Deja Vu


2007年3月18日(日)「デジャヴ」

DEJA VU・2006・米・2時間07分(IMDbでは128分)

日本語字幕:手書き書体下、戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク、with Panavision、HDTV)/ドルビーデジタル、dts、SDDS

(米PG-13指定)

公式サイト
http://www.movies.co.jp/dejavu/


ニューオーリンズのクレセント・シティ橋からから出港したフェリーが突如爆発し、乗員乗客543名が犠牲となった。ATFの捜査官ダグ(デンゼル・ワシントン)は現場である破片を発見し、爆破テロだと見破る。そして、さらに現場近くで焼け焦げた若い女性の死体(ポーラ・パットン)が発見される。彼女が事件のカギを握ると踏んだダグは、彼女の身辺を調べるうち、ある男の存在が浮かび上がってくる。その捜査の様子を見ていたFBIは、ダグをある施設に呼ぶ。

85点

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 IMDbでは6.9点と普通の評価。それもたった9,500票ほどの投票。しかしボクは楽しめた。2時間7分の間、完全に映画にのめり込んで、堪能した。ほかのことはみんな忘れた。面白かった。普通の刑事物に、ちょっとオカルトチックな要素を足しただけかと思っていたら、とんでもない物語に発展する。このとんでもなさが受け入れられないと6.9点ということになるのではないだろうか。ボクはOK。矛盾もありそうだし、強引な展開でも、見ている間は全く気にならず、感動した。スゴイ! コレクターズ・エディションのDVDが欲しい。

 冒頭、普通の刑事物のように事件現場や遺体、地道な捜査活動などが丹念に描かれる。この辺の本格刑事ドラマ風が良いのだ。そして、それらの細々としたことが、あとあとへの伏線となっている。些細なことも見逃さないように。ちゃんと見ていれば、あとで、ああそういうことだったのかと納得がいく。そういう風に計算されて作られている。だからDVDが出たらじっくり検証してみるという楽しみ方もあるだろう。

 ビジュアルも驚異的。川でのフェリーの爆発は、スケールが大きいから本当に実物が爆破されているように見える。実際に川で爆破するのは難しいのではないだろうか。爆発の瞬間、カメラが回り込むような感じもした。ちょっと「マトリックス」(The Matrix・1999・米)のようだ。

 主演はデンゼル・ワシントン。誠実な感じがするので、こういう役に似合っている。とんでもない展開にリアリティを持たせるには、こういう人が欠かせない。「マイ・ボディガード」(Man on Fire・2004・米/メキシコ)も「インサイド・マン」(Inside Man・2006・米)も良かった。ほんとカッコいい。演じているのはATFの捜査官で、アルコール タバコ 火器局のこと。銃はS&Wのステンレス版チーフ、M60のようだった。あとで警官のグロックも使うが。

 美しい死体を演じたのは、ポーラ・パットンという人。ウィル・スミス主演の「最後の恋のはじめ方」(Hitch・2005・米)に出演して注目され、本作のプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーがヒロインに大抜擢したらしい。今後大注目の新人だ。

 FBI捜査官のアンドリューを演じたのは「トップガン」(Top Gun・1986・米)のヴァル・キルマー。ホラー・アクションの「マインドハンター」(Mindhunter・2004・米)とかミステリー・アクションの「ブラインド・ホライゾン」(Blind Horizon・2004・米)とかではそれほどでもなかったが、本作では人が変わってしまったかのような太りよう。役作りなのだろうか。あの切れるような精悍さは微塵もない。

 容疑者オースタッドを演じたのはジム・カヴィーゼル。二枚目ながら悪役も多く、出演作品を厳選しているそうで、確かに面白い作品が多い。ただ、悪人を演じる時は、無精ヒゲと洗濯していないような服と風呂に入っていないような不潔さというパターンで、キャラがかぶっている気はする。不気味さは確かにあって、見た目がイケメンだけにかえってかなり恐い。使っていた銃はH&KのUSP。スライド・シルバーで、リア・サイトがアジャスタブルだったから、スポーツかエキスパートあたりか。ラストではMP5Kの2挺乱射も見せる。

 FBIの上司ジャックはブルース・グリーンウッド。キューバ危機を描いた「13デイズ」(Thirteen Days・2000・米)のJFケネディ役は素晴らしかった。最近では「南極物語」(Eight Below・2006・米)に出ていた。さすがにちょいとした役でも存在感がある。

 スゴイ脚本を書いたのは、ビル・マーシリイとテリー・ロッシオの2人。前者は本作前にTVの脚本を書いているが、劇場作品は初めてという人。後者は「アラジン」(Aladdin・1992・米)、ハリウッド版「GODZILLA」(Godzolla・1998・米)のストーリー、人形と人間が共演した「スモール・ソルジャー」(Small Soldiers・1998・米)、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーとの「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl・2003・米)シリーズと、奇想天外な冒険談がが多く、また上手い人。

 監督は、兄弟して世界的な名監督の弟、トニー・スコット。「トップガン」を大ヒットさせ、潜水艦映画「クリムゾン・タイド」(Crimson Tide・1995・米)あたりからジェリー・プラッカイマーと組むようになった。デンゼル・ワシントンともこの作品で組んでいる。「エネミー・オブ・アメリカ」(Enemy of the State・1998・米)あたりから骨太な作品を手がけるようになり、「スパイ・ゲーム」(Spy Game・2001・米)、「マイ・ボディガード」などではすでに巨匠の雰囲気。実在の女賞金稼ぎを描いた「ドミノ」(Domino・2005・米)もなかなか力強かった。

 公開2日目の2回目、新宿の劇場は45分前に着いたらロビーに2〜3人の人。40分前くらいからぽつぽつ増え出して30人くらいに。35分前に列を作るように案内があり、15分前に入れ替えとなった。この時点で12席×2列の指定席を含む1,044席の3割くらいが埋まった。

 20〜30代くらいは1/3ほどで、2/3が中高年。男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。最終的に4割ほどの入り。指定席に2人。これは少ない。もっと来てもいい作品だと思う。

 それにしても、途中から入ってくる人が多過ぎる。これだけ伏線の多い作品なのに、途中から入ってきてわからなくなると思う。完全入れ換えではないから、続けて次の回も見るのだろうか。それにだいたい遅れて入ってくる人はマナーが悪い。入ったら、まずは動かず端っこで目を慣らし、見えるようになったら空いた席を探し、姿勢を低くして小走りで移動するくらいは当たり前だろう。携帯を使ってメールチェックしているヤツも相変わらず多いし……。

 CM・予告編の後、シネスコになってから上映直前にドルビー・デジタルの新しいデモあり。そして、タッチストーンのオープニングが一部2回繰り返された。「デジャヴ」というわけか。ここから演出が始まっているとは驚いた。そしてタイトルを「デジャヴ」(既視感)にしたのもすごいというか、うまい。オープニングの文字の見せ方も、文字が集まってきて人の名前になるなど、凝っている。

 気になった予告編は、「ハンニバル・ライジング」と「トランスフォーマー」。「スパイダーマン3」はもう完全に見飽きた。「ダイハード4.0」はぜひとも見たい。いずれも、上下マスクのシネスコ・サイズ。


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