Birth


2006年9月24日(日)「記憶の棘」

BIRTH・2004・米・1時間40分

日本語字幕:手書き書体下、松浦美奈/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定)

http://www.kiokunotoge.jp/
(画面極大化。入ったら音に注意。劇場案内もあり)


10年前に愛する夫ショーンを失ったアナ(ニコール・キッドマン)は、やっと夫のことを忘れ、ジョゼフ(ダニー・ヒューストン)と再婚する決心をした。しかし婚約発表の数日後、10歳の少年(キャメロン・ブライト)が現われて「ボクはショーン、君の夫だ」と言う。最初は冗談だと思い相手になしなかったアナだが、次々と夫しか知らないことを言い出し、次第に心が乱れていく。

72点

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 なぜ2004年の映画が今ころ? IMDbでは6.0点と微妙なセン。一旦、裏があるように見せておいて、それを最後にひっくり返すというのは面白いが、結局これでは何も変わらなかったというか、何も起きなかったのと同じような結末で、なんだか物足りない。

 そして監督がイギリス人だからだろうか、独特のリズムと演出手法という感じがする。スチルかと思うような異常に長いアップ・カットとか、前半、話は暗いのに軽めの音楽で、後半、愛の話になってくると不協和音のような、心臓の鼓動のような、不安にする音や音楽を使うのは、意図してのことだろうが、理解しにくいというかしっくりこない。

 ショート・カットにしたニコール・キッドマンは、いかにもセレブのお嬢様といった感じで上品で美しい。最近「ウルトラヴァイオレット」(Ultraviolet・2006・米)とか「X-MENファイナル・ディシジョン」(X-Men: The Last Staand・2006・米)とか、よく見かけるのキャメロン・ブライトは、いかにも謎めいていて良い。上流家庭の微妙に嫌な雰囲気の空気感もよく出ている気がするし、ミステリーっぽい怪しさもいい。なのに、なんでこうなるのか。

 家族をまとめる母親には、名女優にして、ハンフリー・ボガートの元夫人ローレン・バコール。1924年生まれだから82歳の高齢。映画撮影時は80歳か。往年の面影こそ無いが、凄く元気そう。「脱出」(To Have and To Have not・1944・米 )、「三つ数えろ」(The Big Sleep・1946・米)、「キーラーゴ」(Key Largo・1948・米)など、初期の作品が良い。

 キッドマンの姉の夫を演じていたのはアーリス・ハワード。「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」(The Lost World: Jurassic Park・1997・米)で金もうけしか考えない経営者を演じていた人。お婿さんっぽい感じでなかなか良かった。ちなみに奥さんはロザンナ・アークエット監督で映画にもなった「デブラ・ウィンガーを探して」(Searching For Debra Winger・2002・米)のデブラ・ウィンガー。

 その「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」でアーリス・ハワードと共演していたピーター・ストーメアは、最近では「コンスタンティン」(Constantine・2005・米独)の悪魔など、アクの強い悪い役が多い人だが、本作では妻の浮気を知らないお人好しの夫を演じている。ミスリーディングのためなんだろうか。

 逆に落ち着いた感じで良かったのは、アン・ヘッシュ。貫録が出てきたというのか、以前の浮ついたようなというか軽い感じが無くなって、演技派の女優っぽくなってきた。10年前とは言え「ボルケーノ」(Volcano・1997・米)とか「6デイズ/7ナイツ」(Six Days Seven Nights・1998・米)は良くなかったもんなあ。やせ過ぎてたんだろうか。

 監督はイギリス生まれのジョナサン・グレイザー。ミュージック・ビデオとCMでは数々の賞を受賞し、大変な記録を残しているらしい。しかし劇場作品は日本公開されておらず、ビデオ作品のほうが多い。

 公開2日目の初回、銀座の劇場はとりあえず当日券との引き換えが必要ということで、50分前くらいに着いた。劇場が地下だと聞きガックリ。最悪だ。窓口は開いていたが、まだ開場しておらず、20分前に会場予定だというので、コーヒーを買いに行って30分前にもどったらすでに会場済み。なんだこれ。

 全席自由だが、どの席に座っても前に席の人の頭がジャマになってスクリーン下(特に字幕が出るあたり)が見えない劇場なので、とにかく席を確保したら前に人が座らないように祈るしかない。また中央に座ると人の間から見るということができないので、端に寄った方がいい。内装工事をしたのなら、せめて座席を千鳥配列にしてくれればいいのに。ストレスがたまるわ。座高の高いヤツに限って真ん中に座るし。

 最初は10人くらいだったが、トイレに行って来たら20人くらいに増えていた。男女比は半々くらいで、若い人は4〜5人。あとは中高年。最終的には192席に6割ほどの入り。斜め前にでかい人が座ったおかげで、前の席には誰も座らなかった。助かった……。

 スクリーンは最初からあいていて、初回のみ予告編なしでの上映。あ〜ら、ガッスリ。


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