ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
(日PG-12指定)
賢帝暦3048年、戦乱の世。醍醐景光(中井貴一)は負け戦で、命からがら地獄堂という寺にたどり着く。そこには48体の魔物が封じられていた。景光は一晩泊まる許しを得ると、魔物たちから「天下を取る力」を得る代わり、間もなく生まれてくる自分の子を魔物たちに分け与える契約を交わす。かくして、ほとんど自らの体を持たない状態で生まれてきた赤子は、密かに川に流された。これを川下に住んでいた呪い医師の寿海(原田芳雄)が拾い上げ、我が子として育て、秘術により失われた48カ所の肉体の人工物を与える。そしてある日、寿海の基を訪れた琵琶法師(中村嘉葎雄)が事情を聴き妖刀・百鬼丸を授ける。その百鬼丸を左腕に仕込まれた少年は、寿海から剣術の手ほどきを受け成長。20年後、寿海は息を引き取る直前、真実を打ち明ける。そして寿海の息子は魔物を倒し、自分の体を取り戻す旅に出るのだった……。 |
原作は部分しか読んでいないので、ほとんどわからないが、おもしろい。良い意味で無国籍、ロード・ムービー的アドベンチャー時代劇。さらに妖怪物に仕上がっている。残酷シーンがもっとオブラートに包んであれば、子供が見ても面白い作品だと思う。 長い連載物を1本の長編映画にまとめたわけで、2時間18分は当然というか、足りないくらい。全然長く感じない。奪われた肉体の48個所を集めるわけで、本作では途中駆け足となるが、もう少しじっくりと見たかった。ラストで残りあと24カ所と出るので、続編が作られるかも。このレベルの出来なら、ぜひ見たい。 漫画では、百鬼丸の相棒は小さな少年という設定のようだったが、本作では男として生きている盗人の少女というような設定で、男勝りの乱暴な口の聞き方と、本当は優しい心の持ち主というアンバランスさ、そして百鬼丸とのほのかな恋みたいなものが描かれていて、良かったと思う。正解だったのではないだろうか。 全体の大きなストーリーの流れと、自分の体のパーツをそろえていくというRPGで言えば小さなクエスト的のサブ・ストーリーがあり、そこが面白い。ちゃんとサブ・ストーリーはサブ・ストーリーで単体として話がまとまっている。子供を食う妖怪の話は感動的でホロリと来てしまった。もう1本サブ・ストーリーを見たかったくらい。 あえて言えば、ラストはちょっと残念だった。ニュージーランドでロケしたらしい広大な土地と、ちょっと「戦国自衛隊1549」(2005・日)の城に似ている奇妙で大きな城を見せておきながら、大合戦じゃなくて数名のというか1対1の戦いにしてしまったとは。何か特殊な力を使ってとりあえず大軍勢と闘い、城に近づいて、ブルース・リーの「死亡遊戯」(死亡遊戯・1978・香)みたいに何人かの剣豪というかボディ・ガードみたいな奴を倒してから、醍醐景光と戦って欲しかったなあ。ニュージーランドの広大な土地が全く生きていない感じが……。でも、こんにな作りにしたら3時間あっても足りないかもしれないが。 キャストは、人気絶大の2人、妻夫木聡、柴崎コウはじめ、みなよくハマっていたと思うけれど、ちょい役にまで有名な役者さんやお笑い芸人さんが出ていて、オール・スター状態。有名じゃなくてもいい役者さんとかいっぱいいるはずで、そういう人たちも使ってあげたらいいんじゃないかなと。 監督は塩田明彦という人。1999年に「月光の囁き」という作品で劇場作品の監督としてデビューしたそうで、話題になった「黄泉がえり」(2003・日)も塩田監督の作品。いずれも見ていないので、なんとも言えないが、本作はその実力が垣間見れるいい作品ではないだろうか。ぜひ続編も作って欲しい。 アクション監督は香港から招いたチン・シウトン。監督でもあり、最近はアクション監督としての活躍も増えている人。古くは感動ホラーの「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」(情女幽魂・1987・香)や、激しい女性アクションの「スウォーズマン/女神伝説の章」(東方不敵・1992・香)を監督。最近ではマギーQの女性アクション「レディ・ウェポン」(赤裸特工・2002・香)や、スティーヴン・セガールの「沈黙の聖戦」(Berry of the Beast・2003・米)も監督。アクション監督としては大ヒットしたコメディ「少林サッカー」(少林足球・2001・香)、チャカ・イーモー監督の「HERO」(英雄・2002・中/香)、「LOVERS」(Lovers・2004・中)と大作がズラリと並ぶ。 長いストーリーをうまくまとめて見せたのは、NAKA雅MURAと監督の塩田明彦。NAKA雅MURAは中村雅と表記されることもあるようで、「岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇」(1997・日)のシリーズを手がけている。最近では妻夫木聡主演の「ドラゴンヘッド」(2003・日)も手がけた。 特殊造形は百武明という人。「妖怪大戦争」(2005・日)も手がけたらしい。なるほど。登場する妖怪は、どれもなかなか魅力的だった。 公開2日目の初回、銀座の劇場は55分前についたら10人くらいの列。ほとんど20代という感じ。オヤジは2〜3人。若い女性1人。50分前に1Fの窓口が開き、前売り券も当日券と交換して3Fへ。劇場のある3Fは45分前に開いて、場内へ。初回のみ全席自由で、この時点で15人くらい。 その後、小学生くらいの女の子や、そのお母さんなど女性も増えて、25分くらい前に3割くらいの入り。最終的に400席の7割くらいが埋まった。20代がメインで中高年は3割ほど。男女比は6対4で男性が多かった。 10分前くらいから劇場案内が上映され、予告編はかなり暗くなってから。見やすい。気になったのは……TVドラマの「アンフェア」が映画化されるらしい。TV版は見ていないが、結構、銃が出てくるアクション作品らしい。意外に面白そうだったのは「バブルへGO!!」。1990年へ戻るというのは、オジサンにとっては、ついこの前のような感じだが、予告を見る限り、かなり笑えそう。あの怖かった映画の第3弾、前日談になるらしい「ハンニバル・ライジング」は5月のGW公開だというのにもう予告開始。ただまったく内容はわからない。今、前売り券を劇場窓口で買うと、10,000個限定の1/1のマスクをもらえるということはわかった。 「スパイダーマン3」は、こちらもGW公開らしいが、より内容のわかるバージョンになった。面白そう。劇場窓口で前売り券を買うと携帯ストラップがもらえる。ケヴィン・コスナーの「守護神」はますます「海猿」っぽい展開。1度に2人は救えない、その時どうする、みたいな。こちらの前売りプレゼントはリスト・バンド。 携帯を使うなという注意より、携帯の液晶が明る過ぎて邪魔になるから、開くなと注意して欲しい。暗くなってからメールを打ったり確認しているやつが多い。それから、予告のタイトルを一番最後に出すものばかり。これでは覚えるのが難しい。最初に出して、終わりまで出しておいて欲しい。インバクトとか演出効果を考えてのことだろうが、タイトルを覚えられなければ意味がないと思うけど。 |