Eragon


2006年12月16日(土)「エラゴン 遺志を継ぐ者」

ERAGON/2006・米・1時間44分(IMDbでは119分)

日本語字幕:手書き風書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビー、dts

(米PG指定)(日本語吹替版もあり)

http://movies.foxjapan.com/eragon/
(入ったら音に注意。全国の劇場案内もあり)


いつの時代とも、どこの場所とも知れない世界。かつてドラゴンと人間は共存し平和が保たれていた。しかしドラゴン・ライダーのひとりガルバトリックス(ジョン・マルコヴィッチ)が裏切って世界を支配しようとしたため、戦乱の世が訪れた。ある日、農夫の息子で17歳のエラゴン(エド・スペリーアス)は、夜の狩りに出かけて青い石を手に入れる。それは、実際には帝国からアーリア姫(シエナン・キロリー)が盗み出し、トランスポータさせた最後のドラゴンの卵だった。

70点

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 数あるファンタジーものの中で、一番ダメかも。「ダンジョン&ドラゴン2」(Dangeons & Dragons: Wrath of the Dragon God・2005・リトアニア、米)は見ていないけれど、IMDbではあっちが5.1でこっちが5.7と、ほとんど同じ評価。なんかゲームのRPGみたいな感じ。ドラゴン以外に見どころはあるだろうか。美しいロケーションか……。

 とにかく脚本がイケない。原作は知らないが、長い物語なのか、ストーリーを追うのに精一杯(しかも「スター・ウォーズ」に似ている導入)で、穴だらけ。突っ込みどころ満載で、ちっとも納得できない強引な展開。人間というかキャラクターが描かれていないので、まったく感情が動かされない。これは逆に驚くべきことかも。3部作らしいけれど、特に続きを見る気も起きないし、見る必要があるのかも疑問。でも、見ちゃうだろうけど。

 ただドラゴンはいい。デザインも含め、キャラクターとしてはいいと思えないけれど、実際にそこにいるかのような存在感と、蛇のようにくねくねした爬虫類感は素晴らしい。それは大スクリーンで見る価値がある。

 問題の脚本を書いたのは、IMDbではピーター・バックマンという人。これまでに「ジュラシック・パークIII」(Jurassic Park III・2001・米)を書いている。

 ところが公式サイトに脚本家の名前はなく、allcinema ONLINEやほかのサイトでは、3人の名が。1人は、「ナイルの宝石」(The Jewel of the Nile・1985・米)や「逃亡者」(Desparate Hours・1990・米)、「マイティ・ジョー」(Mighty Joe Young・1998・米)、「マーキュリー・ライジング」(Mercury Rising・1998・米)などのローレンス・M・オコナー。そして日本劇場未公開作品“It Runs in the Family・2003・米”を書いたジェシー・ウィグトウの3人。いったいどうなっているのか。出来が悪くて、降りたとか……。

 監督はシュテフェン・ファンマイヤーという人。ILMで視覚効果スーパーバイザーをやっていたらしい。本作が監督デビュー作になるらしい。視覚効果では、この前にあんまり笑えないコメディ「レモニー・スニケットの世にも不幸な物語」(Lemony Snicket's A Series of Unfortunate Events・2004・米/独)を手がけている。大作・話題作では「パーフェクト・ストーム」(The Perfect Storm・2000・米/独)や「ギャラクシー・クエスト」(Galaxy Quest・1999・米)「プライベート・ライアン」(Saving Private Ryan・1998・米)などがある。どうりでドラゴンは良いわけだ。次があるのかどうか。

 驚いたのは、ほとんど本作では活躍しないが、悪の大ボスをジョン・マルコヴィッチが演じていること。演技派という感じの人だが、未見ながら「銀河ヒッチハイク・ガイド」(The Hichhiker's Guide to the Galaxy・2005・米/英)という日本では小劇場公開のSFコメディーにも出ているくらいなので、驚くことはないのかもしれない。

 中ボスは「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(The World is not Enough・1999・英/米)でボンドの敵を演じたロバート・カーライル。この人も人肉を食う驚愕のホラー「ラビナス」(Ravenous・1999・米)なんていう作品にも出ている。良かったのは「プランケット&マクレーン」(Plunkett & Macleane・1999・英)だけど。

 かつてのドラゴン・ライダーの生き残りブロムを演じているのは、ジェレミー・アイアンズ。最近は文学系の作品が多いようだが、がっかりだった「タイムマシン」(The Time Machine・2002・米)の地底人のボスもやっていたし、「ダンジョン&ドラゴン」(Dungeons & Dragons・2000・米)でも悪役をやっていたっけ。

 「ハムナプトラ」(The Mummy・1999・米)でブレイクし、衝撃の「ナイロビの蜂」(The Constant Gardener・2005・英)でアカデミー助演女優賞を受賞したレイチェル・ワイズは、名前が最初に出ていたのに、どこにも見当たらなかったので調べてみると、あっという間に成長する雌のドラゴン、サフィラの声だった。なるほどね。

 ちょっと明るいシーンでコピー防止のドットが気になったが……。まったくスクリーンを撮影するなんていうバカがいるから、こんなことになるのだ。

 オープニングのクレジットは、文字が煙のように消えていくという演出。なかなかオシャレ。エンド・クレジットではPICとなっていたと思うが。

 公開初日の初回、65分ほど前に着いたら新宿の劇場は前売りの列に7人、当日券の列に7人。女性は1人だけで、中高年と若い人の比は半々くらい。60分前くらいに案内があって、ちゃんと整列。これ大事。

 50分前に倍くらいになって、40分前に当日券の窓口が開いた。30分前に開場になって場内へ。初回のみ、全席自由。13席×4列のカバーの席もOK。

 最終的に1,044席の4.5割(途中から入ってくるオヤジが多かったので5割行ったかも)ほど。下は小学1年生くらいからいたが、字幕が読めるのか。父は吹替版に連れて行ってやれよ。女性は2割ほどか。舞台あいさつが銀座であるというから、多くはそちらへ流れたかも。

 気になった予告は……1980年代へタイム・トラベルする日本映画「バブルへGO!!」はどうなんだろう。この予告だけではよくわからなかった。「どろろ」は子供向けなのか大人も見れるのかが問題か。これもこの予告からは判断できない。

 上下マスクの「トランスフォーマー」は記録フィルム(?)を使ったドキュメンタリー・タッチの予告編で、とても期待を持たせるもの。おもしろそう。ただ監督がマイケル・ベイ。凶と出るか吉と出るか。「守護神」はますます「海猿」っぽい感じだが……。

 シネスコ・サイズになってからの「ナイト・ミュージアム」はなぜか左右マスクで、内容がわかるようになったものの画質が非常に悪い。どうしたのだろう。逆効果では?


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