場をはねるシーンにソックリ。

 とにかくSFXはみごと。シネスコ・サイズの大画面で見ると迫力満点。飛行機のシーン、船のシーン、どこまでがセットで、どこからがミニチュアか、そしてCGなのか、渾然一体としてはっきりわからない。当然そんなシーンではスーパーマン自身もCGなのだろうが、ほとんと違和感はない。

 音響も非常に立体的で、クリア。できればデジタル・サウンドの劇場で見たい。

 主演のブランドン・ラウスは、1979年生まれの27歳。ほとんどTVで活躍してきた人で、もちろん劇場映画の主演は初めて。髪形によっては普通の今どきの若者だが、本作のような髪形にすると、まさにスーパーマン、クラーク・ケントに見える。そして、本当かどうかはわからないが、彼の人柄が役にそのまま出ているような感じ。それがいい。先代のスーパーマン、クリストファー・リーヴも「スーパーマン」がきっかけでブレイクしたので、ぜひともブランドン・ラウスにもがんばって欲しい。

 恋人のヒロイン、ロイス・レーン役のケイト・ボスワースは、ブロンドの髪をブルネットに染めて、いかにも知的な女性記者という感じ。劇場映画のデビュー作は「モンタナの風に抱かれて」(The HorseWhisperer・1998・米)。そのほかに「タイタンズを忘れない」(Remember the Titans・2000・米)、未見だがケビン・スペイシーが監督した「ビヨンドtheシー 〜夢見るように歌えば〜」(Beyond the Sea・2005・米/独/英)や「綴り字のシーズン」(Bee Season・2005・米)などにも出ているらしい。結構よく見かける人だ。ちなみに先代のロイス・レーンは「悪魔の棲む家」(The Amityville Horror・1979・米)のマーゴット・キダー。

 この2人とも最初の劇場版が公開された年にはまだ生まれていない。

 クリストファー・リーヴ版でジーン・ハックマンが演じた敵役レックス・ルーサーには名優ケビン・スペイシー。トレード・マークがはげ頭なので、本作でもきれいに剃り上げている。傑作「ユージュアル・サスペクツ」(The Usual Suspects・1995・米/独)が本作の監督でもあるブライアン・シンガー監督だったことから、本作に出演することにしたのではないだろうか。さすがにうまい。

 デイリー・プラネット社のボスは、フランク・ランジェラ。1970年くらいから活躍している人で、キアヌー・リーブスとシャーリーズ・セロンのラブストーリー「スウィート・ノベンバー」(Sweet November・2001・米)とか、ロマン・ポランスキー監督、ジョニー・デップ主演のホラー「ナインス・ゲート」(The Ninth Gate・1999・西/仏/米)などに出ていた人。独特の存在感を持っている人だ。最近では見ていないのだが「グッドナイト&グッドラック」(Good Night, and Good Luck.・2005・米)にも出ていたとか。どちらかというと悪役が多い印象。

 ロイス・レーンの実質上の夫を演じているのは、ジェームズ・マースデン。「X-メン」(X-men・2000・米)で、目から光線を出すサイクロプスを演じていた人。それまではTVで活躍していたようだ。最近では「X-メン」以外の話題作というと、あの涙の高齢ラブ・ストーリー「きみに読む物語」(The Notebook・2004・米)にも出演。

 レックス・ルーサーの愛人のようなキティ・コワルスキーには、最近「ブレイド3」(Blade:Trinity・米)で怖い女吸血鬼を演じていたパーカー・ポージー。「スクリーム3」(Scream3・2000・米)や「ユー・ガット・メール」(You've got Mail・1998・米)などにも出ている。きれい。

 スーパーマンの母親を演じているのは、エヴァ・マリー・セイント。1924年生まれというから、今年82歳。とても元気そうだった。マーロン・ブランドの「波止場」(On the Waterfront・1954・米)や、ヒッチコックの「北北西に進路を取れ」(North by Northwest・1959・米)の謎の女、イスラエル建国秘話「栄光への脱出」(Exodus・1960・米)、リチャード・バートンとエリザベイ・テイラーが共演した「いそしぎ」(The Sandpiper・1965・米)、三船敏郎も出た「グラン・プリ」(Grand Prix・1966・米)など有名作品に多数出ている。1980年代からはTVでの活躍が主だったようだ。

 実力派俳優たちが、新人をもり立ててスターにする、という図だろうか。

 監督は、いわずと知れたブライアン・シンガー。「X-メン」シリーズと本作ですっかりコミック映画化の名手みたいになってしまったが、ボクとしては「ユージュアル・サスペクツ」(The Usual Suspects・1995・米)系のシリアス・ドラマというか、サスペンスものも撮って欲しいなあ。

 公開初日の初回、新宿の劇場は、先行上映があったお陰か、60分前で5人。全員男で、老若比は半々。5分くらいしてボックス・オフィスのシャッターが開き、当日券販売開始。列はすぐに20人くらいになった。女性は5人、うち4人が若い女性。

 30分前には列は50人くらいに。日差しの強い暑い日で、並んでいるところが直射日光が当たるためかなり苦痛。だれか倒れる人が出るのではないかと思ったが、どうにか何事もなく25分前になってやっと開場。スーパー・ペア・シート以外は全席自由で、最終的に早朝にも関わらず1,064席に6割ほども入ったのは立派。

 BGMにスーパーマンの曲が流れており、スケールが大きく、わくわくとさせる。演出としてこれはアリなのではないだろうか。

 CMで驚いたのは、日清のカップヌードルの映像が、大スクリーンで見てもまったく見劣りしないこと。素晴らしいクオリティの高さ。

 予告はついにクリント・イーストウッド監督、スティーブン・スピルバーグ製作の「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」が始まった。すごい。これは見たい。上下マスクでシネスコサイズ。カラーだがモノトーンっぽい画調。ニュー「007カジノ・ロワイヤル」はなかなか良さそうだが、はたして青い目のダニエル・クレイグはどうなんだろう。予告ではカットが短くて良くわからない。アクション満載のようだが……。「http://wwws.warnerbros.co.jp/ladyinthewater/」は新はバージョンの予告に。なんだか最初の予告とは大分違う展開に。狼のような凶暴なクリーチャーが登場。うーむ、ナイトシャマラン……。

 シネイコ・サイズになってから「イルマーレ」の予告。同じ内容で、そろそろ飽きてきた。湖畔の家なのに「イルマーレ」(海辺の家の意)というのも気になるし。たぶん先にオリジナルの韓国版は見ない方が良いような……。


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