World Trade Center


2006年10月15日(日)「ワールド・トレード・センター」

WORLD TRADE CENTER・2004・米・2時間09分

日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/ビスタ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー、dts(IMDbではSDDSも)

(米PG-13指定)

http://www.wtc-movie.jp/
(入ったら音に注意。画面極大化)


2001年9月11日、ニューヨーク港湾警察(PAPD)のジョン・マクローリー巡査部長(ニコラス・ケイジ)は、世界貿易センターに旅客機が激突した現場へ急行し、プロ用の酸素マスクが使える者の中からヒメノ(マイケル・ペーニャ)、ドミニク(ジェイ・ヘルナンデス)、アントニオ(マルマンド・リスコ)、クリス(ジョン・バーンサル)ら4人の志願者を募ってビル内に残っている人々の救出に向かった。しかし、入って間もなくするとビルの倒壊が始まり、全員が瓦礫に飲み込まれる……。

74点

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 テロリストや事件の内容には触れず、テロが引き起こした悲劇と惨状、そして救出に向かった人々の二次災害にスポットを当て、実話に基づいたその救出劇を克明に追った感動作。あやうく涙が流れそうに……。

 未曾有の大惨事にあって、人々がいかに支えあい、協力しあってそれを乗り越えようとしたのか。もちろんテロを許すことはできないが、人々は力を合わせればこれだけのことができるという前向きな面をとらえたところが、アメリカらしい。

 現場でも、家族たちも、被害者同士も、人が人を支える。これは日本でも地震や鉄道事故、水害などで実際にあったこと。そして愛する家族がいるということがどれだけ支えになっていることか。

 ただ、話がほとんど生き埋めになった2人に集中しており、しかも開巻早々、二人は埋められてしまい、そこから動けなくなる。家族を映したり、思いでのシーンを挟んだりするものの、ずっと動けないのは映画としてややつらい。途中ちょっと気を失いそうになってしまった。

 事件の経過なども描かれていないので、肩透かしを喰らった感じもある。一部ビルから転落する人も描かれていたが、極力そういう場面は描かないようにされているようだった。アメリカではまだ生々し過ぎて、描けないのではないだろうか。物理的に破壊された建物の惨状は描かれているのだが……。そういう意味では日本のTVの特集のほうが過激だったかもしれない。

 サージことジョン・マクローリー巡査部長を演じたニコラス・ケイジは、アクションものの「ナショナル・トレジャー」(National Treasure・2004・米)や武器商人を描いた「ロード・オブ・ウォー」(Lord of War・2005・米)以来という感じ。公開が控えている作品は、驚いたことに8本もある。売れっ子だなあ。

 部下を演じたマイケル・ペーニャは、感動作「クラッシュ」(Crash・2004・米/独)で、怯えてベッドの下で眠る5歳の娘に、見えない防弾マントをあげる優しい父親を演じていた人。「ミリオン・ダラー・ベイビー」(Million Dollar Baby・2004・米)では、いつも文句ばっかり言っているボクサーではなかったか。いい味を出している。

 ジョンの奥さんは、「アサルト13 要塞警察」(Assault on Precinct 13・2005・米/仏)や「ヒストリー・オブ・バイオレンス」(A History of Violence・2005・独/米)でしっかりした存在感を醸し出していたマリア・ベロ。実際に9.11では病院で救助活動をしたいという。素晴らしい演技。今後も注目だろう。

 ヒメノの奥さんを演じたのは、マギー・ギレンホール。「遠い空の向こうへ」(October Sky・1999・米)のジェイク・ギレンホールのお姉さん。不思議なSFミステリー「ドニー・ダーコ」(Donnie Darko・2001・米)で姉弟共演を果たしている。確かジェームズ・スペイダーと共演したエロティックな「セクレタリー」(Secretary・2002・米)で飼育される秘書を演じていたのが彼女。それとは全く違う印象で、女優さんなんだなあと。

 署のちょっと偉い人で、人気TVシリーズ「24」で、ずっと大統領補佐官を演じている白髪のジュード・シッコレーラが出ているし、シーズンIVで登場したCTUの現場捜査官カーティスを演じていたロジャー・R・クロスもちらりと出ていた。

 PAPDが装備している銃はどうやらS&Wのオートマチック。火災による熱で弾薬が暴発するところが怖い。チャンバー内の弾薬は危険だ。マガジン内ならそれほどの威力はないと思うが、それでも至近距離にいれば危険。災害時は思わぬ二次被害が発生する。

 監督は最近、社会派と呼ばれるオリバー・ストーン。前作の「アレキサンダー」(Alexander・2004・米)は退屈だったし、「エニイ・ギブン・サンデー」(Any Given Sunday・1999・米)はいまひとつピンとこなかった。「ニクソン」(Nixon・1995・米)「JFK」(JFK・1991・米)はそこそこ面白かったという感じで、「プラトーン」(Platoon・1986・米)がなかなかというところ。ボクが一番面白かった(衝撃を受けた)のは、「サルバドル/遥かなる日々」(Salvador・1986・米)。ボクには社会派というより戦いを描いてきた人の様な気がするけど……。脚本なら「ミッドナイト・エキスプレス」(Midnight Express・1978・米)か。

 9日目の2回目、新宿の大劇場は55分前に着いたら、ロビーに誰もいなかった。45分前になって、若いカップルと中年のカップルがそれぞれ1組ずつ。

 ロビーは分煙になっていて、吸煙装置のついたテーブルが置いてあるものの、その近くで吸う人は少なく、煙が流れてくる。煙い。

 30分前に15人くらいに。老若比は2対1という感じで若者が多い。ちょっと意外。男女比は女性が男性の1/3くらいか。

 25分前になって列を作るよう案内があり、15分前に入れ替え。この時点で50人くらい。12席×4列にカバーが掛っており、指定席。最終的には1,044席に3.5割ほどの入りは少ない。男女比は5.5対4.5くらいで男のほうがやや多く、指定席には2人。指定席は高過ぎなんじゃない。プラス200〜500円ならもっと座る人が多いのでは。中央の良い席を空けたままなんてもったいない。

 予告では……「スパイダーマン3」はまだ先のようで、内容は良くわからない。ただ悪いスパイダーマンが出てきそう。上下にマスクがつき、トニー・スコット監督の「デジャヴ」は面白いかも。マイケル・ベイの(ちょっと監督に不安があるが)実写版らしい「トランスフォーマー」は、まだなんだかよくわからない。火星探査と、トランスフォームするタイトル文字くらいしかない。期待は持てそうだけど。


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