X-MEN


2006年9月9日(土)「X-MENファイナル ディシジョン」

X-MEN: THE LAST STAND・2006・米/英・1時間45分(IMDbでは104分)

日本語字幕:手書き風書体下、林 完治/シネスコ・サイズ(with Panavision、Super 35、一部レンズ)/ドルビーデジタル、dts(IMDbではSDDSも)

(米PG-13指定)(日本語吹替版もあり)

http://movies.foxjapan.com/x-menfinal/
(音に注意。全国劇場案内もあり)


10年前、自分の息子ウォーレン(ベン・フォスター)がミュータントだと知ったワージトン(マイケル・マーフィ)は、ミュータントを普通の人間に戻す研究をスタートする。そして遠くない未来、「キュア」と呼ばれる治療薬が完成した。それはリーチという少年(キャメロン・ブライト)の特殊能力を利用して作られたもので、注射によってDNAに直接作用して普通の人間に戻してしまうのだった。政府はこれによってミュータントを倒す武器を開発する。これを脅威ととらえたマグニートは、ミスティークを送り込んでキュアの謎を解こうとする。

86点

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 うわあ、面白い。いかにも映画らしくスケールが大きく、ファンタジーで、見たこともないような不思議な映像、ミュータントの技が満載。1時間45分の間、まったくの別世界が体験できる。すごいなあ。濃密で2時間くらいあったような印象だが、実際には1時間45分しかない。

 監督が前2作のブライアン・シンガー(「ユージュアル・サスペクツ」)から、「ラッシュアワー」(Rush Hour・1998・米)シリーズのブレット・ラトナーに交代したにも関わらず、ブライアン・シンガーっぽい作りになっていて、かつプラス・アルファがあること。世界観を損なわず、というかそのまま利用して、前2編で語り尽くせなかったことを語り、破綻せずにきちんとまとめてみせてくれる。ブライアン・シンガー監督へのリスペクトが感じられるのがまた素晴らしい。

 本作でも、ミュータントという異質なものを排除しようとする人間(一般人)の不寛容、そして差別が重要なテーマとなっている。ミュータントをそのまま人種とかハンディキャップのある人とかと置き換えることが可能だ。だから単なる夢物語に終わっていない。

 未来戦争部分は、「ターミネーター」(The Terminator・1984・米)の未来戦争ソックリ。ブレット・ラトナー監督は当時15歳。夢中になって見ていたのではないだろうか。プラスチックの銃というのはおもしろかった。

 今回新たに登場するミュータントのジャガーノートという名は、英語の「止めることができない巨大な力」という意味だそうで、もともとはヒンドゥー語のジャガナートらしい。同名の映画で船を爆破するというパニック映画、「ジャガーノート」(Juggernaut・1974・英)があった。そういう意味だったのか……知らなかった。演じていたのは、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(Lock, Stock & Two Smoking Barrels・1998・英)の強面ギャング、ヴィニー・ジョーンズ。本作も怖い。

 その怪人と対決する壁抜け少女キティは、「ハードキャンディ」(Hard Candy・2005・米)で恐ろしい復讐少女を演じていたエレン・ペイジ。こちらの方が幼くかわいく見える。19歳とは言え、さすが女優。

 ちょっと気になったのは、ローグ役のアンナ・パキンがスクリーンでは太めに見えること。6年前の「1」の時は18歳だからか、きゃしゃな印象だったのに。

 ミスティを演じたレベッカ・ローミンは、今回キュアによって普通人にもどってしまうが、髪を黒髪にしていたので、なんだか余計に普通の印象。ミステークの時はあんなに色っぽいのに。

 今回、主要メンバーのウルバリンのヒュー・ジャックマンやストームのハル・ベリーらの髪形が少し変わって、なんだかカッコ良くなった。特殊メイクのコンサルタントが、新たに大御所リック・ベイカーになっているので、そのおかげかも。

 監督のブレット・ラトナーは、本作の前に日本でも人気のTV番組「プリズン・ブレイク」(Prison Break・2005・米)の第1話、パイロット版を監督している。なるほど、次が見たくなるのはそのせいか。現在「ラッシュ・アワー3」を撮影中で、プロデュース作品も含めて関わっている作品は6本という売れっ子。すごい。

 上映中に映写室の灯が点き、それが客席にもれてきて気になった。止めて欲しいなあ。

 また、1個所だけだが、コピー防止のドットが見えて、ちょっと興ざめ。

 ラスト、オンド・ロールのあとにも重要な短いカットがあるので、終わったと思ってすぐに席を立たない方がいい。これは、映画の冒頭でエグゼビアが生徒たちに教えていることと関係がある。そして、話は完結していながら、続編も作れるようにして終わるのだ。ちょっとズルイかも。でも、うまい。

 公開初日の初回、銀座の劇場は70分前で40〜50人の行列。ただし「ユナイテッド93」も同じ窓口で、「X-MEN3」の今日の他の回の座席予約も同じ窓口なので、初回の人数は不明。ほとんど中高年だったから「ユナイテッド93」が多かったのかも。

 暑い日だったが、ありがたいことに60分前に開場になって、場内へ。さすがにまだ冷房があまり効いていなかったが、炎天下にいるよりはましというもの。初回のみ全席自由で、17席×2列のカバーの席もOK。最初は20人くらい。

 30分前くらいで、654席の3割ほどの入り。冷房が効いてきた。老若比は6対4くらいで、ちょっと中高年が多い感じ。下は小学生くらいからいた。吹替版の方につれて行ってあげればいいのに。男女比は6対4で男性が多かった。最終的には5.5割ほどの入り。うーん、いい映画なのに思ったほど入っていないなあ。

 15分前くらいに関係者らしい一団が。10人も必要ないと思うけどなあ。2人で充分。ケータイのキー確認音をオンにしているやつがまだいたとは。うるさい。比常識だなあ。

 予告編はややピン甘。邦画はあまり印象に残るものはなかったが、「ザ・センチネル」はシークレット・サービスの話で面白そう。日本受けしない人だがベン・スティーラーの特撮コメディ「ナイトミュージアム」が早くも予告。とにかくSFXがすごい。上下マスクの「プラダを着た悪魔」は、ヒロインのアン・ハサウェイはいまひとつピンとこなかったが、意地悪の女鬼編集長メリル・ストリープが怖い。久々のブライアン・デ・バルマ監督作品「ブラック・ダリア」は上下マスクで長めの予告。見たい。


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