DOA: Dead or Alive


2007年2月11日(日)「DOA デッド・オア・アライブ」

DOA: DEAD OR ALIVE・2006・米/独/英・1時間26分(IMDbでは87分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、松崎広幸/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビーステレオ、dts、SDDS(IMDbではドルビーデジタル、dts、SDDS)

(米PG-13指定)

映画公式サイト
http://www.doa-movie.jp/
(音に注意)
ゲームの公式サイト
http://www.tecmo.co.jp/product/doa/


石狩山脈にある忍者の里から、行方不明となった兄を探すため、妹のかすみ姫(デヴォン青木)は外界へ出る決心をする。外界へ出ることは“忍(抜け忍)”となってしまうことから、家臣のハヤブサ(ケイン・コスギ)は戻るように説得するため、後を追う。さらに抜け忍となったかすみの命を狙う刺客のあやね(ナターシャ・マルテ)も後を追う。かすみは兄が姿を消した世界最高の格闘技ファイターを決定するDOAへの出場権を得て、会場となる東シナ海のある島へ向かう。

72点

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 マンガをそのまんま実写にしたという印象。そしてまるでゲームみたい。実際は日本のテクモのX-box用人気ゲームを映画化したもの。見るときは何も考えないで見た方がいい。見どころはワイヤー・ワークによる格闘技と、美女たちのエロティックなシーンであって、ストーリーはそのためのガイドでしかない。

 単に美女とエロティック・アクションを見るなら、これほど良く出来た映画はない。ここまで真剣に観客を楽しませようとする姿勢には頭が下がる。余計なものは一切ない。かなりゲームの設定にも沿っているのではないだろうか。ゲーム・ファンが楽しめるように作られているのだと思う。あり得ない衣裳に、あり得ない超絶技。普通ならそのまま映画化しようとはしないだろう。実写らしく少しリアルに設定し直すはず。本作はあえてそれをしなかったようだ。

 そんなわけで、リアルな女性格闘技アクションを期待して見るとちょっと違うのでガッカリするだろう。普通の格闘技アクション映画を期待しても肩透かしを喰らってしまう。まして恋愛物や根性もの、ヒーロー物といったドラマを期待してはいけない。日本のゲームが原作だからと、日本の部分に期待するのも相応しくない。これはハリウッドの、たぶん一般的なアメリカ人がイメージする日本の姿なのだ。

 忍者の里がまだ日本の山奥にはあって、抜け忍になると“忍”と呼ばれるらしい。お城は紫禁城のようで、服装から何からほとんど中国風。こんなことで腹を立てていると、この映画は楽しめない。

 監督は香港出身のコーリー・ユン。ジェット・リーがまだリー・リンチェイと言っていた頃の「D&D/完全黙秘」(My Father is a Hero・1995・香)や、スー・チーが主演した傑作女性アクションの「クローサー」(So Close・2002・香/米)、痛快ヒット作「トランスポーター」(The Toransporter・2002・米/仏)と、アクション作品で定評のある実力派。

 脚本は大ヒット作「プリティ・ウーマン」(Pretty Woman・1990・米)、一転してアクションのヒット作「沈黙の戦艦」(Ubder Siege・1992・米)や「ハンテッド」(The Hunted・1995・米)を手がけたJ・F・ロートン。もう少し日本のことを勉強して欲しかった気もするが、本作はストーリーはあまり重要じゃないわけで、まっいいか。

 プロデューサーの1人にSFホラーの傑作「イベント・ホライゾン」(Event Horizon・1997・米)や「ソルジャー」(Soldier・1998・米)、「バイオハザード」(Resident Evil・2001・独/英/米)の監督、ポール・W・S・アンダーソンがいる。日本のゲーム大好き監督で、なんだか納得できる感じだが、本作は格闘技がメインになるためコーリー・ユンに任せたということか。かつて「モータル・コンバット」(Mortal Kombat・1995・米)も撮っているが、印象としてはあれと似た感じだ。日本へも何回か来ているはずだから、確信犯か。うむむ……。

 アクションの出来る美女がゾロゾロ出演しているが、かすみ姫役は、ベニハナの社長ロッキー青木の娘で、アメリカ生まれのモデル出身のデヴォン青木。「シン・シティ2」を含む新作3本が控える売れっ子。

 泥棒という設定で、一番露出度の高いクリスティー役は、ちょっと藤原紀香風の美女ホリー・ヴァランスという人。オーストラリア出身で、モデルを経てTVデビュー。歌手としても活躍中。こんな際どい役で良いのだろうかと心配になるほど。子供の頃からムエタイを習っていたらしい。

 父とともにプロレスラーという設定のティナ役は、いかにもアメリカ娘という感じのジェイミー・プレスリー。やはりモデル出身で、スティーヴン・セガールの「沈黙のテロリスト」(Ticker・2001・米)や快作バイク映画「トルク」(Torque・2004・米)に出ている。ただ「トムキャッツ 恋のハメハメ猛レース」(Tomcats・2001・米)なんて映画にも出ていて、タイトルからいくと、こんなのに出ていたらダメじゃん(タイトルを付けた奴の顔が見てみたい)。

 女刺客あやね役は、髪を原作ゲームのように紫に染めたナターシャ・マルテ。ジェイソン・ステイサムの佳作「カオス」(Chaos・2005・加/英/米)や、やっぱり怪しい忍者が登場する「エレクトラ」(Elektra・2005・米)にも出ていたらしい。ノルウェー出身で、バレエ団で歌とダンスを習っていたらしい。チャン・ツィイーと同じで、踊りが出来れば殺陣も出来るということか。

 DOAを創設した博士の娘ヘレナ(ゲームと字幕ではエレナ)役は、サラ・カーター。カナダ出身の金髪美女で、主にTVで加活躍しているが、「デッドコースター」(Final Destination 2・2003・米)や、つい最近小劇場で公開された「ヘイヴン/堕ちた楽園」(Haven・2004・米/英ほか)にも出ている。やはりダンサーだった人なので、体が動くのだろう。

 意外なのは悪のボス役のエリック・ロバーツ。ジュリア・ロバーツの兄で、シルヴェスター・スタローンの「スペシャリスト」(The Specialist・1994・米)や、傑作アクション・ミステリーの「ヘブンズ・プリズナー」(Heaven's Prisoners・1996・米)などに出ているが日本未公開作品が多い。最後に見たのはマーティン・ローレンスのコメディ「ナショナル・セキュリティ」(National Security・2003・米)だったろうか。何だかすっかりB級のヒトになってしまった感じ。

 ハヤテ役は「マトリックス リローデッド」(The Matrix Reloaded・2003・米)でセラフを演じていたコリン・チョウ。「D&D/完全黙秘」やツイ・ハークの「ブレード/刀」(The Blade・1995・香)、「無問題2」(無問題2・2001・香)、「Spirit」(Fearless・2006・香/米)などに出ている。端正な顔立ちで、今後も期待が持てる。

 2回ほど登場する海賊はAK47やミニ・ウージーで武装しているけど弱い。素手の女性に負けてしまう。ついでに、悪の組織が使っているパソコンはMac。


 公開2日目の2回目。銀座の劇場は20分前くらいに着いたら、ロビーには30人くらいの人。ほとんどは中高年。女性は3人くらい。一番下は小学生くらいもいた。ゲーム・ファンか。1人、オヤジが靴を脱いで、イスに寝ていたため、6席くらいがだれも座れなくなっていたが、近くにいた劇場係員が注意しないので、誰も何も言えなかったようだ。

 15分前くらいに入れ替えになって指定席無しの場内へ。改装したのはイスと音響設備のようで、床は以前のままフラットに近い。カップ・ホルダーや傘立てがついたものの千鳥配列ではないので、やはりスクリーンは見にくい。千鳥配列にすると座席数が減るのでやらなかったのだろうが、うーん……。

 古い映画のBGMが流れ、最終的には272席に50人くらい。多くの人が後方に座っていた。良かった、空いていて。前に人さえ座らなければ快適。

 カーテンが開き、暗くなっても非常灯は点いたまま。ちょっと邪魔。でも暗くなっての予告は見やすい。気になったのは…… ウガンダの「人喰い大統領」アミンを描いた「ラストキング・オブ・スコットランド」。フォレスト・ウィティカーが30万人を虐殺したと言われる狂気の大統領を演じる。予告が始まったのに、前売り券は来週からの発売だとか。どうなってんの。


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