A Scanner Darkly


2006年12月9日(土)「スキャナー・ダークリー」

A SCANNER DARKLY/2006・米・1時間40分

日本語字幕:手書き書体下、野口尊子/ビスタ・サイズ(DV、Panavision AG-DVX100)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米R指定、日R-15指定)

http://wwws.warnerbros.co.jp/ascannerdarkly/
(重くて遅い。音に注意。全国の劇場案内もあり)


今から7年後のアメリカ、“物質D”と呼ばれるドラッグがまん延し、潜入捜査官のボブ・アークター(キアヌー・リーブス)は、常習者のバリス(ロバート・ダウニーJr.)、ラックマン(ウディ・ハレルソン)と暮らし、売人のドナ(ウィノナ・ライダー)と恋人の関係になっていた。そんな時、捜査官が中毒になっていないか調べる検査が始まる。

69点

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 退屈な映画。途中何回も気を失ってしまった。ボクだけかと思いきや、後ろの席の男性は回りに聞こえるほどのいびきをかいていたし、あくびがあちこちから聞こえた。実写をCG処理してアニメにするというコンセプトとか、原作がSF作家のフィリップ・K・ディックだとか、面白くなる要素はちゃんとあるのに、なんでこんなになってしまうのか。

 原作はフィリップ・K・ディックが実際に鬱病からドラッグ中毒になって、自宅がジャンキーのたまり場になっていた時の経験を元に書かれたそうで、なんともやるせない感じが溢れている。エンド・クレジットで献辞が出るが、そのリストは実際に亡くなった友人たちなのだとか。

 描かれているのが、ジャンキーのトリップ状態で、実に気持ち悪く、とりとめなく、無意味。しかも、どれが現実で、どれがトリップ状態なのかわかりにくく作られているため、ほとんど100分の間、ずっと無意味なトリップ状態を見せられている感じ。だから眠くなる。

 なぜ実写にしなかったのか。想像するに、捜査官は正体がバレないようにスクランブル・スーツという全身タイツのようなものを着ていて、いつも外観が老若男女入れ替わるというのを実現したかったからか。それとドラッグによるトリップというか幻覚を見ている状態を描くためか。

 それ以外、近未来といっても7年後で環境はほとんど変わらないし、特に理由が見当たらない。アニメ調にすれば当然ディテールは失われる。それでモネのがたりという部分はピュアになるのかもしれないが、話が現実的でリアルなだけに、このディティールが失われて現実感が薄れるのはマイナスなはずだ。あまりにリアル過ぎる話なので、生々しさを和らげるためにアニメ調にしたのか。うーむ。

 捜査官が持っている銃はベレッタM92。ジャンキーのバリスが持っている銃は、どこのメーカーとも知れないチープなサタデー・ナイト・スペシャル。アルミの缶か何かをかぶせてサイレンサーが出来た実験するのは面白いが……

 監督は脚本も手がけたリチャード・リンクレイター。「恋人たちの距離(ディスタンス)」(Befor Sunrise・1995・米)で注目され、面白かったギャング映画「ニュートン・ボーイズ」(The Newton Boys・1998・米)を撮り、ジャツク・ブラックのコメディ「スクール・オブ・ロック」(The School of Rock・2003・米)で評判を一気に上げた人。そのあと撮った「がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン」(Bad News Bears・2005・日)は日本ではマイクロ劇場での公開で見なかったのだが、「スクール・オブ・ロック」をヒットさせていながらこの扱いはそれなりの出来ということだろう。全体的にはコメディの傾向が強いようだが、なぜ本作なのか。

 公開初日の3回目、渋谷の劇場は整理券方式で、2時間ほど前に受付をしたら13番。20分前に劇場に入ると、ロビーはかなり混みあっていた。男女比は4対6くらいで女性のほうが多く、老若比はほぼ半々。こういうドラッグ映画で女性が多いとは。

 最終的に225席の5〜5.5割ほどが埋まったが……これから難しいかもしれない。この内容では……表現手法は面白いんだけど……。

 半分ほど暗くなって始まった予告で気になったのは、左右マスクの「こまねこ」。ついに映画になったかという感じ。癒し系駒撮りアニメ。上下マスクの「世界最速のインディアン」は、どうなんだろう。老人パワーの話だし、再チャレンジの話だし、何よりアンソニー・ホプキンスの主演だし、面白そうなんだけど、劇場がなあ……。

 暗くなってからの予告で「プレスリーVSミイラ男」。くだらない作品かと思いきや、予告編を見たら結構、面白そう。ただちょっと勇気はいるかな。うーむ。お金もないし……。


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