Nightmare Detective


2007年1月14日(日)「悪夢探偵」

2006・ムービーアイ・エンタテインメント/海獣シアター/I&S BBDO・1時間46分(IMDbでは109分)

ビスタ・サイズ/ドルビー

(日PG-12指定)

http://www.akumu-tantei.com/
(音に注意。入ったら画面極大化。全国の劇場案内もあり)


カッターナイフを使った不可解な自殺事件が連続して発生。警察はいすれも死の直前に“0”という相手と電話していたことから、新人刑事の霧島慶子(hitomi)と若宮(安藤政信)は暗示や夢の専門家の線から捜査をすることになる。そして他人の夢の中に入ることが出来るという特殊能力を持つ“悪夢探偵”影沼京一(松田龍平)の存在を知り訪ねるが……。

69点

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 うーん……。面白くなりそうな題材なのに……。クライマックスが近づくにつれ眠くなってきて、何度か気を失いそうになった。長い。暴力表現はどぎつく、生々しいのだが。やっぱり印象としては、良くも悪くも「鉄男TETSUO」(1989・日)的な自主映画感がたっぷり。話題性はあったんだけど……。

 残念ながら、ほぼ全編がアフレコらしく、口の動きと声が合っていない。一部なら気にならないのだろうが、全編のためとても気になる。当然、撮影した時とアフレコではテンションが違うわけだし、いくら本人でも違和感は残る。しかも感情がほとばしるようなシーンが多いわけで、テンションの違いがモロに出てしまう。ベテラン俳優でも違和感が出るというのに、歌手のhitomiはさらに辛い。アフレコの不慣れさが大きな画面からだとひしひしと伝わってくる。しかも茶髪のミニ・スカート姿はキュートで、とてもキャリアをやめて平の刑事になった女性には見えない。

 そのためなのか、主人公は女刑事の霧島でもなく、“悪夢探偵”影沼でもなく、キレまくっている自殺願望者“0”役の塚本晋也監督自身という印象。

 設定はつい最近公開されたアニメ「パプリカ」(2006・日)と似ている。しかし、やはり予算の問題なのかアニメのようにはいかず、夢の世界を描く場面は少なく、それも現実的な夢(現実との区別の付きにくさを狙ったのだろうが)ばかりで、広がっていかない。さらに、現実との区別の付きにくさを狙って、一部を除き夢のシーンでも色調を変えるなどしていないので、わかりにくい。初めから他人の夢の中に入ることが出来る“悪夢探偵”と公言しているわけだから、隠すこともないだろうに。というか、観客はそれを期待しているのではないだろうか。

 音で脅かす手法も使いまくりという印象。これはいかがなものか。出演者もアフレコのせいか、ほとんど誰も印象に残らなかった。うむむ……。

 塚本晋也監督作品では、僕が好きなのは、メジャー作品で独自の自主テイストが発揮できなかったのかもしれないが、「ヒルコ 妖怪ハンター」(1991・日)。なんだか監督よりも役者としての活躍の方が目立つ感じで、本作でも“0”役はかなりいいと思う。

 初日は舞台あいさつがあるというのでパスして、公開2日目の初回、60分前に着いたら16〜17人の人。ほとんど若い人たちで、なんだかアニメ系の作品の待ち列に似た客層。中高年は2〜3人。女性は3人。

 50分前に案内があり、20数人くらいに。40分前に30人くらいになったところで、早めの開場。初回のみ全席自由らしい。2回目以降は整理券順の入場になるらしい。

 最終的に、221席に7.5割くらいの入り。多いなあ。しかも若い人が。若い人にはこういう映画がウケるのだろうか。それともhitomi狙いか。

 気になった予告編は、すでに公開中だが……「シー・ノー・イーヴル」は見てみたいが劇場がなあ……。前売り券発売中とか言っていたけど、公開中なんだからまさかねえ。すごかったのはフランス映画の「ルネッサンス」。モノクロ2値で立体を表現するという3D-CGアニメ。妙なリアリティがある。フィルムノワールらしい。ついに内容のわかるものになった。この劇場で上映するというので、前売りを買った。いまなら特製CD-ROM付き。なんだか実写と3D-CGアニメの境界がなくなってきた気がする。「スキャナー・ダークリー」と好対照か?


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