High Tension


2006年8月30日(水)「ハイテンション」

HAUTE TENSION・2003・仏・1時間31分(米版は89分)

日本語字幕:手書き書体下、斎藤敦子/シネスコ・サイズ(マスク、Super 35)/英語/ドルビーデジタル、dts(オリジナルはドルビーデジタルEX、米版はドルビーデジタルとSDDS)

(仏-16指定、オリジナル版米NC-17、再編集版米R指定、日R-15指定)(一部の劇場はレイト・ショー)

http://hightension.jp/
(入ったら音に注意。画面極大化。全国劇場案内もあり)


南フランス。女子大生のマリー(セシル・ドゥ・フランス)とアレックス(マイウェン)は、試験勉強のため車でマリーの田舎に向かっていた。到着したのは夜遅くなってからだった。そして深夜、マリーはドアのチャイムを鳴らす音で目覚めた。父親のダニエル(アンドレイ・フィンティ)が出て見ると男が立っており、いきなりかみそりで切りかかってきた。そして、次々と家族を襲っていく。マリーはどうにか難を逃れたものの、アレックスは鎖を巻かれて連れ去られてしまう。

70点

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 うーん、どんでん返しは面白いが、その後が長く、その前も展開に無理があり、ノリ切れない。フランスでハリウッドのようなスプラッターが作られていたことは驚きで、それなりに見る価値はあると思うけど……。

 一言でいうと「アイデンティティ」(Identity・2003・米)と「サイコ」(Psycho・1960・米)を合わせて、「悪魔のいけにえ」(The Texas Chainsaw Massacre・1974・米)の味付けをしたような感じだろうか。

 強引な展開は、あとでオチを知ってから考えると無理でもないようなのだが、映画を見ている最中に無理があると感じさせるのは良くないと思う。疑問が生じればノることができなくなる。話がウソ臭く見えてしまうのだ。しかも英語吹き替え版なので、フランス語をしゃべっているらしい俳優の口と合わず、臨場感なんて全くなし。早口で、いかにも吹替という感じが、さらにウソ臭くしてしまっている。

 とにかく惨劇が起る家から主人公らしいマリーは、何回も逃げ出すチャンスがある。さらに、変態の殺人鬼から車を奪うチャンスも何回もある。しかしそうしないのだ。なぜ。それはオチでわかるのだが、これはいかんなあ。すべての悲劇が自業自得に見えてしまう。

 2003年の作品が今ころ公開されるのは、DVDが発売されるからだろうか。まっ、DVD化も遅い気がするが。驚いたことにIMDbでは6.7点というなかなかの高評価。どんでん返しが鮮やかだからだろうか。

 本作品で一番怖かったのは、マリー役のセシル・ドゥ・フランスとアレックス役のマイウェンの顔。ホラーには向いているかもしれないが、主役クラスとしてはどうなんだろう。

 セシル・ドゥ・フランスはベルギー生まれで、日本ではあまり知られていないが、多くの映画に出演している。「スパニッシュ・アパートメント」(L' aubereg Espagnole・2002・仏/西)で2003年セザール賞最優秀新人女優賞獲得。最近ではジャッキー・チェンの「80デイズ」( Around the World in 80 Days・2004・米)にも出ていたらしい。

 マイウェンは、リュック・ベッソン監督のSF「フィフス・エレメント」(The Fifth Element・1997・仏/米)で、紫色のボディ・スーツを着て歌姫をやっていた人なんだとか。怖いわけだ(?)。

 母親のオアナ・ペレーアはメイクのせいもあるのか、出てくるだけで怖い。チェッキー・カリョの「ノストラダムス」(Nostradamus・1994・仏ほか)に出ていたとか。記憶にないなあ。

 それに対して、殺人鬼のフィリップ・ナオンは、怖くない。存在は怖いが、顔は普通のオジサン。ちょっと小太りな感じは人が良さそうな……。負傷したり、血を流すと怖くなったが。これも演出意図なのだろうか。傑作「クリムゾン・リバー」(Les Rivieres Pourpres・2000・仏)や時間逆転レイプ映画「アレックス」(IRREVERSIBLE・2002・仏)に出ていたらしい。

 監督は、脚本も書いたアレクサンドラ・アジャ。どんでん返しが良かったのか、このあとハリウッドでホラーを撮っており、3本が進行中とはビックリ。本作は長編としては2本目にあたり、長編の脚本としては3本目だそうで、スピード出世ということのようだ。

 公開5日目のレイト・ショー、前売りはなく1,300円の当日券のみという上映。新宿の劇場は、遅れて15分前くらいに着いたら、15人くらいの行列。これはマズイ。混まなければいいが、混むとこの劇場はスクリーンがちゃんと見える席が少ない……。

 暑い日だったが、例によってここは冷房も効かず風通しの悪い階段室に並ばなければならない。しかも予定では入場は5分前になっている。うーん。10分前くらいから続々と増えてきて、50人以上に。ほとんどは20代〜30代前半くらいの若い人たち。特に大学生くらいが多い感じ。珍しい。最初、女性は2〜3人しかいなかったが、ギリギリで増えだして、1/3くらいに。明らかに小学生とわかる子供を2人連れた父親がいたが、本作はR-15なので中学生以下は入場できないはず。ということは、昼間やっている「花田少年史」と間違って入ってきたのか。それにして、レイト・ショーは終わるとほぼ22時。こういう上映に小学生を連れてくる親はどうなんだろう。結局、入場したかどうかはわからなかった。

 予定時間を5分ほど遅れて入場。5分で全員を入場させるのは無理がある。座席を確保したらすぐトイレに行っても、ギリギリ。しかもカーテンが開くと予告なしのいきなり上映。酷いなあ。

 最終的に272席に4割くらいの入り。ここの劇場はこんなに入るとスクリーンが見づらく辛い。


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