Election


2007年1月21日(日)「エレクション」

黒社會/ELECTION・2005・香・1時間41分(IMDbではカンヌ版101分、中国カット版85分)

日本語字幕:手書き書体下、栗原とみ子/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビー

(香III指定、日R-15指定)

http://www.eiga.com/official/election/
(全国の劇場案内もあり)


香港の裏社会を牛耳る最大の犯罪組織連合「和連勝会」の新しい会長を選ぶ時期がやって来た。立候補したのは組織に忠実なロク(サイモン・ヤム)と、最近勢力を拡大し金銭的に組織に多大な貢献をしているディー(レオン・カーファイ)の2人。ディーは金銭をばらまき、時には脅して、会長の座を得ようとするが、各組織のボスたちの投票によって選ばれたのはロクだった。ただし、古い伝統に則って、会長はその証である「竜頭棍」を引き継がなければならなかった。ディーは部下に命じて、現会長のチョイガイから「竜頭棍」を強奪しようとする。

73点

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 暴力満載。しかも、それが悪意の暴力であることから、見ているうちにだんだん不快になってくる。もっと言うと胸くそ悪くなる。香港の裏社会を、エンテーテインメント的な演出を加えてはいるものの、かなりリアルに描いているのだろう。裏切り、策略、罠、仕返し、怒り、……エグイ。そして長い。エロがないのに日本でR-15指定はよほどのこと。

 それを除けば物語は良く出来ている。ヤクザのどろどろの権力争奪戦が、いつしか「竜頭棍」を巡る争奪戦になってアドベンチャーのようになり、再びまたヤクザ映画になるという構成。意外な展開は楽しめる。ただ、ヤグザ映画はヤクザ映画で、所詮、悪人たちのタマの取り合いで、どっちでもいいじゃんという話。

 そんなことなどが影響して、2005年の作品が今頃公開されたのではないだろうか。DVD発売前に劇場公開しておこうということで。

 監督はジョニー・トー。最近で言えば、反町隆史が出た「フルタイム・キラー」(Fulltime Killer・2001・香)や金城武が主演したラブ・ストーリー「ターンレフト ターンライト」(Turn Left, Turn Right・2002・香)、香港特殊部隊の一夜を描いた「PTU」(PTU・2003・香)、アンディ・ラウの特殊メイクに驚いた感動作「マッスルモンク」(Running on Karma・2003・香)、進行中の犯罪をショウとして放送するという驚きの「ブレイキング・ニュース」(Breaking News・2004・香)などで知られる人。名人といっても良いと思う。ただ、今回は題材が良くなかったかも。過去にも黒社会を描いている人なんだけど……。

 脚本のヤウ・ナイホイは「マッスルモンク」や「PTU」を手がけた人。同じく脚本のイップ・ティンシンは「ブレイキング・ニュース」を手がけた人。共に「柔道龍虎房」(Throw Down・2004・香)を手がけているが、この元ネタは「姿三四郎」らしい。見ていないのでわからないが、監督はジョニー・トー。ひょっとして本作も日本のヤクザ映画をヒントにしているとか……。

 サイモン・ヤムはジョニー・トーと良く組んでいる人で、「トゥームレイダー2」(Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life・2003・米)と私生活の問題で沈没したジャン=クロード・ヴァン・ダムの「レクイエム」(Wake of Death・2004・米)でハリウッド進出を果たしているが、その後どうしたのだろう。

 レオン・カーファイは「愛人/ラマン」(L'amant・1992・仏英)でヨーロッパ・デビューを飾った国際派。ボク的には「炎の大捜査線」(火焼島・1991・香台)、「ドラゴン・イン」(新龍門客楼・1992・香)、「月夜の願い」(新難兄難弟・1993・香)などで、最近では「ダブル・ビジョン」(Double Vision・2002・香台米)が一番最後に見た作品だったが、まだ活躍していて良かった。

 公開初日は先着100名のプレゼントがあるというので混雑しそうなので避け、2日目の初回、新宿へ。ところが、初回というのがお昼からで、その前にアニメ「パプリカ」の上映があった。それで、55分前に付いたら整理番号を前売り券に押された。8番。番号順での入場になるという。15分前までに戻れとのこと。

 25分前くらいに戻ったら、20分前くらいに前回が終了し、15分前くらいに開場。この時点で50人くらい。老若は半々か4.5対5.5くらいで、女性は12〜13人。全席自由の完全入れ替え制。しかも全館禁煙。スクリーンはシネスコで開いていた。

 最終的には218席に4割くらいの入り。ちょっと少ないか、プレゼントのある初日に集中したか。くつ下まで脱いでリラックスしているオヤジがいたのには驚いた。隣にいた奥さんらしい女性が注意しないのにも、またビックリ。

 前から書いているが、上映中に映写室の灯を点けるのはやめて欲しい。ここの映写室はオーバー・ハングするような形なので、客席に明かりが漏れてくるのだ。これは迷惑。やめて欲しい。どうしても明かりが必要なら、小型の懐中電灯を使うなどして欲しい。プロじゃないのかなあ。

 予告編はビスタ・サイズになって始まった。上下マスクの「」。だんだん内容がわかるものになってきた。謎がいっぱいという感じで、面白いかも。タイトルが中々わからなかった「官能小説」は、予告編を見た限りはただのH映画にしか見えなかったが、映画にする必要があったのか。

 そろそろ見飽きてきた「世界最速のインディアン」(上下マスク)は、普通のスポ根ものみたいでどうしようかと思っていたら、内容のわかる予告になってきたら興味が出てきた。これもいいかも。でも、アンソニー・ホプキンスって引退宣言したんじゃなかったっけ。しなくて良かったと思うけど。

 サミュエル・L・ジャクソンとジュリアン・ムーアの「フリーダム・ランド」(上下マスク)はかなり面白そうだけど、劇場がなあ……。見たいなあ。


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