Dreamgirls


2007年2月17日(土)「ドリームガールズ」

DREAMGIRLS・2006・米・2時間10分(IMDbでは131分)

日本語字幕:丸ゴシック体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、Super 35)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.dreamgirls-movie.jp/top.html
(入ったら音に注意。画面極大化)


1960年代アメリカ、デトロイト。エフィー・ホワイト(ジェニファー・ハドソン)、ローレル・ロビンソン(アニカ・ノニ・ローズ)、ディーナ・ジョーンズ(ビヨンセ・ノウルズ)の3人は、新人オーディションに参加した。実力はトップだったが、結果は最初から決まっているコンテストだった。しかしカー・ディーラーから音楽業界へ進出する野心を抱いていたカーティス・テイラー(ジェイミー・フォックス)は彼女たちを説得し、まずデトロイトで人気絶大だったジェームズ・アーリー(エディ・マーフィ)のバック・ダンサーとして売り込む。

73点

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 黒人による、黒人音楽界を描いた、黒人ミュージカル。ほとんど白人は出てこない。しかし描かれている内容は音楽業界の裏側的なもので、「Be Cool」(Be Cool・2005・米)や「ハリウッド的殺人事件」(Hollywood Homicide・2003・米)と似ている。かなりドロドロとした話で、ストレートに描いたらヤバかったり、夢をぶち壊すような話。白人主役の後者2作品ではアクション・コメディになっていたところ、本作はミュージカルにしたと。

 「RENTレント」(Rent・2005・米)でも書いたが、昔からミュージカルは、思いっきりのエンターテインメントもあるが、生々し過ぎるすぎる話も多い。音楽でオブラートに包む感じだろうか。昔では組合闘争を描いたドリス・デイの「パジャマゲーム」(The Pajama Game・1957・米)とか、最近ではリメイクだが「プロデューサーズ」(The Producers・2005・米)とか。

 新人だというジェニファー・ハドソンの歌の上手さもさることながら、ビヨンセがすごい。3人グループを売り出すためにリード・ボーカルを変更するまではパッとしない感じなのに、リードになるや否やいきなりスーパー・スターのオーラがドバッと出て、輝く存在に。本当のスーパー・スターというのを見せてもらった感じ。ほかの出演者には決して出せない感じ。これがスゴイ。モデルとなっているのは、ダイアナ・ロスらしい。なるほど。

 本作は、最近のミュージカルの傾向どおり、ブロードウェイの舞台をそのまま映画化したもの。舞台はマイケル・ベネットの演出・振付によるそうだ。初演は1981年だとか。この人は「コーラス・ライン」の振付も手がけており、何度もトニー賞を受賞している。

 音楽が良いのは当然として、衣裳が素晴らしいし、舞台の照明もドラマチック、セットもゴージャスで、ステージ演出は思わず体でリズムを取ってしまいそうなほど良い。また時代とともに黒人アーティストたちのヘアー・スタイルが変わって行くのも興味深かった。

 落ちぶれて、ついには麻薬に手を出す歌手をエディ・マーフィが熱演。本当の声だとすれば、歌もかなりうまい。1961年生まれだから46歳というところだが、肌もツヤツヤしていて、シワなんかほとんど無く、とても若々しく見える。最近では3Dアニメの「シュレック」(Shrek・2001・米)のドンキーの声が有名で、実写では「ショウタイム」(Showtime・2002・米)が良かったくらいか。「48時間」(48 Hrs.・1982・米)とか「大逆転」(Trading Places・1983・米)、「ビバリーヒルズ・コップ」(Beverly Hills Cop・1984・米)なんか、とても良かったが……。

 ジェイミー・フォックスは、次第にビジネス最優先になり自分を見失ってしまうマネージャーを好演。しかし、一番良かったのはタクシー運転手を演じた「コラテラル」(Collateral・2004・米)かなあ。レイ・チャールズを演じた「Ray レイ」(Ray・2004・米)は見ていないので、なんとも……。

 久しぶりに見たら老けたなあという印象のダニー・グローバー。エディ・マーフィのマネージャーという役で、やり手であるべきところ、でもやっぱり人の良さが出てしまうというハマリ役。老けメイクなのか、とても老けた感じ。最後にスクリーンで見たのは「ソウ」(Saw・2004・米)だったような気がする。

 数少ない白人で、有名人は映画監督として出てくるジョン・リスゴー。ハリウッド映画に出てくる映画監督というのはだいたい調子の良いヤツが多いけれど、なぜなんだろう。本作でもそんな感じ。最近はいまひとつパッとしないようだが、どうしたんだろう。

 監督はビル・コンドン。初期は「F/X2イリュージョンの逆転」(F/X2・1991・米)とか「キャンディマン2」(Candyman: Farewell to the Flesh・1995・米)のB級でパッとしない感じだったのが、突然「ゴッド・アンド・モンスター」(Gods and Monsters・1998・米)で監督のほか脚本も手がけ、重厚なドラマを描き出して一流監督のおもむき。そしていきなり今度はミュージカル「シカゴ」(Chicago・・)の脚本を書く。「ゴッド……」のようなドロドロのドラマ。そして監督・脚本でなぜか性をテーマにした「愛についてのキンゼイ・レポート」(Kinsey・2004・米、独)。この人は一体どんな人なんだろ。

 公開初日の初回、新宿の劇場は45分前に着いたら若い男性が1人。それが30分前になって15人くらいに。中高というよりは、老が多い感じ。しかも4対6で女性が多い。なぜ? 間もなく会場になって、420席は全席自由。床の傾斜が強いというか会談場のスタジアム形式なので、どの席からもスクリーンが見やすい。

 最終的には3.5割ほどの入りで、ちょっと肩透かし状態。あれれ。若い人は2割いただろうか。それにしても、上映途中で入ってくるジーサンの多いここと。光が入るし、入ってきてウロウロするなっての。やむなく途中で入る場合はできるだけドアを少なく開け、入ったら目が暗闇に慣れるまでじっとしていて、空いた席を見つけてから動くこと。こんなの年寄りなら知っているはずなのに。いまどきの年寄りは、本当に。

 予告は「バベル」、「ゴーストライダー」、「ナイトミュージアム」など。気になったのは、香港返還10周年記念作品というジャッキー・チェンの「プロジェクトBB」。ユン・ピョウも出てるし、Mr.Booことマイケル・ホイも出てるし。面白そう。

 スクリーンがシネスコになってから、左右マスクで「ホリデイ」。ちょいとピンが甘い感じ。「トランスフォーマー」は画面も大きく音が良いのですごい迫力。こういう作品こそマイケル・ベイ向きだろう。期待大。


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