Death Note


2006年11月4日(土)「デスノート the Last name」

2006・集英社/ホリプロ/読売テレビ/バップ/KDE-J/松竹/日活・2時間20分

ビスタ・サイズ/ドルビー・デジタル



http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)


まんまと特別捜査班に入ったキラこと夜神 月(やがみらいと、藤原竜也)は、L(松山ケンイチ)とキラの捜査を始めるが、第二のキラが現われる。それはもう1人の死神レム(声:池畑慎之介)によってもう1冊のデス・ノートを手にしたアイドルの弥 海砂(あまねみさ、戸田恵梨香)だった。海砂は自分の寿命の半分と引き換えに、人の本名と寿命が見える死に神の目を手に入れ、月に協力を申し出る。しかしLの機転と策略により、海砂は逮捕され監禁・監視されることに。自分の正体がバレることを心配した月は一計を案じ、自ら監禁・監視されることを申し出る。

73点

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 すごい戦いが展開する。原作を読んでいないので、まったく予想の付かない展開。多少強引で、なんで?と思うところもあったものの、2時間20分の長丁場をまったくダレさせないで、最後まで一気に見せてしまうパワーはすばらしい。

 原作の良さ、脚本の良さ、演出の良さ、演技の良さ、3D-CGの良さなど、全ての要素が良い方に重なったのだろう。惜しいのは、映画としてはスケールが小さいかなという感じがすること。

 藤原竜也と松山ケンイチはもちろんいいが、今回拾い物だったのはアイドルの弥 海砂役の戸田恵梨香。監禁シーンの緊縛はその道の人にはたまらないのではないだろうか。ボクもドキッとしてしまった。こんな監禁の仕方ないよなあ。あり得ない。でもスゴイ。ありがとうございます。

 この人、アイドル役を演じている時はいかにもアイドルといった感じで、特にどうということはないのだが、デス・ノートを手に入れてからが良い。人が変わったように存在感が出てきて、力強く、演技は女優って感じ。悪魔との契約を解除しかわいいだけのアイドルにもどると、また普通になってしまうのだが。アイドルの感じも演技だとすると、大女優の予感。今後も注目だろう。ちょっとグリコのポッキーのCMに出ている新垣結衣ちゃんと似ている気がするのはボクだけか。

 死神の声はサラウンド効果がかけられていて、劇場全体に響くので誰の声かわかりにくいのだが、リュークは今話題の中村獅童。私生活はともかく、うまい。まったく違和感がない。ピッタリはまっている。しゃべり方や声の出し方も説得力がある。同様にレムの声を担当したピーターこと池畑慎之介もうまい。まったくピーターを感じさせない声。死神らしいし、微妙に優しさがある感じは絶妙。さすが黒澤役者(「乱」1985年)。

 意外だったのは、ニュース番組のアンカー役を上原さくらが演じていたこと。クイズ番組の回答者くらいでしか見かけなかったのが、堂々たる演技。若干大げさな感じがしないでもなかったが、短い中で嫌らしさが良く出ていた。

 ラスト、あの長い距離で刑事のニュー・ナンブかチーフで腕時計だけを撃ち落とすのはいかがなものか。手首とかを撃つならまだしも……。

 監督は、前編から引き続き金子修介。面白かったハリウッド製ホラーの「ネクロノミカン」(Necronomicon・1993・仏/米)や、大傑作「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995・日)の監督。さすがうまい。監禁シーンは日活時代のたまものか。

 2時間20分でまとめて見せた脚本は、大石哲也。TV版の「金田一少年の事件簿」や「世にも奇妙な物語」、TV版「着信アリ」などを手がけてきた人なので、推理的なものやホラー的なものはお手の物なのだろう。

 ただし、やっぱり原作があるものは、映画を見る前に読まない方が良い。漫画でも小説でも。限られた時間で作る映画は制約が多く、しかもプロデューサー、脚本家、監督、出演者などたくさんのフィルターを通るので、自分が想像したものとは違うものになることが多い。むかし「読んでから見るか、見てから読むか」という話題になったコピーがあるが、ボクは断然、見てから読むべきと思う。

 ちなみに、合成が多いからか、60iのHDTV撮影。カメラはソニーのHDW-F900(スター・ウォーズで使ったヤツ)らしい。

 公開初日は舞台あいさつがあるというのでパスして、2日目の初回、銀座の劇場は前日座席予約しておき、20分前に到着したらロビーが混雑していた。関連商品などを見ている人たちだった。15分前から案内を上映。

 下は小学校高学年くらいから、中高年まで。ファミリーが目立つ。20〜30代は少ない感じ男女比は半々くらい。3列あるレディース・シートは1/2くらい埋まっていた。最終的に全席指定の540席に7.5割ほどの入り。さすが話題作。原作者がナイフを持ち歩いていて逮捕されても、前編の撮影監督、高瀬比呂志が亡くなるなど不幸が続いても、ほとんど影響はなかったようだ。

 CM・予告は……一部の劇場で上映中止となった「チャーリー・ジェイド」というTVドラマのDVDが生まれるというインパルスを起用したバージョンの上映。どこがNGだったのかわからなかった。上下マスクの「蒼き狼」はいきなりチンギス・ハーンらしき反町が日本語で台詞を言うので、???。モンゴルの話じゃないの? 違和感たっぷり。どうなんだろ。「武士の一分」は内容がわかるバージョンになったが、どうにも方言が気になって、感情移入できなかった。3D-CGアニメのペンギンが登場して歌を歌う「パッピー・フィート」はなんだかそれだけで笑えた。往年の名曲を歌って、踊って……いいかも。特にスペイン語(?)でたぶんロビン・ウィリアムスが歌う「マイ・ウェイ」予告編は必見。声でヒュー・ジャックマンやニコール・キッドマンも参加しているらしい。イーストウッドの「硫黄島からの手紙」は絵が重厚で、それだけでも感動的。


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