White Noise


2006年9月16日(土)「サイレントノイズ」

WHITE NOISE・2005・加/英/米・1時間41分

日本語字幕:手書き書体下、林 完治/シネイコ・サイズ(マスク、by Panavision)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)(一部イブニング・ショー公開)

http://www.silentnoise-movie.com/
(全国劇場案内もあり)


ジョナサン・リバース(マイケル・キートン)は事故で妻アンナ(チャンドラ・ウエスト)が行方不明になってしまう。3週間後、正体不明の男レイモンド・プライス(イアン・マクニース)が現われ、奥さんは亡くなっておりあの世から奥さんのメッセージを受け取ったと告げる。そして翌日、妻の遺体が発見される。半年後、ジョナサンの携帯にアンナからの着信が入る。しかし妻の携帯は机の引き出しに入れたままだった。ジョナサンはレイモンドの許を訪ねる決心をする。

74点

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 面白くて物語にグイグイ引き込まれる。そして怖い。雰囲気としてはケヴィン・コスナーの「コーリング」(Dragonfly・2002・米)に似ている。妻に死なれ、怪現象が起こる。夫は必死にその謎を解き、ある真実にたどりつく。ショッキングな映画だ。

 ただIMDbではわずか5.3点。これは、アメリカ人好みのエンディングではないことが大きく影響しているのではないだろうか。監督はイギリス人だ。それに今ひとつ亡くなった妻の意図がわからない。自分が死んだ真相を明かそうとせず、人助けのようなことばかりやってしまう。映画の構成としては面白いが、冷静に考えてみるとおかしい。振りとして、生前、妻が人助けに人生を捧げていたとかならわかる。もしくは事件にかかわってくる人に、過去とても世話になっていたとか。その意味では「コーリング」の方が上だ。

 キーとなるのは超常現象の用語で、EVPというもの。エレクトロニック・ヴォイス・フェノメナ(電磁音声伝達現象)の略。ビデオやラジカセに存在しないはずの声が記録されるというもの。カセット・テープとかが出たてのころに、夜寝る前にレコーダーを録音にして寝て、朝そのテープを再生すると変な音が録音されているというのが流行ったが、あれと同じものだろう。冥界からの霊のメッセージだとこの映画ではいう。そして、その声はメッセージを伝えたい霊のものばかりではなく、1/12は悪霊だという。その悪霊のメッセージを受信してしまうと……。それらしき3人の人影の正体が気になった。

 久々にスクリーンで見たマイケル・キートンは、最近ではピクサー・アニメの「カーズ」(Cars・2006・米)のレース・カーのチックの声をやっていたが、出演で日本で公開されたものは……アンディ・ガルシアが共演した「絶対×絶命」(Desperate Measures・1998・米)か。「ハービー/機械じかけのキューピッド」(Herbie: Fully Loaded・2005・米)とか他にもあった気はするが、単館公開とか、マイナーな劇場での公開で……。もちろん毎年1作くらいは出ているのだが、いかんせん日本公開がない。作品に恵まれないようで。

 一緒に事件を解決しようとするEVPを信じる書店店主の女性サラを、「クラッシュ」(Crash・1996・加)や「ゲーム」(The Game・1997・米)で強烈な印象を残したデボラ・カーラ・アンガー。最近では「サイレントヒル」(Silent Hill・2006・米日ほか)でほとんど顔がわからない怪女を演じていた。

 美人の奥さんを演じていたのは、チャンドラ・ウェスト。TVでの活躍が多く、映画の出演作はほとんど日本で公開されていない。今後に期待か。

 最初にEVPに気付いた太った男レイモンド・プライスを演じたのは、イギリス生まれのイアン・マクニース。最近ではジャッキー・チェンの「80デイズ」(Around the WEorld in 80 days・2004・米)や「オリバー・ツイスト」(Oliver Twist・2005・英チェコほか)などに出ていた。

 監督はジェフリー・サックスという人。ほとんどTVの仕事をしてきた人で、本作が劇場長編映画デビューなのだとか。

 ちなみにホワイト・ノイズというのはすべての周波数で同じエネルギーをもつ雑音。一説にはテレビの何も放送していないチャンネルで流れている雑音だとか。一方ピンク・ノイズはオクターブごとのエネルギーが同じ雑音。

 公開初日の初回、新宿の劇場はイブニング・ショーで夕方からの公開。30分前に着いたら2〜3人が待っていた。まもなく開場となって、指定席なしの場内へ。床に傾斜がないので、だいたいどの席でも前席の人の頭が少しジャマになるが、あまり混みそうもないのでひと安心。

 開場してまもなくで12人。高校生くらいが4人、母娘が1組、ほかに若い女性が2人、あと中高年男性。関係者らしき人は3人ほどいたが、上映直前には場内の後ろに10人くらい立っていた。多いなあ。

 最終的には330席に50人くらい。老若比は4対6で若い人が多く、女性は1/3くらいか。

 予告はなしで、いきなり上映。それはいいとしても、マイクのボリュームを上げたままプラグを抜き差しするような「ガツン、ガツン」という大きなノイズは止めて欲しい。プロなんだから……設備が古すぎるのだろうか。


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