Lady in the Water


2006年9月30日(土)「レディ・イン・ザ・ウォーター」

LADE IN THE WATER・2006・米・1時間50分

日本語字幕:手書き書体下、古田由紀子/ビスタ・サイズ(OTTO)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

http://wwws.warnerbros.co.jp/ladyinthewater/
(音に注意)


アパートの雇われ管理人クリーブランド・ヒープ(ポール・ジアマッティ)は、ある日アパートのブールで時間外に泳いでいる怪しい人物を捕まえる。それは女性で、自らをストーリー(ブライス・ダラス・ハワード)と名乗り、ブルー・ワールドから来たナーフだと言う。おとぎ話に詳しい住人から、ナーフが水の精であることを知り、やがて彼女が本物だと信じるようになる。彼女はある“物書き(ライター)”に会って、そして再びブルー・ワールドへ帰らなければならないという。クリーブランドはその手助けをすることにする。

71点

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 子供向けの、というか大人向けではないおとぎ話を、大人向きに作った映画という感じ。そのためところどころに違和感が漂う。これだったらむしろ完全に子供向きにして、アニメで作った方が良かったのではないだろうか。

 ホラー風に撮っているところはかなり怖く、絵はカッコいいがあまり子供におすすめはできない。ただ、この映画の中で人が死ぬのは1人だけで、それも映画評論家という設定の男だけ。たぶん脚本も書いた監督のシャマランにとって、「シックス・センス」(The Sixth Sense・1999・米)以降ヒットがなく、厳しい評価ばかりを浴びせてきた映画評論とはそういう存在だった、とみるのは深読みし過ぎだろうか。ファンタジーの中でただひとり斬殺される映画評論家の男。しかも結構嫌らしい男として描かれている。

 シリアスでホラーチックに撮っている(演技、演出)のに、物語はかなりご都合主義のファンタジー。「シックス・センス」以外のシャマラン映画とほとんど同じ。モンスターも似ているし、出現の仕方も似ている。そして思わせぶりを続けてあっけなく終わる感じも同じ。ストーリーがわざわざ人間界にやって来る動機というか、目的が弱すぎる気がするし、ただ会うだけならもっと他に手があったのではないかという気がすごくする。これを観客に感じさせてはいけないのではないだろうか。他にもいっぱい気になるところがあるし……。

 シャマランと思わずに見ればそこそこのB級作品で、ビデオで良いかというセンかも。うーむ。たぶん役者もスター・クラスの有名な人が出ていないことから、最初からB級作品として作ったのかもしれない。ただ、映画会社はあの「シックス・センス」の鬼才がとか、巨匠がという広告展開をするだろうから、自然とハードルが高くなってしまうのかもしれない。

 監督は、今回かなり出演時間が増えたM.ナイト・シャマラン。実体験っぽい設定になっているが、ちょっと良すぎる役なのでは。世界に影響を与える……なんて。

 主演の管理人には、「シンデレラマン」(Cinderella Man・2005・米)、「ペイチェック消された記憶」(Paycheck・2003・米)や「PLANET OF THE APES猿の惑星」(Planet of the Apes・2001・米)、「交渉人」(The Negotiator・1998・米)などのバイプレーヤー、ポール・ジアマッティ。この後も新作が何本も控えている売れっ子だ。

 ナーフを演じたブライス・ダラス・ハワードは、シャマラン作品「ヴィレッジ」(The Villege・2004・米)に出ていた人。2007年公開予定の「スパイダーマン3」にも出ているらしい。本作では(というか「ヴィレッジ」でもそうだが)ほとんどスッピン状態。アカデミー賞などの解きの写真を見るとまるで別人だ。そういう意味では、女優はすべてをさらけ出さなければならない仕事で、過酷だなあとも思うが、スターになればギャラも大きいし、それくらい当然か。

 唯一斬殺される映画評論家を演じているのは、ボブ・バラバン。ジム・キャリーの感動映画「マジェスティック」(The Majestic・2001・米)や、ブラピとジュリア・ロバーツが共演したラブ・アクション「ザ・メキシカン」(The Mexican・2001・米/メキシコ)、古くは「2010年」(2010・1984・)などに出ていた人。1965年くらいから活躍しているらしい。ベテランだ。

 クロスワードの名人は、ジェフリー・ライト。南北戦争を描いた傑作「楽園をください」(Ride with the Devil・1999・米)や、「シャフト」(Shaft・2000・米)、最近では「シリアナ」(Syriana・2005・米)に出ていた。

 公開初日の初回、40分前に着いたら新宿の劇場は10人のほどの列。10代くらいの若い女性が2人、20代くらいの男性が2人、あとは中高年のオヤジ。35分前くらいに会場になった時は、15人くらいになっていた。ちょっと少ないなあ。でも「イルマーレ」は1つ下の劇場に移されてしまっていたけど。はたして、どっちかが長く残るのやら。

 ペア・シート以外は全席自由で、下は中学生くらいから、上は老人まで。最終的には若い人が増えて、老若比は半々くらいに。女性は2割くらい。1,064席の3割くらいが埋まった。

 明るいままカーテンが上にあがり予告編が始まったが、気になったのは……「16プロック」はだんだん内容がわかってきた。面白そう。上下マスクで「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」は、とにかく感動的。同じく上下マスクの「インファナル・アフェア」のハリウッド・リメイク版「ディパーテッド」はすごいキャストにびっくり、というところか。


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