Miami Vice


2006年9月3日(日)「マイアミ・バイス」

MIAMI VICE・2006・独/米・2時間12分(IMDbで米版は134分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、菊地浩司/シネスコ・サイズ(Super 35、Sony HDW-F900)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定)

http://www.miami-vice.jp/
(入ったら音に注意。全国劇場案内もあり)


アメリカ、フロリダ州マイアミ。風俗課(バイス)の2人の刑事、ソニー・クロケット(コリン・ファレル)とリカルド・タブス(ジェイミー・フォックス)は、2人がFBIに送り込んだ情報屋が死んだことから、FBIに抗議するが、FBI職員も3人が殉職しており、合同捜査本部のどこかから情報が漏れているらしかった。そこでFBIの担当捜査官フジマ(キアラン・ハインズ)は、合同捜査本部と関係ない、面の割れていない2人に潜入捜査するよう依頼するが……。

73点

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 長い。悪くはないが、長すぎてテンポが悪く、中だるみする。ラストの銃撃戦などさすがマイケル・マンと思わせる迫力とリアルさだが、それまでがなあ……。ラストのラストは犯罪だし……。

 全体として、暗く、ラブ・ストーリーにまとめられているため、オリジナルのTVで面白かったクロケットとタブスの友情はほとんど描かれていない。それぞれの2組の愛があり、その愛を壊してしまいかねないほどの危険で過酷な潜入捜査というものがある。そこに焦点が置かれている。それが良かったのか。

 刑事2人のコントラストもあまりない。どちらも熱血の潜入捜査官。オリジナルのTV版では、クロケットが地元の洒落男で、ファッションもラフな着こなしが身上。一方タブスはニューヨークから来たインテリで、いつもスーツをビシッと決めているという具合。それもなし。2人とも似たようなファッションで、似たような環境、暮らし。ラブ・シーンがシャワー・ルームというところまで似ている。役者の力関係とかあったんだろうかと、つい勘ぐってしまう。

 銃撃シーンは素晴らしい。リアルで派手。銃声は銃ごとに違うし、実に生々しい。しかも、銃を人質に突きつけている悪党に少しもひるまず、G36Cでピタリと顔に狙いをつける女性捜査官ジーナ(エリザセベス・ロドリゲスが好演)がすばらしい。人質の首にかけた爆弾のスイッチを持った男が、銃を下ろさないと女を殺すと言うと、その前に823m/秒で弾丸をぶちこんでやると応えるのだ。そしてそれに応じて男が何か言い出した途端「ダン」と1発を顔に撃ち込む。このリアルさ。

 実際、鼻またのその下を撃つと、脳幹(脳と脊髄をつなぐ、いわば脳の出入口)を撃ち抜くことができるので、瞬時に犯人を無力化できるのだ。仮にスイッチを押せという命令が脳から出ても、それを脳幹で立ちきることができる。眉間を撃ったりすると、分厚い頭蓋骨に守られてい弾丸が反れる可能性がある上に、脳から命令が出てしまうと、弾が当たって脳を破壊してもスイッチを押されてしまう。うーむ、すごい。怖い。

 銃は定番のMP5から、G36C、M4A1、ベネリM3、G3、MP7、SG552……などのほか、狙撃銃として50口径のバレットM82A1オートマチック・ライフルも登場する。車の中にいる標的を、フロント・ガラスを突き破り、頭を貫通し、ヘッドレストに大穴を開けたりする。腕に当たれれば、腕が飛ぶ。怖い。凄い迫力。

 主要キャストは全員、銃器の扱い方の訓練を受けたのだろう。ガード・ポジションで銃口を下げて移動するところなど、実に決まっている。必要がない時はトリガーに指を掛けず、ピンと延ばしていて完璧。カッコいい。確かに訓練を受けたプロっぽい。

 公開2日目の3回目、25分前に着いたらロビーに60〜70人ーの行列ができていた。ほとんどが大学生くらいで、男女比は半々くらい。中高年は1割くらいしかいない。オリジナルTV版のイメージが強くて違和感を感じるからかもしれない。外人さんもぼつぼつと目立つ。

 15分前、入場になって、場内へ。12×4列のカバーの席があってそこは指定。最終的には1,044席の8割くらいが埋まった。すばらしい。出足は良いようだ。指定席にも6人ほど。久々に新宿のタイガーマスク(派手なカッコで新聞配達しているオジサン)を見た。例によって前の方で、あの派手な格好で見ていた。でも入ってくる時ラジカセをがんがん掛けるのはやめたようだ。

 カーテンが開いて、予告は大ヒット中という「花田少年史」、「NANA2」、「7月24日通りのクリスマス」、市原隼人が出る岩井俊二監督の「紅の女神」、「涙そうそう」、沢尻エリカの「シュガー&スパイス」、なんとなくダークな「スパイダーマン3」の新バージョン、ハリウッド版「海猿」のような「守護神」、ドラゴン・ライダーのファンタジー「エラゴン」。そしてシネイコ・サイズになってから、「ワールド・トレード・センター」というところ。


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