2006年8月26日(土)「マックス!!! 鳥人死闘篇」

LES FILS DU VENT・2004・仏・1時間34分

日本語字幕:丸ゴシック体下、寺尾次郎/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル、dts

(米PG-13指定)

http://maxx-movie.jp/
(音に注意。全国劇場案内もあり)


YAMAKASIのリーダー、レオ(ロラン・ピエモンテージ)がタイのバンコクでジムを開くというので、メンバー5人が加わり、現地へ向かう。さっそく近所の子供たちと仲良くなり、トレーニングを始めると、地元のチンピラに襲われる。出て行けというのだった。跡をつけたメンバーは、彼らのバックに日本人ヤクザがいることを知る。そして今度は日本人ヤクザに襲われることになる。

71点

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 おっと、なんだかタイ映画「マッハ!」(Ong-Bak・2003・タイ)みたいなタイトル。これは怪しい。しかも2004年の製作なのにやっと公開……IMDbで調べてみると……うわっ、3.9点という低得点。

 アクションだけでなく、YAMAKASIのメンバー1人1人のキャラクターを描き、それぞれのバックグラウンドや心情までも描こうとして描き切れず、中途半端な仕上がりとなってしまった印象。わずか94分でメンバー7人のキャラクターを描き、しかもタイの裏社会を牛耳るチャイニーズ・マフィアと日本のヤクザのあつれきも描き、地元チンピラの妹とヤマカシ・メンバーの恋まで描こうというのだから無理がある。この内容なら少なくとも2時間はないとダメだろう。

 確かにYAMAKASIの技はスゴイ。タイの兄妹キエンとツを演じたチョウ・ベル・ディン(YAMAKASIのメンバー)と、エロディ・ユングも体の動きは抜群。アクション・シーンは素晴らしい。そして、意表を突くようなカメラ・ワークと美しい絵は見る価値がある。しかし、それだけ。描こうとした跡の見えるドラマはグズグズだし、ラブ・ストーリーはまったく成立していない。

 少なくともラブ・ストーリーは、お互いが好きになる過程がないと、気持ちが観客に伝わってこない。心の絆みたいなものも、ほとんど描かれていない。ヒロインも、体の切れ、スタイルや腹筋が割れているのは素晴らしいが、女性的な魅力がちょっと足りないかなと。格闘技がメインなら良いけれど、ラブ・ストーリーにしたいならもっと違ったキャスティングにすべきだったのでは。

 監督はリュック・ベッソン脚本の「YAMAKASI ヤマカシ」(Yamakasi・2001・仏)で、脚本とアクション監督を務めたジュリアン・セリ。たぶん本作が監督デビュー作。評価があまり高くないのに、同じ年にもう1本「Alive」という作品を撮っており、こちらもIMDbで3.4点という低評価。なのに現在、2007年公開予定の新作のポスプロ中。なぜ?

 重要なヤクザのボス、キタノを演じるのが日本人ではなくサンティ・スダロという人。フランス人には日本人に見えるのかもしれないが、日本人にはかなり違和感がある。フランス語が流ちょうなアジア系の顔の人だったのかもしれない。ジェット・リー主演の「ダニー・ザ・ドッグ」(Dunny the Dog・2005/仏、米)にも出ていたらしい。憎らしさはなかなかうまい。

 日本人のヤクザ幹部を演じている日本人は、サノヒロカズという人。見たことはあるような気がしたが、思い出せなかった。

 日本ヤクザとチャイニーズ・マフィアの戦いでは、実に多彩の銃器が登場する。P226、Vz61スコーピオン、SG551、ドラグノフ、MP5K、AUG、MP40、M3……まったくめちゃくちゃだが、タイならありそうな気がする。ただし、それらはあまり撃たれることはなく、クライマックスでは投げ捨てて日本刀対蛮刀のチャンバラになってしまうのだが。

 公開初日の初回、銀座の劇場は「太陽」の大ヒットあおりで上映プログラムも大混乱気味。3館中2館で「太陽」を上映するため、3館中1番小さな小屋で、なんと「がばいばあちゃん」の上映のあと。悲しい。どうりで1回目の時間が遅いわけだ。

 30分前に着いたら2〜3人がうろうろ。15分前にやっと開場し、この時点で5〜6人。ほとんど中高年というか高齢者。最終的には72席に25人くらいの入り。おばあさん1人、30代くらいの男性2〜3人、高校生くらい2人、大学生くらい1人、それ以外は高齢者という感じ。まあ、こんなものかなと。

 予告は、「太陽」も気になったが、ウェズリー・スナイプス作品が面白そうだった。「トランスポーター」のジェイソン・ステイサムと共演した「CAOS カオス」、そして主演映画3本「ザ・マークスマン」「デトネーター」「7セカンズ」のウェズリー・スナイプス大運動会(なんてタイトルだろう)。


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