The Lake House


2006年9月23日(土)「イルマーレ」

THE LAKE HOUSE・2006・米・1時間38分(IMDbでは米版105分)

日本語字幕:手書き風書体下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク、by Panevision、Super 35)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG指定)

http://wwws.warnerbros.co.jp/thelakehouse/
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2006年、湖畔に建つ家から引っ越しすることにした女医のケイト・フォレスター(サンドラ・ブロック)は、次の住人となる人に宛てて自分宛の郵便物が来たら転送して欲しいという手紙を書き、郵便受けに残す。2004年、同じ湖畔の家に引っ越してきた建築家のアレックス・ワイラー(キアヌ・リーブス)は、郵便受けに2006年の日付がある手紙を発見する。信じられないアレックスが返事を郵便受けに入れると、返事が返ってきた。2004年は4月に雪が降ると。アレックスは手紙を信じ、奇妙な文通が始まり、二人は恋に落ちるが……。

73点

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 なかなか良くできたラブ・ストーリー。ちょっとジーンと来た。ただ、1時間38分という短めの時間で、2人のそれぞれの人生も描きながら、2人の恋に落ちる様子を描いていくのは無理があったようだ。2人が相思相愛になる過程というか描き方が不十分で、ラストのショッキングな展開とエンディングの感動が薄い。ただアメリカ公開版は1時間45分らしいので、それなりの説得力はあったのかもしれない。

 韓国映画「イルマーレ」(Il Mare・2001)のリメイクだそうで、これはオリジナルも見てみたくなった。オリジナル韓国版は1時間37分だが……ヒロインは「猟奇的な彼女」(My Sassy Girl・2001・韓)のチョン・ジヒョンなので、期待できるかも。ハリウッド版はほぼ韓国版のとおりに作っているらしい。

 ただ、どうして郵便受けだけが時間を越えてつながっているのかとか、なぜその中に入れたものが受け渡されるのか、と気になった人には楽しめないだろう。ファンタジーを受け入れられるかどうかで、評価は変わってくるはず。ボクはまったく気にならなかったが……犬だけが両方の世界を生きていて、物語の狂言回し的存在になっているのが面白い。

 劇中、テレビでやっている映画はケーリー・グラントとイングリッド・バーグマンが出演したヒッチコックの「汚名」(Notrious・1946・米)か。もしそうなら、なぜ使ったのだろう。スパイとして派遣される女とFBI捜査官の恋を描いたこの映画、単に監督が好きだったとか……。

 主演のキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックは大ヒット作「スピード」(Speed・1994・米)以来12年ぶりの共演。すでにふたりともビッグになってしまった。共に1964年生まれの42歳だが、ラブ・ストーリーは全く問題なし。まだまだイケる。

 建築家の気難しい父親を演じていたのは、「サウンド・オブ・ミュージック」(The Sound of Music・1965・米)お父さん、フォン・トラップ大佐を演じたクリストファー・プラマー。御歳77歳にして、まだまだ現役。実にたくさんの作品で出演している。また味のある演技。素晴らしい。

 印象に残った人では、キアヌに惚れているらしい建設会社の女性、たぶんモナ役はリン・コリンズという人。アルパチーノが主演した「ヴェニスの商人」(The Merchant of Venice・2004・米伊ほか)で聡明な美女ポーシャを演じていた。どうりできれいなわけだ。いい演技をしていたのに、本作ではこんな小さな役とは

 監督は、アルゼンチン生まれのアレハンドロ・アグレスティ。日本公開作品は数本しかないようだが、1978年くらいから映画を撮り続けているらしい。本作は違うが、脚本も書き、撮影監督までやるようだ。ハリウッド・デビューは「Un Mundo menos peor」(2004・アルゼンチン)という映画が高く評価されたということらしい。

 たぶん韓国版に敬意を表してということなのだろうが、劇中、2人が待ち合わせをするレストランの名前が「イルマーレ」となっている。イルマーレとはイタリア語で「海」の意味なんだとか。韓国版ではふたりが別々の時代に暮らす家が海辺に建っているらしい。まあ「イルマーレ」の言葉が出てくるので、日本語タイトルにしたとも言えるのかもしれないが……。

 タイトル・バックの手紙と、文字が溶けていくような見せ方は秀逸。デザインはクレジットではASYLUMと出たと思うのだが、IMDbではトニー・マイスターとなっている。たぶん所属しているのがASYLUM(ビジュアル・エフェクトの会社)なのだろう。トニー・マイスターは他にもASYLUMで、「オペラ座の怪人」(The Phantom of the Opera・2004・米英)のタイトルや「ナショナル・トレジャー」(National Treasure・2004・米)のタイトルを手がけているらしい。とにかく雰囲気があって、うまい。

 途中ちょっとコピー防止のドットが気になった。

 公開初日の初回、新宿の劇場は45分前に着いたらオヤジが1人。40分前になってオヤジが4人くらいになって、あれ、こういう映画なのかなあと思っていたら、30分前には男女半々の15人くらいに。しかし多くは中年層。まもなく会場となって、1,064席のうちペア・シート以外は全席自由。この時点で20人くらい。

 次第に若い女性も増え、最終的には若い女性は1〜2割くらいに。高齢者もちょっと増えた。しかし、3割くらいの入りはあまりにも少ないのでは。メインは「スピード」を劇場で12年前に楽しんだ人たちか。

 カーテンが上にあがって予告が始まった。気になったのは、新しいバージョンになった上下マスクの「16ブロック」、同じく上下マスクでマーチン・スコセッシの新作「ディパーテッド」は「インファナル・アフェア」のリメイク? そして同じく上下マスクでクリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」。映像が持つ力強さを感じさせる予告編で、新バージョン。セリフなどほとんど無いのに、これだけでも感動的。2本とも本当に期待してしまう。「007カジノ・ロワイヤル」も「レディ・イン・ザ・ウォーター」もそれぞれ新バージョンに。「レディ……」は具体的になってきたら、ちょっと……。




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